「瞑想」を日常に取り入れるにあたって、気構えすぎているところはありませんか。たとえば、早朝の決まった時間に瞑想しなければいけないとか、マットを敷いて足を組んで座って瞑想しなければいけない、などと窮屈にとらえてしまう方も多くいらっしゃいます。
また、いざ瞑想を続けようと思うと、なかなか時間が取れないため続かないなんてことも多いはず。そんなとき、おやすみ前に寝ながら気軽に瞑想ができればいいのにと思いますよね。
くたくたに疲れているときや、なんとなく体調がすぐれないときでも、「これならできる」と思える「寝ながら行う瞑想法」をご紹介します。ちょっとした工夫で、寝ながらでもしっかりと瞑想の効果を体感できます。
目次
寝ながら瞑想してもいいの?

瞑想では、呼吸に重点をおきます。背筋を伸ばして、肩の力を抜いて、深い呼吸をするのに妨げにならない姿勢を保ちます。つまり、呼吸を妨げない姿勢であれば、寝ながら瞑想してもよいのです。
多くの人が目にしたことのある「涅槃仏」も、寝姿勢のまま説法をされています。入滅前の体力を温存しながらも教えを説く、慈悲深いお姿です。身体の力を抜くという点においては、理想的な姿勢ですし、寝ながらでも瞑想できるのだと太鼓判を押された気分になりますね。
座位で瞑想をするとき、「正しい立ち姿勢」を意識して上半身をまっすぐに保ちます。寝姿勢についても意識する部分は同じで、正しい立ち姿勢のまま身体を横たえる体位が理想的とされています。
正しい姿勢というのは、人間が生きるために必要不可欠な酸素を充分に取り入れられる姿勢です。
ヨガ・スートラの教えにも、今の心の状態が呼吸にあらわれているといいます。瞑想のとき以外にも自分の呼吸を観察しながら深い呼吸を意識すると、疲れやストレスが軽減しますよ。
さて、呼吸以外に、寝ながら瞑想をするときもうひとつの課題は眠ってしまわないことです。一日の疲れた脳を休めるのは「瞑想」でしか得られない効果です。寝ながら瞑想なんてできるはずがない、と思う多くの方の懸念は、眠ってしまうということでしょう。
もしも、とても忙しかった日の夜に、全身の力を抜いて、深い呼吸をして、漫然と目を閉じたら、眠ってしまいますよね。脳も、睡眠だと勘違いしてしまうことでしょう。そこで、眠くならない、寝ながら瞑想するコツを3ステップでご紹介します。
寝ながら瞑想するおすすめの方法

寝る前に、寝ながらおこなう眠くならない瞑想のステップをご紹介しますが、瞑想が深まるにしたがって、寝たままリラックス状態になります。すると、そのまま眠ってしまうことは予測できますよね。
寝ながら瞑想することを成功させるために、就寝前にすべきことは、すべてすませてから瞑想に臨みましょう。
ステップ1:姿勢を整える
寝ながら瞑想をおこなうとき、座位に比べると身体の力が抜きやすいというメリットがあります。
はじめに、身体を冷やさないためにも、季節に応じて、足元かお腹にはブランケットなどを掛けておくことをおすすめします。
手の位置は、手の平を上向けにして身体の横でゆったりと伸ばします。または、手を軽く組んで、ちょうど胸の下、胃の上を避けて肋骨の上当たりに置いても良いでしょう。いずれの場合も、肩がご自身の身体の重みで開いている状態を意識しましょう。
枕はない方がよいですが、立ち姿勢のときと同じ位置に頭がくるように、バスタオルなどをくるくる巻いたものを首の下に入れるなど調整してみて下さい。あごの位置が上がりすぎても、下がりすぎても、深い呼吸の妨げとなってしまいます。
妊娠中の方や、腰痛、ケガなどで仰向けの姿勢がつらい場合は、身体の状態をゆっくりと観察しながら呼吸がしやすい体位を探ってみて下さい。深呼吸を何度か繰り返してもつらくない体位で、身体の一部にだけ体重がかかりすぎない体勢あれば、瞑想に集中できるでしょう。
準備ができたら、軽く目を閉じます。
ステップ2:呼吸を深める
姿勢が整ったら、いよいよ瞑想に入っていきます。
座位と同じように深呼吸からはじめて、呼吸に意識を向けていきます。このとき、息苦しいなどの違和感があるときは、頭の位置を調整してください。
深呼吸で、呼吸が深まってきたら、吐く呼吸に意識を向けながらゆっくりと呼吸を繰り返します。力を抜くと、舌が下がってきやすくなりますので、舌先を上顎に軽く押し当てるようにして安定させます。
ステップ3:視点を定める
寝姿勢で、目を閉じると今日一日の具体的な出来事が思い出されるかも知れません。
頭を振ってみたところで消えないものですので、今日あった「うれしかったこと」「たのしかったこと」などをひとつふたつ思い出して、「今日も楽しかった、ありがとう」といって流しましょう。とんでもなくついてない一日だったとしても、良かったことを見つけ出して下さいね。
一通り雑念をやり過ごしたら、意識を深めていきます。
横になって漫然と目を閉じると、脳は眠りと勘違いしてしまいますので、目を閉じたまま、ご自身の眉間に視点を合わせるイメージをしてみてください。このとき、実際に眉間を見ようとすると、目を閉じていても眼球が寄り目になり疲れてしまいますので、あくまでイメージするようにしてくださいね。
目を閉じて、眉間を見ている感覚がつかめてきたら、そのまま頭の中に白い光をイメージします。息を吐くごとにその光が身体の中外に沁みわたっていき、息を吸うとその光が強さを増すようにイメージを広げていきます。
このように、呼吸を深め、イメージを深めていくことで、眠りではなく瞑想へと入っていくことができるようになります。
白い光のイメージができるようになれば、光の色を変えての瞑想も試してみましょう。光には心を調整する作用があります。人間関係に疲れたときはグリーン、エネルギー不足を感じたら赤などとイメージする色を変えていきながら、心の変化をとらえてみてください。
光が見えるイメージをしながら瞑想をおこなうと、眠くならず意識が深まりやすくなります。
