『花かるた』とも呼ばれる花札は、伝統的な日本のかるた遊びです。四季折々の美しい絵柄が書かれた札には、日本の雅も感じられます。しかし花札に描かれた絵柄にはどのような意味があるのでしょうか。
この記事では花札に描かれた絵柄の意味や由来を詳しく解説していきます。絵柄の意味を知ると、さらに花札が楽しくなりますよ。
目次
【花札】とは?由来や歴史
花札は安土桃山時代に誕生した『天正かるた』が元になったと言われています。天正かるたは江戸時代に庶民の間で広まり、人気のかるた遊びになりました。しかし賭け事に使われることが多く、武士の間でも人気になったため一時は幕府に禁止されています。その後、禁止された天正かるたの代わりに誕生したのが花札です。
幕府の目をごまかすために、花札には数字ではなく絵柄が使われるようになりました。12ヶ月の絵柄は、実は数字を表しているのです。今でも花札は、古来から続くかるた遊びとして伝承されています。
花札は12ヶ月が4枚ずつの、48枚で遊ばれます。それでは実際に、花札の絵柄の意味や由来を見ていきましょう。
【1月:松】松に鶴(つる)
1月の札には、松にとまる鶴が描かれています。実は【松に鶴】はとても縁起が良い札です。鶴は昔から白い羽が白髪を連想させ、亀と同様に長寿の象徴とされてきました。また、松は冬でも青々としているので不老長寿の象徴と言われています。同じ長寿の意味を持つ鶴と松は、縁を担いでくれるのです。
【2月:梅】梅に鶯(うぐいす)
2月の札には、梅にとまる鶯が描かれています。梅は古くから和歌や俳句などに詠まれ、日本の代表的な美しい花とされてきました。また、純粋さを意味する鶯も、美しい鳴き声を多くの人から愛でられています。【梅に鶯】の札は、純粋な子どものようにまわりから愛情を受けられるという意味があります。全体的な運気も良くなっていきますよ。
【3月:桜】桜に幕
3月は桜の下に幕が書かれた札です。桜の下にある幕は、お花見の会場を表しています。【桜に幕】に描かれた満開の桜と横長の幕は、昔のお花見の様子なのです。冬が明けて春の訪れを表す桜は、新しく何かを始めるのに最適な時期を意味しています。植物と同じように、新しい気持ちでスタートができますよ。人気運も良くなるので、恋愛や仕事も好転していくでしょう。
【4月:藤】藤に不如帰(ほととぎす)
4月の札には、渡り鳥の不如帰と藤の花が描かれています。「青豆」や「黒豆」とも呼ばれる藤の花は、長命の象徴として古くから親しまれてきました。また藤の花が咲く時期に鳴きだす不如帰は、和歌の中でもよく一緒に使われています。【藤に不如帰】の札は、希望とチャンスを象徴しています。特に対人運や仕事運に恵まれるでしょう。
【5月:菖蒲】菖蒲に八橋(あやめにやつはし)
5月の札は【菖蒲に八橋】と言われますが、実際に描かれているのは菖蒲ではなく杜若(かきつばた)です。杜若と菖蒲はよく似ていますが、杜若は水辺に咲きます。「いずれ菖蒲か杜若」と言われるように、どちらも美しく区別が難しいと言われていました。そして菖蒲は稲作を始める時期、八橋は富や豊かさの象徴です。【菖蒲に八橋】の札は、商売を始める人や仕事運、金運に縁を運んできてくれます。
【6月:牡丹】牡丹(ぼたん)に蝶
6月の札には美しく咲く牡丹の花と蝶が描かれています。『百科の花』とも言われる牡丹は、幸福や気品を表す花として愛されてきました。美しく、落ちついた女性を表すこともあります。また蝶は再生や復活の象徴です。美しい牡丹の花のまわりを蝶が飛ぶ【牡丹に蝶】の札は、愛情と豊かさを表します。
【7月:萩】萩に猪(はぎにいのしし)
7月の札には秋の七草である萩と、猪が描かれています。【萩に猪】は美しい萩と獰猛な猪の対照が際立つ札です。萩は万葉集の中で最も多く使われる植物です。そして生命力が強い萩と、純真無垢な猪は好奇心を意味します。積極的に行動すれば、人生が充実し満足感を得られるでしょう。金運や健康運が良くなる可能性も高いです。
【8月:芒】芒(すすき)に月・雁(かり)
8月の札には秋の七草の芒と、山の上を飛ぶ雁が描かれています。現代と同じように、旧暦の8月15日には芒を飾り十五夜が行われていました。どちらも秋の風物詩です。赤い空に輝く真っ白な月は、お祝いや勝利の象徴でもあります。【芒に月・雁】の札は、成功を収めるサポートをしてくれるでしょう。金運や仕事運にも力を貸してくれます。
【9月:菊】菊に盃(さかずき)
美しい菊の花と杯が描かれた9月の札は、9月9日に行われる行事『重陽(ちょうよう)の節句』を表しています。重陽の節句では、蒸した菊に冷酒を注ぎ、香りを移した菊酒が飲まれていました。菊を見ながら菊酒を飲むと、長寿のご加護があるとされています。【菊に盃】の札は、人気運を後押ししてくれます。まわりの人や友人から多くの縁をいただけるでしょう。
【10月:紅葉】紅葉(もみじ)に鹿
10月の札には紅葉と鹿が描かれています。紅葉と鹿のペアは、2月の【梅と鶯】のように縁起が良いとされている組み合わせです。ちなみに日本語の「しかと」と言う言葉は、【紅葉に鹿】の横を向く鹿の姿が由来となっています。そして神の使いとも言われる鹿が、知恵や強い精神を象徴する札です。
【11月:柳/雨】柳に小野道風(おののみちかぜ)
11月の札には、小野道風と柳の葉にジャンプするカエルが描かれています。何度失敗しても懸命に柳の葉にジャンプするカエルを見た小野道風は、自分も努力しなければと思ったと言われています。その結果、小野道風は書道の神として名をはせるようになりました。【柳に小野道風】の札は、健康運以外の良い運気を表しています。
【12月:桐】桐に鳳凰(きりにほうおう)
12月の札には中国の零鳥である鳳凰と桐が描かれています。伝説の鳥である鳳凰は、唯一青桐にだけとまると言い伝えられてきました。また、桐は古くから神聖な木として親しまれています。神の使いである鳳凰と高貴な木材の桐が描かれた【桐に鳳凰】は、神の力によって強いパワーが与えられるとされる札です。
まとめ
色鮮やかな絵札の花札は、様々な意味を持っています。それぞれの持つ意味を知ると、さらに楽しめるでしょう。昔の人たちが楽しんだ伝統的なかるた遊びは、日本の文化を知る良いきっかけにもなりますよ。
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