フランスのシャンパーニュ地方はシャンパンの名産地で有名です。「シャンパン」と名乗れるのはシャンパーニュ地方で作られる発泡酒のみに許されています。シャンパーニュ地方はランスからエペルネーに広がるシャンパン街道にそって広がる地域です。自然あふれる豊かな街で散歩がてらに街散策をしてみませんか?
サン・レミ旧大修道院
フランス北東部のシャンパーニュ地方、マルヌ県の都市ランスにある修道院です。
シャンパーニュ地方の世界遺産のひとつであるサン・レミ旧大修道院は、初代フランス国王クローヴィスの洗礼を受け持った大司教である、レミギウスが埋葬された聖堂が前身でした。8世紀半ばにベネディクト会の修道院になり11世紀初頭にはそれまでの建物が崩壊したのを機に改修されたという歴史があります。
その時に修道院と併設して聖堂が設けられ、付属聖堂のある大修道院として生まれ変わりました。そんなサン・レミ旧大修道院は現在は美術館として一般公開されています。
価値のある記念品などの一部はフランス革命の際に盗難に遭ってしまい、レミギウスのお墓も19世紀に再建されたものです。それでもレミギウスの歴史を綴ったタペストリーや美しいステンドグラスは残されています。外観も素晴らしくシャンパーニュ地方の目玉となる建物のひとつです。歴史を感じながらゆっくりと見て回りたいですね。
ランスノートルダム大聖堂
サン・レミ旧大修道院と並んで世界遺産に登録され、シャンパーニュ地方でも有名な大聖堂です。こちらも初代フランス国王クローヴィスが洗礼を受けた聖堂から来ています。
その聖堂が火事で焼失した後、現在の聖堂が建立されました。着工したのは1211年のことですが、資金難や地元住民の反乱などで度々工事が中断し、1290年にようやく身廊が完成しました。
しかし全体の完成まではさらに時間がかかり、紆余曲折を経て1475年にようやく完成したのです。フランス革命の時代には銅像を中心に破壊されたり、第一次世界大戦時にも大きな被害を受けたそうです。何とも不幸な歴史を持つ大聖堂ですが、今でもシャンパーニュ地方の誇りとして修復作業が行われています。
ランスノートルダム大聖堂の1番奥には有名なシャガールの青のステンドグラスがあります。陽があたるとさらに青色が冴え美しく見えることから、コレを見にシャンパーニュ地方を訪れる人もいるんだとか。
またある一角の柱から見るとジャンヌ・ダルクが描かれているのが発見できます。更に、高さが82メートル、6700本のパイプを持つオルガンも見ごたえありです。歴代のフランス国王がランスノートルダム大聖堂で戴冠式を行ってきたというシャンパーニュ地方では有名な言い伝えもあります。
トー宮殿
シャンパーニュ地方の世界遺産ラストはトー宮殿です。1690年に大司教の館として建造され、それと同時に、歴代国王の戴冠式の際には控えの間となり、戴冠式後の宴の場所としても必ず利用されてきました。
建設はベルサイユ宮殿の設計を手掛けた人物で有名なジュール・アルドゥアン・マンサールとその義弟のロベール・ド・コットによるものです。ベルサイユ宮殿も世界遺産に登録されているので、まさに世界遺産を建設する人物ともいえるでしょう。
1972年に博物館になったので、現在では一般公開されています。ここで見られるのはシャンパーニュ地方でしか見ることの出来ない、王の装飾品やタペストリーや修復前の大聖堂の彫刻、戴冠式に関わりのあった品々という豪華な顔ぶれです。
宝物殿では13世紀に作られた高さ6メートルの彫像や12世紀の聖別式の聖杯など非常に貴重な品々を鑑賞できます。また、戴冠式の後に祝宴が開かれたトー広間も興味深い見学場所です。シャンパーニュ地方ののどかな風景の中にある世界遺産は、シャンパーニュ地方の歴史を語る重要な役割をしているようです。
藤田礼拝堂
日本人画家としてエコール・ド・パリの画壇で認められたレオノール藤田(本名藤田嗣治)をご存知でしょうか。現在も藤田礼拝堂の隣には、シャンパーニュ地方を代表するシャンパンメーカーMumm社があります。
当時そこの社長であったルネ・ラルーの依頼により設計したのが藤田礼拝堂です。外観は愛らしくこじんまりとしていてシャンパーニュ地方にピッタリの教会です。
しかし教会内に入ると1966年6月から8月にかけて藤田嗣治が描き上げた壁一面のフレスコ画に圧倒されます。その画風は透き通るような繊細さが特徴で、藤田嗣治自身もパリの寵児と謳われたほどです。
最後の晩餐のフレスコ画の下には、藤田嗣治と君代夫人が眠っています。 藤田礼拝堂は、シャンパーニュ地方で平和の聖母に捧げられた礼拝堂です。正面にはイエスを抱いた聖母の絵があり、その中には君代夫人の肖像もさりげなく描かれています。
ステンドグラスは、旧約聖書を題材にしたものも見事ですが、奥の方には広島の原爆をテーマにしたものもあります。平和と故国への想いが、このステンドグラスから伝わってきます。シャンパーニュ地方に日本人の面影を見ることができる場所になっています。
シャンパンメゾン
シャンパーニュ地方に来たのであれば、やはりシャンパンを楽しまなければ、来た意味がありません。シャンパーニュ地方にはシャンパンメゾンがいくつもありますが、その中の一部で見学を実施している場所もあります。
藤田礼拝堂の向かいにあるG.Hマムも見学が可能です。1827年の創業以来、G.H.マムが残した「最高のシャンパンだけを」という理念を掲げるメゾンです。フランスの勲章レジオン・ドヌールを模した赤いリボンが目印です。
他にもPommery(ポメリー)は、シャンパーニュ地方のシャンパンと言えば「甘口」という当時の常識を覆して史上初の辛口を発表しました。最低3年の熟成プロセスをとることでも有名です。
Veuve Clicquot Ponsardin(ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン)は、シャンパーニュ地方のシャンパンに貢献した偉大な女性で、シャンパーニュを世界の王室にプレゼントしたり、シャンパーニュを世界中に広めることに貢献した人物です。
せっかくのシャンパーニュ地方ですから、こうしたいくつかのメゾンを巡って味比べをするのがおすすめです。
まとめ
シャンパーニュ地方で巡りたいおすすめスポットはいかがでしたか。シャンパンと世界遺産の街なんてとても素敵ですね。シャンパーニュ地方で本場のシャンパンを味わいながら、ゆっくりと世界遺産を眺めれば、贅沢な気分にひたれそうです。フランス観光のついでにシャンパーニュ地方も是非、訪れてみてくださいね。