御朱印をいただく時に写経を納めた方がいいというお話を聞いたことはありませんか。お寺で御朱印をいただく場合によく言われることですが、うやむやでよく分からない部分が多いですよね。
そもそも写経って何?というお話から、写経はどうやってやるのかなど、御朱印と写経にまつわるポイントをご紹介します。
御朱印をいただく時には写経が必要なの?
写経とはお経を書き写すことをいいます。
昔からお経は読むだけでも功徳があり、読誦すればより大きな功徳が、書写すればよりいっそう大きな功徳があるとされてきました。一文字書き写すごとに一仏が現前すると言われるように、一切の結果を求めずただ一心に写経させていただくことが、ありがたいのであり、尊いことなのです。
そこで人々は多くの功徳を求めてお経を書き写し、それを寺に納めることで、御朱印をいただいていました。これが御朱印の元々のルーツです。その功徳とは自分の信仰心を深める、先祖の供養をする、無病息災や、商売繁盛を祈願するものでした。
多くのお寺では写経の証明としての御朱印だったのです。しかし現代は簡略化され参拝した印やお布施等でいただけるようになりました。
御朱印はすぐにいただける身近なものになりました。ですから、御朱印をいただくのに必ず写経が必要ということはありません。きちんと参拝をしていれば、ほとんどのお寺では御朱印をいただくことができます。
しかしお寺の中には今でも写経を納めないといただけない所もあります。せめて般若心経を唱えてからという場合もあります。
御朱印はそのお寺を表す大切なものです。写経をせずにいただいた御朱印も御本尊や、御神体の分身として感謝し、大切に扱うという心が大切です。
そもそも写経ってどんなもの?
写経と言われてもいまいちピンと来ない人も多いと思います。
写経の元々の目的は「経典のコピー」でしたが、現代では「心身を清める修行」としての意味合いを持っています。経典とはお釈迦様のありがたい教えを纏めたものなので、写経を繰り返すことでその意味を感じ取りながら学ぶことができると言われているのです。
また、写経を行う際には姿勢を正して机に向かうので、集中力が身に付くとも言われています。御朱印をいただく時によく使われる経典として、一番人気があるのは「般若心経」です。
般若心経は宗派を問わず広まっている経典であり、最も判りやすい内容を持っているといえます。それ以外には、「法華経」や「正法眼蔵」などがあります。
特に法華経では文中で写経することを音読と並べて勧めているため、般若心経と並んで人気の高い写経の経典なのです。また、最近の研究では、写経は脳の活性化に効果があることが判ってきました。
物を書くということが減った現代では、物を書くだけで脳に刺激を与えることができるのです。お手本通りに写すために視覚やイメージ力を使うことも脳の活性化に効果があります。
こうして知れば知るほど奥が深い写経なので、せっかく御朱印を集めているのであれば、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
写経を納めて手にした御朱印は、また違った印象を受けるかもしれませんよ。
写経をする上での作法
御朱印をいただく場合の写経であれ、興味本位の写経であれ、写経にも作法があります。
写経は仏の教えを体得するために行う仏道修行でもあります。ですから、身体を調え、呼吸を調え、心を調えることが根本となるのです。まず、写経を始める前に手を洗い、口をすすいで身を清めます。
写経を行う室内の整理整頓をして、お香を焚くと良いでしょう。机の上に写経をする為の道具を「平行直角」に揃えます。合掌して深く礼拝をしたら、姿勢を正して深呼吸を繰り返します。
本来は30分ほどですが、3回でもOKです。静かに呼吸を整えながら少量の墨をすります。合掌をして経文を唱え、これから写経をさせていただく心構えを整えます。
そしていよいよ、写経を始めます。写経は上手い、下手ではなく、一文字一文字に心を込めて丁寧に書くことが大切です。一点一画もおろそかにせず書写します。
書き終わったら合掌して深く礼拝します。最後は静かに席を立ちます。作法だけを書くと、とても難しく感じるかもしれませんが、実際はもう少し緩くても問題ありません。お浄め→合掌・礼拝→深呼吸→写経→合掌・礼拝といったところでしょうか。昔の人は大変な思いで御朱印をいただいていたのが分かりますね。
お寺で写経をする方法
写経は仏教の修養のひとつなので「難しそうだ」と感じるかもしれませんが、今は様々なお寺で「写経体験」を行っているので手軽に挑戦できます。御朱印のために写経を書く文化はなくなっても、写経は経典を学び、他の人に流布するためのものです。
現代においては精神修養の意味合いが強く、その効果に着目されています。お寺で写経を体験したい場合は、お寺のリサーチから始まります。
お寺によっては会員にならなければできない場合と、予約不要でやらせてもらえるお寺があります。初めてならば、後者を選ぶと良いですね。
写経体験ではお寺の本坊で申し出れば案内していただけます。そのお寺によって多少作法が異なるので、住職さんの話を聞きながら進めていきます。写経体験で多いのは、やはり「般若心経」ですね。
写経を始める前に実際に唱え、心を静めてから写経を開始します。早く書こうとせずに、自分のペースで丁寧に書いていきます。書き終えた写経はそのお寺に納めて、記念に御朱印をいただきましょう。
お寺によっては写経の後に抹茶とお菓子で休憩もできるので、緊張した後にホッと一息つけますよ。道具を揃える必要もないので、手軽に写経ができますね。
自宅で写経をする方法
もし写経を納めてから御朱印をいただこうと思った時に、毎回お寺で写経をするのは大変ですね。そんな場合は家で書いた写経をお寺に納めることができます。家で写経をする場合は、まず道具を揃えなければなりません。
必要なのは「写経用紙」「手本」「毛筆」です。写経用紙は文具店などでも取り扱われていますし、手本は、写経用のテキストで充分足ります。毛筆は家に毛筆の一式があればよいですが、なければ筆ペンでも問題ありません。
写経用紙には、薄く経典の内容が印刷されているものや、罫線だけ印刷されているものなど様々にありますが、最初のうちは薄く印刷されているものを利用するとスムーズに書くことができます。
またお寺のホームページに写経の資料がダウンロードできるようになっている場合があるので、お気に入りのお寺がある場合は、資料があるか確認するのも一つの手です。
写経をした写経用紙は、菩提寺もしくはご自分の宗派の寺院に奉納して御朱印をいただいても良いですし、お墓に納めたり、家の仏壇に御供えしても良いでしょう。
御朱印と共にブームを引き起こしている写経なので、ハマってしまうかもしれませんよ。
まとめ
御朱印を頂く時の写経の収め方5つのポイントはいかがでしたか。
未知の世界である写経でしたが、内容を知ると割と身近に気軽に書くことができるものです。
写経による良い効果もたくさんありますし、御朱印をいただくにも胸を張っていただくことができます。昔の流れに沿って、写経を納めてから御朱印をいただくのも素敵ですね。
