お稲荷さん、お稲荷様とよばれて親しまれる、きつねでおなじみの稲荷神社。日本人にとってはもっとも身近な神社かもしれませんね。稲荷神社の神様は宇迦之御魂大神<ウカノミタマノカミ>様(倉稲魂命<ウカノミタマノミコト>)で、その眷属がきつねです。
この稲荷神社、全国に約3万社あるので、近所にある神社もお稲荷さんだという人も多いかもしれませんね。では、それほどたくさんあるお稲荷さんの中でも、とくに三大神社、五大神社と呼ばれている神社とはいったいどこなのでしょうか。
日本三大・五大稲荷とは?
日本三大、五大稲荷といわれると、「日本で稲荷神社といえばここ!」とか、「もっとも大きい稲荷神社」という印象を受けますよね。ですが、ちょっとスマホで検索してみるとわかるように、紹介しているサイトによって、三大稲荷も五大稲荷もけっこうバラバラなのです。実際、各稲荷神社のサイトを見ても、それぞれちがうところを三大稲荷としてあげていることも少なくありません。
これは実は、それぞれちがった根拠を元に三大、五大稲荷を選定しているから。つまり、同じ神様をお祀りする稲荷神社でも、それぞれちがった特徴があるということなのです。
日本三大・五大稲荷の見どころ
三大、五大稲荷としてあげられるのは常に一定ではありませんが、てんでバラバラというわけでもないのです。今回は、とくに頻繁にあがる5社をご紹介しますね。
【伏見稲荷大社】(京都府)
どのサイト、どの神社でもはずされることのない唯一の神社が伏見稲荷大社です。伏見稲荷大社は稲荷神社の総本社で、もともとはお稲荷さんといえばこの伏見稲荷大社のことでした。この伏見稲荷大社という名称は、ほかの稲荷神社と区別するため、戦後につけられたものなのです。
主祭神の宇迦之御魂大神様のほか、佐田彦大神<サタヒコノオオカミ>様、大宮能売大神<オオミヤノメノオオカミ>様、田中大神<タナカノオオカミ>様、四大神<シノオオカミ>様が祀られています。ご利益は五穀豊穣・商売繁昌・家内安全・諸願成就・安産・万病平癒・学業成就など。ほか、はてしなく続く千本鳥居が有名です。
【笠間稲荷神社】(茨城県)
笠間稲荷神社は、胡桃下稲荷、紋三郎稲荷とも呼ばれるお稲荷さんです。関東三大稲荷としても名前があがることが多く、初詣の参拝者数は県内で最多。宇迦之御魂神様への信仰は7世紀ごろから続いている、歴史のある神社です。
御祭神は宇迦之御魂命で、ご利益は五穀豊穣・商売繁昌・金運など。毎年11月に、狐の嫁入り伝説を再現する行事が開かれています。
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【豊川稲荷】(愛知県)
豊川稲荷は、正式には妙厳寺という曹洞宗の寺院です。霊狐塚には狐像が1000以上も。もともと霊狐塚には納めの狐像がお祀りされていたのですが、献納が増え、現在の数となったのです。また、豊川稲荷は庭が指定名勝となっていることでも有名です。
豊川稲荷がお祀りしているのは、豐川吒枳尼眞天<トヨカワダキニシンテン>様。宇迦之御魂命様ではない理由ですが、これは、豐川吒枳尼眞天様が白い狐に跨っているから。豊川稲荷という名称もそこから生まれたのです。ご利益は、商売繁昌・五穀豊穣・厄除け・家内安全・家業繁栄・交通安全などです。
【祐徳稲荷神社】(佐賀県)
祐徳稲荷神社は別名を鎮西日光といい、九州では太宰府天満宮に次ぐ年間参拝客数を誇る神社です。鎮西日光とも呼ばれるのは、極彩色の本殿や神楽殿、楼門が見事だから。ほか、境内の博物館では神社ゆかりの宝物を拝観することもできます。
御祭神は倉稲魂大神様(宇迦之御魂命様)、大宮売大神<オオミヤノメノオオカミ>様、猿田彦大神<サルタヒコノオオカミ>様。ご利益は、商売繁昌・家運繁栄・縁結びなどです。
【最上稲荷】(岡山県)
最上(さいじょう)稲荷は、正式には最上稲荷山妙教寺という日蓮宗寺院です。稲荷信仰もあわせもつ神仏習合の霊場なので、お寺ですが鳥居があります。高さ27.5mのこの大鳥居はベンガラ色で、天候によって色が変わって見えるのが特徴です。
お寺である最上稲荷は、稲荷信仰のほか、最上位経王大菩薩<サイジョウイキョウオウダイボサツ>、八大龍王尊<ハチダイリュウオウソン>、三面大黒尊天<サンメンダイコクソンテン>がお祀りされています。ご利益は五穀豊穣・商売繁昌・開運・雨乞い・水難退散などです。
まとめ
お稲荷さんは稲荷神社ですが、その実神社だけでなくお寺でもお祀りされています。これは、神仏習合思想において稲荷神が仏教の女神と習合したため。こういったところも、現在、お稲荷さんがこれだけ身近になっている理由の1つかもしれませんね。
お稲荷さんにお参りするときは、ぜひその神社やお寺の由来なんかも調べてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、興味深い歴史があるかもしれませんよ。
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