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『徒然草』(つれづれぐさ)にも登場する石清水八幡宮
兼好さんの『徒然草』第52段に、石清水八幡宮が登場します。
ある仁和寺のお坊さんが、かねがね石清水八幡宮に参拝したいと思っていました。やっと念願が叶って一人で出かけたのですが、男山のふもとにある極楽寺や高良神社(こうらじんじゃ)が八幡宮だとすっかり思い込んで、山には登らず、帰ってきてしまいました。そして仲間に、「お参りを済ませた人が山へ登って行ったのだが、上に何かあったのだろうか。知りたかったけれど、神社に参拝することが本意なので、山までは見ませんでした」と語ったのです。
その山上にこそ石清水八幡宮があったのですが、とんだ思い込みで、肝心の八幡宮にお参りできなかったという話です。兼好さんは、このお坊さんの話から、「少しのことにも案内人がほしいものだ」という感想を述べています。
高良神社(こうらじんじゃ)
仁和寺のお坊さんが恭しくお参りした高良神社は、男山のふもと、一ノ鳥居、頓宮(とんぐう、仮の宮)の南門を抜けると、右側にあります。石清水八幡宮の摂社で高良玉垂命(こうらたまだれのみこと)を祀っています。行教和尚が860年に社殿を建立したと伝えられています。昔は、八幡宮付属の極楽寺とともに荘厳な建物が並んでいたと想像されますが、1864年の鳥羽・伏見の兵火で焼失しました。
現在の社殿は、1884年に再建された入母屋造檜皮葺(いりもやづくりひわだぶき)の社殿です。
「厄除の木」タブの木(樹齢約700年)とともに八幡地区の氏神様として崇敬されているパワースポットです。
【一ノ鳥居】
男山のふもとから石清水八幡宮へ参拝するルートの最初の鳥居です。
「八幡宮」と書かれた扁額は、松花堂昭乗が、「平安の三蹟」の一人である藤原行成の書を写したものと言われています。「八」の文字が八幡様のお使いの鳩が向かい合うように書かれているのが特徴です。
御朱印4種
御朱印は、山上の石清水八幡宮境内の「おふだ・お守り授与所」で、石清水八幡宮と摂社の武内社、石清水社、高良神社の4種の御朱印がいただけます。初穂料はそれぞれ300円です。ふもとではいただけませんので注意してくださいね。
石清水八幡宮の御朱印は、中央に力強く「八幡大神」の墨書と「石清水八幡宮」の朱印、右上に「奉拝」、「国宝」の朱印、左側に参拝の年月日が書かれています。
神官さんたちの遊び心から始まったという「鳩の御朱印」が人気です。一ノ鳥居の扁額の「八」をヒントに、中央の「八幡大神」の「八」に目を描いて、向かい合う鳩のように書かれています。授与所で「鳩の御朱印お願いします」いうといただけるそうですよ。初穂料は300円。
武内社の御朱印は、中央の朱印に、武内宿禰命の御神紋の熊笹が添えられているのが特徴です。
石清水社の御朱印には、中央の朱印に、「霊泉」の文字入りのひょうたんが添えられています。ひょうたんは、松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)が使用した印をもとに考案されたものです。
高良神社の御朱印には、右下に、「徒然草第五十二段の地」の印が押されています。
発明王エジソンと八幡竹
男山ケーブル山上駅を出て、右側の西参道を行くと広場に出ます。その中央付近にエジソン記念碑があります。
エジソンは、1879年に最初の白熱電球を発明してからも、もっと長く輝き続ける電球を求めて、さまざまな素材のフィラメントで試行錯誤を繰り返していました。
セルローズによるフィラメントが発明されるまでの10数年間は、なんとここ八幡周辺の竹が使われていたのです。エジソンは、「八幡竹」で作ったフィラメントで1000時間以上も輝き続ける電球作りに成功したのです。
こうした縁で、1934年に最初のエジソン記念碑が八幡宮境内の隣接地に設置され、50年後にデザインを一新して八幡宮境内の現在地に建立されたのです。
こちらも開運・合格祈願に、エジソンのひらめきとパワーをいただけるスポットです。
御守りとご利益
八幡大神は、厄除開運の神様として知られています。必勝祈願や心願成就は受験生に人気があり、御祭神の神功皇后様にあやかって安産祈願に訪れる人も多いようです。
厄除開運の袋守り、交通安全守護の鳩鈴のお守り、安産のお守りは各1000円です。
受験生に人気のエジソン合格祈願絵馬1000円
(竹製で、表にエジソンの顔、裏には「合格祈願 1パーセントのひらめき 99%の汗」と書かれています)。
その他にも、
八幡御神矢をくわえた神鳩扇子1500円
カップルにぴったりの鳩みくじ500円
石清水八幡宮オリジナルマスキングテープ300円
竹しおり300円
など、八幡宮ならではのお札やお守り、参拝記念グッズが充実しています。
展望台・NPO法人八幡たけくらぶ
男山ケーブル山上駅から左の石段を上がると、展望台へと進みます。
ここに『春琴抄』や『細雪』で知られる谷崎潤一郎の小説『芦刈』の一節(自筆本より抜粋)が刻まれた文学碑があります。向かい側の大山崎から橋本へ渡る淀川の中州が舞台になっています。生誕100年を記念して、1986年7月24日に序幕されました。
展望台の一角に、NPO法人「八幡たけくらぶ」の館があります。2003年からボランティアの方々が里山保全を目指して活動され、放置された竹林が広がり、雑木が生い茂り、ツタがはびこって景観が遮られていたこの周辺を整備されました。そして、木津川・宇治川・桂川の三つの川が合流して淀川となる雄大な景色や京都タワー、比叡山まで見渡せる展望台へと生まれ変わったのです。
戦国時代には、合戦の要となった地点で、対峙する天王山(大山崎)を観ながら、秀吉と光秀の戦いに思いを馳せるのも一興です。
「八幡たけくらぶ」の館では、伐採した竹でカマキリやフクロウなどたくさんの竹細工や竹製品を作り販売しています。こちらは、土・日・祝日の午前10時~午後3時までの開館ですが、開いていたらのぞいてみてください。
エジソンの白熱電球発明に貢献した八幡の竹が、有効活用されているのはうれしいことですね。
名物「走井餅」(はしりいもち)
男山ふもとの一ノ鳥居の手前に、「やわた走井餠」があります。もともと滋賀県の大津に、江戸時代中期1764年に創業された老舗で、湧水「走井」を用いて、やわらかい羽二重で包んだ餡餅を作りました。やや細長い形は、剣難を逃れ、開運出世の縁起を担いだと伝えらえています。
おいしい走井餠と煎茶や抹茶をいただきながら、お参りで疲れた足を休めるのにおすすめのお店です。季節によっては桜餅やみな月、わらび餅、栗餅などもお目見えし、甘党にはたまらない魅力です。お店の方々も明るく親切でした。
アクセス
石清水八幡宮 〒614-8588 京都府八幡市八幡高坊30 TEL 075-981-3001
電車の場合、京都駅からは、近鉄電車「丹波橋駅」あるいはJR「東福寺駅」のりかえ、京阪電車「八幡市駅」で下車。男山ケーブル「男山山上駅」から徒歩5分。
大阪方面からは、地下鉄御堂筋線「淀屋橋駅」あるいはJR環状線「京橋駅」からのりかえ、京阪電車「八幡市駅」で下車。男山ケーブル「男山山上駅」から徒歩5分。
まとめ
パワースポットいっぱいの石清水八幡宮はいかがでしたでしょうか。
石清水八幡宮へはケーブルカーを使わずに、ふもとから徒歩で上るルートがあります。仁和寺のお坊さんが勘違いした、高良神社の少し先から裏参道コース、二ノ鳥居をくぐって七曲りからの表参道コース、景清塚の手前から石段を上がって松花堂跡、石清水社を通って、東側参道から南総門へ行くコースなどいろいろ楽しめます。
いずれも30分~40分くらいの軽いハイキングコースですので、お天気の良い日や、桜・新緑・紅葉の美しい季節などに、ご家族や友人でのお参りをおすすめします。
どうぞぜひ一度訪ねてみてください。
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