「見ざる言わざる聞かざる」という3つの叡智を表した言葉があります。両手でそれぞれ、両目、両耳、口をふさいだ3匹の猿に象徴されています。「三猿(さんえん)」と呼ばれていますが、賢く生きていくための智慧になります。
「見ざる言わざる聞かざる」の意味から読みとく、開運スピリチュアルについてご紹介します。
見ざる言わざる聞かざるの意味とは?
「見ざる言わざる聞かざる」というのは、余計なことは見ない、聞かない、言わないという意味になります。人生うまく生きていくために必要なコツとして、自分にとって都合の悪いことや他人の嫌な部分は「見ざる言わざる聞かざる」を心掛けるとよいでしょう。
見ざる言わざる聞かざるの由来
「三猿」の由来は複数あります。「見ざる、聞かざる、言わざる」は、8世紀ごろ、天台宗の教えとして日本に伝わったという説があります。子供の頃は何でも吸収してしまいやすい時期です。
そんな時は、他人の欠点や過ちなどは、見たり聞いたりせずに、他人に話さないで素直なままに育って欲しいという親の願いが込められています。
孔子(こうし)の論語には「非礼勿視 非礼勿聴 非礼勿言 非礼勿動(礼にあらざれば視るなかれ 礼にあらざれば聴くなかれ 礼にあらざれば言うなかれ 礼にあらざればおこなうなかれ)」という一節が記されており、「礼節に背くことに注目するな、礼節に背くことに耳を傾けるな、礼節に背くことを口にするな、礼節に背く行為をおこなうな」という戒めの意味になります。
英語の「見ざる、言わざる、聞かざる」
海外では「見ざる・聞かざる・言わざる」の順で表現されることが多く、英語で表現する場合は、「See no evil, hear no evil, speak no evil」または「hear no evil, see no evil, speak no evil」になります。三猿は「the three wise monkeys」になります。
実はサルは四匹だった?
日本では猿モチーフである、「三猿(さんえん)」が有名です。日本では「目を隠している猿」「口を隠している猿」「耳を塞いでいる猿」の3匹の猿です。世界では4匹で1組の像も多くあります。
4匹目の猿は、股間を両手で隠して「しざる」=浮気をしないという意味になるそうです。中国や台湾などでは、4匹の猿の像が見られます。日本では「四猿」を「しざる」と読み死を連想させるとされ、3匹になったのではないかと言われています。
①目を両手でふさぐ猿。「見ざる」
②口を両手でふさぐ猿。「言わざる」
③耳を両手でふさぐ猿。「聞かざる」
④股間を両手でふさぐ猿。「しざる」
庚申様になぜ三猿いるの?
日本で三猿が広まったのには、庚申(こうしん)信仰と深いかかわりがあると言われています。庚申様(こうしんさま)には、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が彫られています。
「三猿」の元になる教えは、道教に由来し、中国の土着の伝統宗教になります。庚申信仰というのがあり、猿は神様の使いとされています。人の体内には3匹の虫「三尸(さんし)」が棲んでいると言われています。
十干十二支の組合せの一つであり1年に6回ある庚申(かのえさる)の夜、人が眠っているときに三尸の虫が体内から抜け出し、その人間の罪や悪事を天帝に告げ口をすると言われています。
その罪に応じて天帝はその人の寿命を決めると言われ、長生きするためには、虫が逃げないようにその夜は眠らないで身を慎むという風習がありました。この虫を封じてくれるのが、庚申様になります。
庚申様のお使いにみたて、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿信仰にもなっているため、三猿がいます。
三猿が見れる有名なスポット
【日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)】
世界遺産にも登録されている「日光東照宮」は、徳川初代将軍「徳川家康」が祀られている神社です。三猿は、境内の神厩舎(しんきゅうしゃ)の建物に作られています。
神厩舎とは、神馬(しんめ)と言われる神様にお仕えする馬が生活する馬小屋になります。神厩舎では、「赤子時代」「幼少時代」「少年時代」「青年時代」「挫折と慰め」「恋の悩み」「結婚(夫婦)」「妊娠」と人の人生を表す8段階のストーリーになっています。
合計で16匹の猿の彫刻があります。「幼少時代」のところに「見ざる言わざる聞かざる」の順番で三猿が並んでいます。江戸時代の初期に活躍した彫刻職人の左甚五郎(ひだりじんごろう)の作品と言われています。
[所在地] 栃木県日光市山内2301
[営業時間] 9:00~17:00(11月~3月は9:00~16:00)
まとめ
「見ざる聞かざる言わざる」の3匹の猿の目と耳と口を両手でふさいだ像で、3匹の猿は世界の各地で見られます。天台宗の僧侶によって日本に伝えられたのが由来と言われています。日本では、日光東照宮の彫刻が有名で子育てに関する教訓を示しています。
三猿は8面あるうちの「幼少期」に当たります。「世の中や人の悪いところは見ないように」「人の悪口を言ったりしない、余計なことを言わないよう」「人の悪口を聞かないよう、また悪い噂を聞いたとしても聞き流す」という生き方の智慧がこめられています。
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