香りを楽しむものとして、日本に古来より伝わるのが「お香」です。お香の使い方は、アロマ効果だけでなく、香道と呼ばれる文化としても成り立つほどの奥深さがあります。
最近では海外のインセンスと呼ばれるお香も人気ですね。そんなお香の歴史や和のお香や西洋のお香のそれぞれの使い方をご紹介してみましょう。
お香の歴史
お香そのものの歴史は大変古く、紀元前3000年前にまでさかのぼります。もともとはメソポタミア文化が栄えた頃、樹脂や香木を焚くという習慣が生まれたようです。紀元前1400年頃には古代エジプトのハトシェプスト女王がお香を世界に広めたとされています。
メソポタミア文明の頃に始まったお香が日本に伝わったのは、仏教の伝来と共に飛鳥時代の頃とされています。日本においてそれが文化として確立したのは、室町時代に茶道や華道や能楽が発展したときであるとされています。その時代に香道もその使い方や作法を整えて、上流階級における贅沢な芸道のひとつとして、親しまれるようになったと言われています。
香道とは
お香の楽しみ方には、香木の香を聞きわける「組香(くみこう)」というものと、香を鑑賞する「聞香(もんこう)」と呼ばれるものがあります。
組香
「組香」は、用意された何種類かのお香を定められたルールに従って聞き分けることを言います。何人か集まった人たちが、何種類かの香木のかけらを半紙のような紙に包み、それを順に焚くことでその香が何の香木であるかを当て合うことを言います。
聞香
「聞香」は、焚いたお香を楽しみながら、そのお香の甘、苦、辛、酸、鹹(しおからみ)の味を聞くことを言います。また香を「聞く」とするのが正しい使い方で、「嗅ぐ」ということばを使うのは不純であると考えられるのも香道の独特の作法です。
現在の日本では、そのお香の楽しみ方、使い方によって、いくつかの流派に分かれています。
お香の本来の使い方
香道では、七つ道具と呼ばれる香木を扱うときに用いられるピンセットのようなものや、炭を扱うときに使う道具、香炉などを用意します。
単に香木に火をつけるという使い方をするのではなく、香炉に灰と炭を入れて火を起こし、その上に雲母の板を置き、小さく切った香木を乗せて香を発散させて楽しむのが本来の方法です。
この雲母の板と炭の位置を調節することで、お香の香りを調節することができます。
現代のお香
本格的な香道においては、七つ道具とよばれる香炉を含む道具が必要となりますが、現代ではもっと簡単にお香を楽しむことができるようになっています。
本格的な香木を焚くよりも、あらかじめブレンドされたお香を香炉で焚き、その香を楽しむ使い方や、あるいはその香を空間に漂わせる「空薫(そらだき)」という使い方もあるのです。
あるいは、すでにお線香のように練り上げられたものを使ったり、西洋のインセンスと呼ばれるアロマ系のものをお香立てに立てて火をつけるだけでも、簡単にお香を楽しむことができます。
ただしあまり安価なものは、化学物質が含まれていることも多いので、質のよさそうなものを選んで楽しみましょう。
効果的なお香の使い方
お香にも色々な効果と使い方があります。お香を焚くだけで感覚を研ぎ澄まし、心を鎮めることもできるのです。
お香の使い方のひとつに、お部屋のエネルギーの浄化があります。お香の匂いだけではなく、お香を焚くための火がネガティブなエネルギーの浄化もしてくれるのです。
浄化効果のお香
浄化に効果があるお香にはセージ、サンダルウッド、乳香(フランキンセンス)などがあります。
ストレスに効果的なお香
またストレスを軽減させてハッピーな気分になるためにはローズ、ラベンダーがおすすめです。
ポジティブになりたい時のお香
オレンジなどの柑橘系は、ポジティブになりたいときに使います。
癒し効果のお香
癒し効果のある使い方をしたいときは、ムスクを使ってみると、ゆったりとした気分になるはずです。
落ち込んだ時のお香
気分が滅入るような時にはシナモンや松、檜などのスパイスが効いた香を使ってみるようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
お香といっても、その使い方、楽しみ方は色々あります。自分の好みの香りを探し、時と場合によってそれぞれの香りを使い分けて生活に取り入れることで、心にもゆとりを持つことができ、生活全体がポジティブに変化してくることに気付くことができるのではないでしょうか?