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西国三十三所巡礼|基礎知識と正しい参拝方法

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西国三十三所巡礼とは、近畿2府(京都府・大阪府)4県(奈良県・滋賀県・和歌山県・兵庫県)と岐阜県にまたがる1番から33番までの観音札所を巡ることです。

2018年は、草創1300年の記念すべき年にあたります。2016年から2020年までの5年間にわたって、各札所では、ふだん非公開のお堂や仏像のご開帳などが行われます。観光名所となっているお寺も多く、世界遺産に登録されているお寺もあることから、多くの外国人も訪れます。

しかし、中には救いや癒しを求めて巡礼に訪れる人もいるので、一通りの参拝マナーを心得て、心を込めてお参りをしましょう。基礎知識や参拝方法をわかりやすくご紹介していきます。

西国三十三所とは

その歴史は四国八十八ケ所遍路よりも古く、718年に徳道上人(とくどうしょうにん)が、夢の中で閻魔王から授かった三十三の宝印により基礎を築いたことに始まるといわれています。平安時代中期に花山法皇(かざんほうおう)が再興し、時代が下がるにつれて、観音巡礼は伊勢参りや熊野詣とも結びついて庶民の間に広がっていきました。

「観音経」に、観音様は33の姿に変わり、世の中の人々をもれなく救うと書かれています。それに因んで三十三所という数字が定められたそうです。

それに加えて「番外」と呼ばれる「法起院 ほうきいん(徳道上人の隠棲所)」、「元慶寺 がんけいじ(花山法皇が出家得度したお寺)」、「花山院菩提寺(法皇の隠棲所)」をもあわせて参拝するのが一般的です。

観音菩薩は、出家する前の釈迦の姿で表され、宝冠や装身具を付けて、優美で華麗な仏像が多いので、男女を問わず人気があります。西国三十三所のご本尊として祀られているのは、聖観音を初め7種類の観音様です。
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お参りの服装と持ち物

かつては、白衣(びゃくえ)に笈摺(おいずる)を重ねて、手甲・脚絆、菅笠をかぶり、地下足袋をはいて杖を持つというのが巡礼のスタイルでした。白装束は、死に装束の代わりに身につけたといわれます。巡礼の途中で行き倒れて死ぬこともあったからです。しかし、現在では、普通の服装に笈摺と輪袈裟(わげさ)を重ねるだけの人や、それもしないという人も増えています。

ただ、山道を歩くことや石段を上ることもあるので、靴はスニーカーやウォーキングシューズなどの歩きやすく、滑りにくいものがいいでしょう。また、日焼けや虫刺されの予防のためにも長袖・長ズボンをおすすめします。

笈摺(おいずる)

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半てん状の上衣のことです。昔は旅の小物や仏具を入れた笈(箱状のもの)を背負っていました。その笈で白衣が擦れるのを防ぐものだったため、この名前があります。西国巡礼では、背中に「南無阿弥陀仏」か「南無観世音菩薩」の文字が入っているものを着ますが、四国遍路の「南無大師遍照金剛」と書いてあるものを着ても差し支えありません。

輪袈裟(わげさ)

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首からかける略式の袈裟。「奉順拝観音霊場」「南無観世音菩薩」などの文字が入っているものもあります。道中では荷物の中にしまっておいて、参拝するときに身につけます。食事やトイレの時ははずします。

金剛杖(こんごうづえ)

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観世音菩薩の分身とされます。上部に卒塔婆状の窪みがあり、昔は巡礼の途中で亡くなると、墓標代わりに使われました。

菅笠(すげがさ)

観世音菩薩とともに巡るという意味の「同行二人(どうぎょうににん)」「迷故三界城、悟故十万空、本来無東西、何処有南北」の偈文(けいぶん)が墨書きされています。日除けや雨除けになり、菅笠は付けたまま堂内で参拝できます。一般の帽子の場合は門に入るときや堂内で参拝するときには脱ぎます。

頭陀袋(ずだぶくろ)

経本、数珠、納経帳、納札、ローソク、線香、ライターなど参拝に必要な小物を入れるためのバッグです。最近ではリュックサックの人も多く見られます。こちらは、経本です。
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ABOUT ME
Written by ゆうこ
卯年、山羊座。元国語教師。趣味は、温泉旅行や食べること。百人一首競技かるたは選手&読手A級。お寺や神社に立つと、幾度もの興亡が繰り返され、再建・再生され、長年月維持し、受け継いできた無数の無名の人々がいたことを思わずにいられません。そういう人々の思いを少しでも伝えられたらと思っています。 共著書:『新渡戸稲造の至言』(新渡戸基金発行)『花ひらく女学校』(女子教育史散策 明治後期編)

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