「マンダラ(曼陀羅/曼荼羅)」という言葉は、今までにもどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか?
もともとは仏教の中の『密教』という、古代インドで生まれた宗派における世界観を、わかりやすく図に表したものが「マンダラ」なのです。
ではその「マンダラ」にはどのような種類や、スピリチュアル的な意味、効果があるのかなどを紐解いてみましょう。
目次
「マンダラ」とは?
「マンダラ」とは秘密仏教とされる『密教』で使われている、目には見えない世界を図にしたものであり、サンスクリット語で「マンダラ」は「輪」「円」を意味しています。
これは仏教で、すべてが循環しているという、「輪廻転生」を図にしたものでもあるのです。
「マンダラ」は、もともと密教の僧侶が、仏教というものを理解し、悟りをひらくための修業として描いていました。
「マンダラ」の図をわかりやすく言うならば、宇宙や天の世界を幾何学模様やデザインを使って表したもので、それぞれの模様には深い意味があります。
美しい模様やデザインで描かれてはいますが、「マンダラ」は美術品ではありません。
「マンダラ」はすべてが厳格な規定に沿って描かれており、そこから逸脱することは許されていないので、個性が反映される美術品との違いがそこにあります。
また法具のひとつでもあり、儀式などにも用いられることがあります。
日本には唐の時代に遣唐使であった最澄と空海により、「マンダラ」が伝えられたとされています。
「マンダラ」はもともと土の上に描かれていたのですが、それがやがて木製の壇(儀式を行うために一段高くした場所)や、布に描かれるようになりました。
現在でも「マンダラ」は、密教が残っているチベット、ネパール、日本などで描かれています。
「マンダラ」の デザイン
「マンダラ」は通常上下左右に対称で円形や正方形状に描かれ、そこに仏や菩薩を配置するパターンが中心となっています。
また「マンダラ」図の内部は聖域であり、そこに邪悪なものが入ってこないような構造になっています。
「マンダラ」のそれぞれに大きな意味があるというよりは、シンボリックな図柄が描かれていると解釈するとよいでしょう。
「マンダラ」は大きく分けて4つの種類があります。これ以外にも多くの種類があり、時代によって描かれたものが多少違ってきます。
「マンダラ」の主な4種のうち、ひとつめは「大曼荼羅(ダイマンダラ)」で、これは仏や菩薩などの姿をそのまま描いたもので、すべての「マンダラ」の基本となっています。
「三昧耶曼荼羅(サンマヤマンダラ)」は、仏や菩薩などを象徴するような持ち物や印相など、シンボルに置き換えて描かれた「マンダラ」です。
3つ目は「法曼荼羅(ほうまんだら)」、もしくは「種子曼荼羅(しゅしまんだら)」といい、これは仏や菩薩が悟りに入った「禅定(ぜんじょう)」という姿で描かれるか、これらを表す梵字を用いて図にします。
最後は「羯磨曼荼羅(かつままんだら)」で、これは供養を行うときに用いられる特別な「マンダラ」で、仏や菩薩の所作や行為を表した図です。
「マンダラ」アートとは
さて、なかなか奥が深くて理解するのが難しい「マンダラ」ですが、最近では「マンダラ」アートというものが注目されています。
「マンダラ」アートは、「マンダラ」から得たインスピレーションを用いて、わかりやすく編み出されたアート技法で、自己表現の手法とも言われています。
「マンダラ」アートとは、ペンを用いて「マンダラ」を描いたり、塗ったり、または糸を用いて「マンダラ」模様を描いたりします。
基本的には「マンダラ」アートは、非常に美しい幾何学模様で、そのデザインには規則性があります。
同じことを繰り返して幾何学模様を創り上げてゆくその作業を行うことで、脳にリズムが与えられ、集中力が増し、ちょうど瞑想をしているような状態になることができます。
これによって自分の本心に気が付いたり、悩みの原因を見出すことも可能なのです。
またストレス解消や、心の浄化効果も期待でき、ポジティブになれたり、直感を磨く効果も期待できます。
精神科医であり心理学者であるユングは、実際に自分の患者に心理療法として「マンダラ」アートを描かせることで、その治療の効果を実感したことでも有名です。
このことから自分に向き合って自信を取り戻したり、精神的に不安定なときに「マンダラ」アートを描くことで、心を解放することができ、また心の癒しと安定を得るという効果が期待できるとされています。
