坂東三十三観音霊場第6番札所である厚木市の長谷寺は「はせでら」ではなく「ちょうこくじ」と読みます。坂東三十三観音霊場には「長谷寺」と書くお寺が3つあるので混乱してしまう人もいるでしょう。御朱印を目的で訪れる場合も見分けがつくようにしたいですね。
長谷寺は古い歴史と見どころ、更には七不思議があることでも知られています。御朱印をいただくだけでなく、長谷寺の秘密にも触れてみたいものです。ここでは長谷寺の御朱印と見どころをご紹介します。
長谷寺の御朱印について特徴
海抜280メートル余りの白山の中腹にある長谷寺は、いざ御朱印をいただこうと思ってまず目の前に現れるのは石段です。結構、急な石段なので無理をせずに登りましょう。
山門を越えて一息つくと…まだまだ石段が続きます。まるで修行僧のように厳しい御朱印までの道のりですね。そんな時は周りの風景に視界を広げてみましょう。
長谷寺は標高が高い場所にあるので、高台からの美しい景色が見られます。「かながわの景勝50選」にも選ばれているそうです。石段が終わっても緩やかな坂道をゆるゆると登るので、中々御朱印には辿りつけません。
御朱印は本堂の左側にある御守り授与所でいただくことができますよ。これまでの長い道のりを振り返ると、やっといただける御朱印に感無量になること間違いなしです。長谷寺の御朱印は、御朱印帳からはみ出しそうなほど文字が並びます。御朱印には「長谷寺」や「飯上山」などゆかりのある名前が入っています。
坂東観音霊場の公式ページより
令和2年4月1日より
納経帳 ご朱印 500円
白衣(宝印のみ) 300円
に改定させていただきます。
長谷寺飯山観音の歴史
本堂までの道のりは結構険しく遠いという現実が待ち構えています。ようやく視界が開けると、両脇に灯籠が一直線に並ぶさまが壮観な本堂が見えてきます。
長谷寺の正式名称は「飯上山長谷寺」といって別名「飯山観音」として親しまれています。長谷寺の縁起には2つの説があります。
725年に400メートル離れた場所に5色の虹が卓清水に湧きましたが、人々は怖がって近づこうとしませんでした。しかし、諸国巡錫をしていた行基菩薩が通るとその泉から十一面観音が現われて行基の持つ托鉢の中へ入ったそうです。そこで行基は泉の傍らにある楠で三尺の観音像を刻み、泉の観音像を胎内に納め、同時に堂宇を建立し、飯山寺と定めました。
もう一つの説には、810年頃この地に現れた旅僧が一夜の宿を探していたところ、領主である飯山権太夫が旅僧を家に泊めてくれました。そこで僧侶はお礼にと一体の十一面観音を授けます。
この十一面観音の胎内にはインド・ガンジス河に産出する黄金、閻浮壇金で造られた三寸五分余りの十一面観音を納めていたことから、飯山権太夫は十一面観音を深く帰依し、観音堂を建立しました。その時の旅僧は弘法大師空海であったと伝えられています。御朱印が目的で訪れる場合でも、こうした歴史を知ると興味が湧きますよね。
長谷寺の見どころ
長谷寺で御朱印をいただいたら、是非、境内を散策してみてください。御朱印だけでない長谷寺の魅力を知ることができます。長谷寺の見どころのひとつが神奈川県の重要文化財に指定されている「銅鐘」です。1442年の銘文のある銅鐘で、飯山の鋳物師である清原国光の作品になっています。
銘文によると「この年の春に新長谷寺が火災により焼失するが、人々の銅鐘鋳造の願いが強いことから、新堂宇の再建に先立って、麓の金剛寺の住職だった勝が寄付を集めて完成した銅鐘」と伝えられています。
そしてもう一つ「飯山の隠れ鐘」と呼ばれる不思議な鐘も見どころです。時の住僧が例鳴を怠ったことから、銅鐘が一夜にして姿を消したと言われています。後に夢告によって地中から掘り出されたことから「飯山の隠れ鐘」と呼ばれるようになりました。
桁行5間、梁行5間の正方形平面を持つ「観音堂」は銅板葺の宝形堂です。正面中央間とその両脇間は両折桟唐戸、両隈間は連子窓という古風な構えをしています。十一面観音が祀られています。
境内には「かながわの名木100選」に指定され、厚木市の天然記念物に指定されている「イヌマキ」も見ものです。樹齢が400年にもなる古木で、室町時代からこの場所に立っているそうです。御朱印と共に歴史を感じられますね。
長谷寺・飯山の七不思議
寺院には七不思議がある場所も少なくありません。長谷寺にも古くから伝わる七不思議が存在します。御朱印をいただいたら、分かる範囲で探してみましょう。
- 「弘法の米とぎ水」です。飯山の地名の起源とされた金剛寺後方の飯盛山から流れ出す水は、弘法大師が托鉢でもらった米を毎日山麓の庵でといだので白く濁っていたことからその名が付きました。
- 「亀甲の松」です。木肌が亀の甲羅のような模様になった松があったそうです。
- 「久保の万年橋」です。飯山に来た行基が光福寺の前の小川に橋をかけたのですが、その橋が一度も架け替えられたことがなかったため「万年橋」と呼ばれていました。
- 「千ヶ沢の貝殻石」です。白山から小鮎川に流れ込む沢の中で、貝の化石紋の入った石が見つかる場所で化石は今でも見つかるんだとか。
- 「弘徳寺の袈裟掛けの松」です。この松は、親鸞の願いにより通常二葉ある葉が一葉であったので「一葉の松」と呼ばれていましたが、のちに覚如が袈裟を掛けたことから「袈裟掛けの松」と名付けられました。
- 「恩曽川の片葉の葦」です。昔、恩曽川で川遊びをしていた子どもたちが河童によって水死させられました。怒った住民が河童を捕まえて問いただすと「もうやらないので自分たちの住まいである片葉の葦の場所の河童権を認めて欲しい」と言ったそうです。
- 「白山池の霊水」です。干ばつが続いていた頃、農民たちは雨乞いの行事をして白山山頂の白山池の水を空にしました。すると白龍が現れて三日三晩雨を降らせたと伝えられています。
これも長谷寺の歴史が長いからこその七不思議なのかもしれませんね。御朱印以外に見どころがあるのは嬉しいですね。
長谷寺の周辺おすすめスポット
御朱印を目的に長谷寺に訪れて境内を散策したとしても、そんなに大きなお寺ではないので時間ができると思います。そんな時は長谷寺の周辺スポットに足を伸ばしてみましょう。もう一つ御朱印をゲットできるかもしれません。
寒川神社
神奈川県の大部分にあたる「相模国」の一宮とされる神社が「寒川神社」です。
人生の転換期を迎えている、なんだか悪いことが続いている、そんな時に祈願すると効果的な八方除祈願で有名です。
また、視聴率祈願の神社としても知られていてテレビ関係者の祈願も絶えません。
大山ケーブルカー
丹沢山地の南東にある大山を登る「大山ケーブルカー」で雄大な自然を体感してみましょう。山上にある大山阿夫利神社で御朱印をいただいたり、大山、ヤビツ峠などハイキングにもピッタリです。
かつて日向山霊山寺といわれ、元正天皇の頃、僧行基によって開創されたと伝えられる「宝城坊日向薬師」も人気です。
鉈彫の本尊薬師如来三尊像を始め、薬師如来像・阿弥陀如来像・四天王・十二神将など9件の国の重要文化財を見ることができますよ。もちろん御朱印をいただくこともできるので、興味があればおすすめのスポットです。
まとめ
長谷寺の御朱印と見どころはいかがでしたか。
長谷寺には飯山の七不思議という伝説が残されているほど、歴史のあるお寺だということが分かりますね。見どころも満載なので、御朱印だけでなく、ゆっくりと境内を回ってみましょう。また、周辺のおすすめスポットも景色の美しい場所ばかりです。
1日に複数の御朱印をいただく旅も素敵ですね。