ハワイには昔から語り継がれている色々な伝説がありますが、その中のひとつに『メネフネ』と呼ばれる不思議な小人族の存在があります。
『メネフネ』は、小さい身体でありながらも、かなりの力持ちであり、不思議なパワーがあり、ありえないようなことをしてのけると語り継がれているのです。
ではその不思議な『メネフネ』とは、いったい実在していたのか、神様なのか、そしてハワイの人々にとってはどのような存在なのでしょうか?
『メネフネ』とは
「メネフネ」は、ポリネシア人がハワイに移住するずっと以前、何世紀も前にハワイ諸島に棲んでいたとされる小人族のことで、筋骨隆々ではあるものの、その身長は普通の人間の半分ほどしかなかったと言われています。
この「メネフネ」は、伝説上の小人族であるという説と、妖精、神などいろいろな説が残っています。
一説では、タヒチやマルケサスからカウアイ島に食糧難の時代に移住してきた小人族で、最初はカウアイ島の森や谷に隠れて暮らしていたとされています。
またハワイに最初に棲んだ先住民であるとも言われているのです。
最初にカウアイ島のワイメア渓谷に移住してきた「メネフネ」は、その地が緑と水が豊富であることを気に入り、村を築き、やがて故郷に使者を送って、たくさんの「メネフネ」を連れて来たのでした。
彼らは恥ずかしがりなところもあり、基本的には太陽が高いうちは姿を現すことはなく、夜になると行動を始めます。
「メネフネ」は、イタズラ好きで、陽気な性格で、歌ったり踊ったりすることも得意であり、好きな食べ物はバナナと魚、とくにエビが好物でした。
「メネフネ」は素敵な技術をいくつも持っており、そのひとつは魔法の矢を使い、怒っている人の心にそれを突き刺すことで、その人の心に愛の感情を呼び起こさせるというものなのです。
ちなみに虹を作ったのも「メネフネ」であると、ハワイでは語り継がれています。
「メネフネ」はとても賢く、勤勉で、力持ち、そして優秀な職人でもあったのだそうです。
そんな彼らは寺院(ヘイアウ)、養魚池、道路、カヌー、家などをあっという間に上手に作ったのです。
「メネフネ」は、その後どんどんと増え続け、それと同時にほかのポリネシア人と結婚するようになり、このままでは純粋な血を受け継ぐ「メネフネ」がいなくなってしまうと思った「メネフネ」の王は、ある決断を下します。
混血の子孫、家族を残し、純粋な血を受け継ぐ「メネフネ」だけを集め、何十隻ものカヌーに乗り込んで、ある日突然ハワイから立ち去ってしまったのでした。
ただほんの少しの「メネフネ」は、こっそりとハワイに居残ったという話も残されています。
『メネフネ』とハワイはどんな関係?
このようにハワイの伝説では「メネフネ」は、人間であり、神であり、妖精でありという、とても不思議な存在です。
また彼らの好物であるバナナやエビをお供えしておくと、夜の間に人間の願いを叶えておいてくれるというパワーの持ち主でもあったのです。
そんなところから、ハワイではあちらこちらにシンボルマークとして、今でも「メネフネ」の姿を見ることができます。
まずは空港で、もし何らかの工事が行われているときには「メネフネ」のイラスト付きで「Menehune At Work(メネフネ作業中)」というポスターが貼りだされ、「作業中につきご迷惑をおかけします」という文言が記載されています。
ほかにもペットボトル入りの水にも「メネフネ」のロゴが、ポテトチップスの袋にも「メネフネ」のロゴなど、会社のロゴとしてもハワイではよく用いられています。
ある意味神秘的な存在でもあり、謎も多い「メネフネ」は、ハワイの人たちが今でも身近に感じる一種の守り神でもあるのです。
