
世の中には心を癒してくれるような、素敵な香りを持つ「香木」と呼ばれる木材が存在しています。有名なところでは白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)、伽羅(きゃら)などがその類になります。
ここ最近、ニューエイジ・ショップなどでも見かけるようになった「パロサント」という南米産の希少な香木があり、その「パロサント」がとてもミステリアスでもあり、また楽しみ方も色々あるのです。
ではその南米の香木「パロサント」の歴史や現地での使い方、そしてスピリチュアル的な意味などには、どのようなものがあるのでしょうか?
「パロサント」とは

「パロサント」は、南米(ユカタン半島からペルー、ベネズエラまでの範囲)の熱帯雨林に自生する野生の木です。
スペイン語で「パロサント」は「神聖な木」を意味し、乳香(フランキンセンス)などと同じムクロジ目カンラン科ボスウェリア属に属しています。
香りは乳香よりもさらにさわやかで、バニラのような甘さがあり、かつスパイシーな柑橘類のような、さっぱりとした香りです。
「パロサント」は、森の中で自然に木が倒れて枯れたものを収穫して熟成させることで、木の中に含まれている樹脂が固まり、よい香りが出来上がります。
「パロサント」は太陽の光、雨、風などの自然の要素の中で熟成してでき上がる香りを持ち、腐敗することもないことから、『精霊が宿っている』とも考えられているのです。
非常に硬い木で加工するのは難しいのですが、樹木からは約5%程度の精油も抽出できます。
この南米が原産の「パロサント」は、のちにスペインの宣教師によりアメリカ本土やヨーロッパにも広められました。
今まで日本ではあまり紹介されることは少なかったのですが、近年になってその香りの良さや、スピリチュアル的な要素も加わって人気が出てきています。
しかし最近では違法な伐採などが増えたため、その数が激減し、現在はワシントン条約で国際間の取引は禁じられています。
ただごく一部のみ、ペルー政府の認定企業により流通していますが、とても希少な存在です。
「パロサント」の南米での利用方法
インカ帝国時代の利用方法
「パロサント」の原産地である南米では、インカ帝国の時代からシャーマンたちが、この香木の香りが自然界と精霊を繋げる香りであるとして、悪魔祓いや浄化の儀式で使われており、800余年を通して現在に伝えられているという、スピリチュアルなアイテムです。
また同じくインカ時代から、「パロサント」は一種のアロマセラピーとして、リラクゼーションに用いられたり、「パロサント」の木から抽出した精油を頭や脊椎に塗ることで、身体の浄化を行ったりしていました。
「パロサント」の木は、雄株と雌株に分かれており、雌株の寿命は50年ほどであるのに対し、雄株の寿命は200年余りということで、陽のパワーが強く、幸運を引き寄せる木とされています。
ビールの桶としての利用方法
少し意外ではありますが、「パロサント」の木で桶やチップを作り、今もビールの熟成に用いられています。
「パロサント」を用いて作ったビールは、濃くておいしいようで、アメリカ、ポーランド、エストニアなどのビール会社が今も「パロサント」を利用したビールを作っています。
また「パロサント」はウィスキーの醸造樽としても用いられることがあります。

「パロサント」の効能
「パロサント」は、南米では現在もその香りで「毒出しの儀式」に用いられたり、開運のアイテムであると信じられたりしています。
「パロサント」の木をお部屋に飾っておくだけでも、香りが高く、浄化作用や精霊を引き寄せたり、幸運をもたらしてくれたりするのです。
また「パロサント」を手に握って瞑想をすると、「パロサント」のエネルギーを感じながら、宇宙のエネルギーとも繋がりやすくなるとされています。
「パロサント」の香りには、スピリチュアル的な効果のみならず、ストレス、頭痛の緩和にも役立つほか、タンスの中に入れておくと防虫効果も発揮してくれるのです。
「パロサント」の使い方
「パロサント」は、欧米などではその木を使ったアクセサリーなどもあり、常に身につけておくことで、お守りにもなります。
またその木片をお部屋に飾っておくだけでも、よい香りがして浄化や開運効果が期待できます。
しばらく飾っておくと香りが薄くなってくるので、表面を薄くナイフで削り取ると、再びよい香りを発するようになります。
もちろん「パロサント」をお香のようにしても用いることができ、できればチャコールに火をつけて、その上に少し削った「パロサント」の木くずをのせることで、香りを楽しめます。
直接「パロサント」の木に火をつけてもよいのですが、「パロサント」は油分を多く含むため、燃えすぎることもあるので、火がついたらすぐに消して煙を楽しむようにしてください。
「パロサント」の煙は、パワーストーンの浄化にも効果的です。
お風呂でのリラックス・タイムには、「パロサント」の木を少し削ったものを布袋に入れて、お風呂に浮かべて香りを楽しみましょう。
もし精油が手に入れば、それを数滴お風呂に落とせば、リラックス効果を感じるでしょう。
小さな袋に「パロサント」の木片を入れて持ち歩けば、お守り効果も発揮してくれます。
「パロサント」の使用上の注意
「パロサント」は前述のように、油分を多く含む香木であるため、大変燃えやすく、したがって火を使う場合には、周囲のものに燃え移したりしないように、十分に注意してください。
火を使うなら、念のため近くに水を用意しておくとよいでしょう。
また「パロサント」にはリモネン酸という柑橘類に含まれる成分があり、猫にとっては有毒となるので、猫がいる場合には、「パロサント」の木やアロマオイルを置いたり、煙を立てたりしないように注意してください。
まとめ
南米にインカ帝国の時代から伝わる香木の「パロサント」は、精霊が宿る木とも考えられ、シャーマンの儀式に用いられていました。今でも浄化や幸運を引き寄せるためや、お守りとしても用いられます。また、そのさわやかで甘い香りには癒し効果も含まれているので、リラックスしたいときにはお風呂に用いてみるのもよいでしょう。
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