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東の叶神社
東岸 叶神社(かのうじんじゃ) 通称 東叶神社
ご祭神:誉田別尊 ほんだわけのみこと(第15代応神天皇)
『新編相模国風土記稿』に、1644(正保元)年、西浦賀の本社を勧請して、牛頭天王(ごずてんのう)、船玉明神を合祀したとあります。
また、別の言い伝えでは、1692(元禄5)年、江戸幕府の政策により浦賀村が東西に分かれた時、西浦賀村の叶神社を勧請して祀り、西の叶神社を本宮、東の叶神社を若宮と呼んだといわれています。
八幡社と同じく、国家隆昌、産業興隆、家業繁栄、航路平安、交通安全、厄除開運、勝運長久などのご利益をいただけます。
東の叶神社 御朱印と見どころ
鳥居
風格のある鳥居です。一礼をしてくぐります。出る時も一礼を忘れないようにしましょう。
手水舎
こちらで手と口を清めます。
伝 源頼朝奉納の蘇鉄
石段の途中、左右の立派な蘇鉄が迎えてくれます。1186(文治2)年、源頼朝が平氏を倒し、源家再興の願いが叶った意を込めて、神号を「叶大明神」と改めた時に、伊豆から移植奉納されたと伝えられています。
狛犬
こちらの狛犬は左右どちらも口を閉じた吽形のように見え、西叶神社の狛犬(どちらも阿形)と対になっているのではないかという説があります。
向かって左側の狛犬は子どもを抱いています。右側の狛犬は子どもに乳を含ませています。ユーモラスな親狛犬の表情、ほのぼのとした愛情が感じられる珍しい狛犬です。なんとも癒されます。じっくりご覧ください。
社殿
現在の社殿は、1929(昭和4)年に再建された銅板葺権現造りです。こちらの建物は拝殿で、本殿(奥の院)は拝殿の後ろに続く明神山の山頂にあります。シンプルな拝殿が後ろの明神山の緑に自然に溶け込んでいます。
絵馬掛けどころ
拝殿の左右に「叶」の絵馬が多く掛けられていました。東叶神社の「叶」は赤い文字で、西叶神社の黒文字の「叶」と対照的です。両方に願掛けするといっそうご利益アップしそうです。初穂料は500円です。
拝殿の左に、明神山へ続く200段を越える石段があります。
恵仁志坂(えにしざか)と産霊坂(むすびざか)と名付けられた縁結びにご利益がある二つの坂があります。山頂には、本殿(奥の院)、東照宮、神明社、勝海舟断食修行之跡(後述)などがあります。
ここは、戦国時代には後北条氏が築城したと伝えられる浦賀城があったそうです。千葉の里見氏に対する防備で置かれた三浦半島水軍の根城でした。山全体が社叢林(しゃそうりん)として自然のまま保護されており、県の天然記念物に指定されています。
石段を少し上ったところの左に、カフェ「サロンアカンサス」への入り口があります。お隣の敷地にあるガラスで囲まれたおしゃれなカフェで、イギリスの雰囲気が味わえると評判です。店長はオーナー愛犬のボブ君とか。時間があったら休憩をおすすめします。
拝殿前の石段を下りる時、浦賀の海が青く輝いていました。石段を下りると左側に社務所と境内社があります。
耀真山永勝不動尊(ようしんざんえいしょうふどうそん)
社務所の前にあります。明治以前の神仏習合時代、叶神社は、耀真山永神寺という真言宗の別当寺で、宮司と住職を兼ねていました。この石彫の不動尊を拝むことによって、今も叶神社に伝わる本尊の耀真山永勝不動尊をお参りできます。
身代わり弁天(厳島媛命、いつくしまひめ)
不動尊の右の石窟の中に祀られています。1790(寛政2)年に勧請されました。昔から天災や人災による病気、事故その他の危難に際し、身代わりになってくださるとして信仰されています。パワースポットです。
開運・金運の流水
身代わり弁天の鳥居のすぐ右に流水の鉢があります。この奥にある井戸から汲み上げた水で、この流水を硬貨にかけ流して身に着けていると、開運・金運のご利益をいただけるといわれています。
勝海舟使用の井戸
さらに奥に進むと、勝海舟が断食修行をする際、身を清めるために使ったという井戸があります。海舟は、江戸幕府の軍艦操練所教授で、1859(安政6)年、幕府が遣米使節をアメリカ軍艦に便乗させるにあたって、護衛艦「咸臨丸」の船将を務めることになりました。
その時、太平洋航海の平安を祈願して、この井戸水で潔斎した後、明神山の山頂で座禅を組み、断食修行をしたと伝わります。山頂には「勝海舟断食之跡」という標識が建てられています。
御朱印
8月にお参りしましたので、涼やかな青い「夏詣」の印が入っています。初穂料は300円です。
縁結びの勾玉御守
西叶神社でいただいた勾玉を、こちらの社務所のお守り袋に入れると、勾玉御守の完成です。お守り袋は勾玉の色に合わせて、水色、ピンク、緑の3種類あります。初穂料は500円です。私は緑のひすいの勾玉を授与していただきましたので、緑の袋がいいと思ったのですが、品切れでした。人気があるようです。
アクセス・駐車場
西叶神社:神奈川県横須賀市西浦賀1-1-13
☎ 046-841-0179 FAX 046-841-0161
京急線「浦賀駅」から、京浜急行バス「京急久里浜駅」「JR久里浜駅」行で「紺屋町」下車、徒歩1分
二の鳥居前に神社参拝者用の駐車スペースが数台分あります。
東叶神社:神奈川県横須賀市小川町11
☎ 046-822-4000 FAX 046-822-7795
京急線「浦賀駅」から、バス「鴨居」方面行(1番乗り場)で「新町」下車、徒歩7分
神社前に参拝者用の駐車スペースが数台分あります。
東西叶神社への移動は、「浦賀の渡し」がおすすめです。上記をご参照ください。
まとめ
叶神社はいかがでしたでしょうか。文覚上人の源氏再興祈願に始まって800年余り、さまざまな人々が祈願に訪れた叶神社。
浦賀海道を挟んで東西の叶神社が向かい合い、二つの神社で完成させる「勾玉御守」。ちょっとロマンチックですね。
浦賀というと、幕末にアメリカのペリー提督率いる「黒船」4隻が突然来航したことで知られていますが、最初に上陸したのは少し南の久里浜です。現在はペリー公園となっていて、ペリー上陸記念碑やペリー記念館があります。
ペリー来航から7年、幕府遣米使節の護衛艦「咸臨丸」の船将となった勝海舟ゆかりの東叶神社は、歴史をぐっと身近なものに引き寄せてくれました。この咸臨丸には中浜万次郎(ジョン万次郎)や福澤諭吉も乗り込んでいました。以後の幕府崩壊から明治維新への大きな時代の変換点がここにありました。
さて、お参りの後のランチに、車で30分ほど南に走って、三崎港で名物のまぐろ丼をいただきました。漬けマグロのだしの染み具合といい、マグロの厚さや大きさなど包丁さばきといい、絶品でした。三崎港にはマグロ関連のお店がたくさんありますので、少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか。京急久里浜線「三崎口駅」からバスで20分くらいです。
浦賀は仕事で何度か行きましたが、叶神社は知りませんんでした。以前鶴瓶の家族に乾杯?で放送していたのを見ました。興味わきましたが、この記事を読み是非参拝したいと思いました。
行くときは再読してから行きたいです。有難うございます。
ご訪問ありがとうございます。ひなびた町のさほど大きくない神社をひとつひとつじっくりお参りするのもいいと思います。三浦半島の先端ですので、海の景色を眺めながらのんびりとちょっとした旅行気分を味わえます。
人気のカギはやはり「願いが叶う」に通じる「叶神社」という名前と、西と東の両社で一つのお守りが完成するという点でしょう。そして二つを結ぶ浦賀の渡し船。ぜひお参りなさって、情緒を味わってみてください。