徳島県鳴門市にある極楽寺は、八十八ケ所霊場巡拝2番の札所で、三方を山に囲まれた閑静なお寺です。平安時代の初め、空海(弘法大師)が修法に訪れ、満願の日に感得して刻んだ阿弥陀如来をご本尊としたと伝えられています。
安産を願う人や、子宝に恵まれることを望む人が大勢訪れるお寺です。極楽寺が安産・子授け祈願にご利益があるというのはなぜでしょうか。御朱印や見どころをご紹介します。
山号「日照山」にまつわる伝説
弘法大師が「阿弥陀経」を唱え、三七日の修法で感得し刻んだ阿弥陀如来は、姿が美しく、後光が遠く鳴門の長原沖まで達したため、魚が捕れなくなりました。困った漁師たちは本堂前に人工の山を築いて光をさえぎりました。それからは大漁が続いたといいます。そのような故事から、日が照る山「日照山」という山号がつけられたそうです。
極楽寺のご本尊とご利益
ご本尊の阿弥陀如来坐像は、弘法大師が刻んだと伝えられます。現存のものは鎌倉時代の作と考えられ、本堂裏の収納庫に鎮座し、像高84㎝、漆箔の秘仏で、国の重要文化財に指定されています。
阿弥陀如来は、大宇宙におられる数え切れないほどの仏の師匠・先生です。人間の心にある暗い心「無明の闇(むみょうのやみ)」を破る力を持つと考えられています。心をこめてお祈りすれば心が晴れ晴れと明るくなることでしょう。また、極楽寺のご詠歌に「極楽の弥陀の浄土へ行きたくば南無阿弥陀仏口ぐせにせよ」とあるように、「南無阿弥陀仏」を唱えると極楽浄土に阿弥陀様が導いてくださるといわれています。
大師堂に祀られている弘法大師は「安産大師」とも呼ばれています。極楽寺縁起によりますと、弘法大師が修法でこの寺に留まっていたとき、流産を繰り返す婦人に加持祈祷をしたところ、その婦人が子宝に恵まれ、安産したのです。そして、婦人はお礼に木彫りの大師像を奉納しました。それ以来、安産祈願のお寺として多くの信者を集めたそうです。
また、明治時代に、大阪の難産に悩む婦人が妊娠したので、安産祈願を受けたところ、夢の中に弘法大師が現れ四国遍路をすすめました。婦人は讃岐まで巡拝して、帰宅後無事男子を出産しました。感激したその婦人から奉納されたのが、本堂と大師堂の間に安置されている「安産大師像」だそうです。
そうした言い伝えから、弘法大師は子授けや招福にもご利益があるとされて、子どもを抱く珍しい姿の「子授招福大師像」が寄進により建立されました。
さらに、大師お手植えと伝えられる「長命杉」は、家内安全、病気平癒、長寿にもご利益があるとされています。
極楽寺にお参りするだけでたくさんのご利益がいただけますね。
御朱印について
御朱印は、中央に梵字と弥陀如来の墨書、蓮台に梵字の朱印、右上は奉納の墨書に四国第二番の朱印、左下は極楽寺の寺号と朱印。柔らかくやさしい感じの墨書です。
極楽寺の見どころ
仁王門
入母屋造りの本瓦葺き楼門で、現在のものは、昭和48年に完成しました。木彫りの金剛力士像が安置されており、向かって右側は「阿形」の仁王さん、左側は「吽形」の仁王さんで、江戸時代の作と伝えられています。頼もしい守護神です。
鐘楼堂
昭和48年に世界平和・先祖の供養といった願いを込めて全国の信徒の寄進によって建立されました。こちらの鐘楼堂は開放されていますので、鐘を撞きたい人は、訪れたときに、手水場で手と口を清めた後、お参りの前に1回だけ願いを込めて撞きます。帰る時は戻り鐘といって縁起が悪いので撞かないように注意しましょう。
本堂
極楽浄土をイメージした庭園の先、44段ほどの石段を上ると本堂があります。1659年に蜂須賀光隆によって再建されました。ご本尊の秘仏阿弥陀如来坐像は、本堂裏の収納庫に鎮座され、本堂内にはお前仏がいらっしゃいます。堂内向かって左の壁には寺宝の「地獄極楽図」(徳島県指定有形文化財)が掛かっています。
大師堂
1659年に建立され、極楽寺の大師像は「安産大師」とも呼ばれており、特に安産や子授けを願う人に人気があります。四国八十八ケ所霊場には本堂の他に必ず大師堂がありますので、忘れずに本堂と同様の作法でお参りしましょう
長命杉
弘法大師お手植えと伝えられ、樹齢1200年余りの大木は迫力があります。幹周り約6m、樹高約30mの木に触れると、家内安全、病気平癒、長寿にご利益があるとされていますが、鳴門市の天然記念物に指定されているため、現在は直接触れることはできません。鈴付きの紅白の幕が結ばれていますので、鈴を鳴らしでパワーをいただきましょう。
仏足石
本堂階段の上り口にあります。仏足石とは、釈迦が石の上で説法をすると、石に足跡が残ったといわれるものです。釈迦の入滅後、500年ほどは釈迦像を拝む慣わしはなく、仏足石に手を合わせていたそうです。石に触れると足腰の健康にご利益があるそうですよ。
抱き地蔵
本堂と大師堂の間に、賽銭箱の上に置かれています。「おもかるさん」とも呼ばれ、その人の願いが叶うかどうかを示してくれるお地蔵様です。一つだけお願いし持ち上げます。重く感じると願いは叶いにくく、軽く感じると願いが叶うといわれています。
子授招福大師
手水場の先に安置されています。全国の大師像の中でも珍しく子どもを抱いておられる大師像です。子授けや幸福を招いてくださるとしてお参りの人々に大事にされています。
お参り方法は、ろうそく・線香・お賽銭をお供えして、正面で礼拝し、左側の階段から奥へ上がり、大師像に触れ、心をこめてお願いをします。そして、右側の階段から下りて正面で礼拝をします。
願掛け地蔵
仁王門をくぐってすぐのところにあります。お地蔵さんの前に置かれているコップに水を入れてお供えします。お賽銭を入れて合掌し、お地蔵様の真言「おん かかかび さんま えい そわか」を唱え、自分も努力すると誓えば、いろいろな願い事を聞いてくださるそうですよ。
その他にも、江戸時代中期に建立されたと伝えられる「観音堂」や「薬師堂」、一つだけ願を立てて、自身も精進することを誓うと、その願いをきいてくださるという「一願水掛不動尊」
足腰が弱い方でもお参りできるようにと平地に安置されたご本尊と同様の「阿弥陀如来石仏」など見どころや願掛けスポットがたくさんあります。
また、南北朝時代の作と伝えられ、徳島県の有形文化財に指定されている仏画「両界曼荼羅」があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
たくさんの願掛けスポットがあるお寺で、霊験あらたかな感じがします。
1番札所「霊山寺」からは約1.2㎞、3番札所「金泉寺」とは約2.7㎞という所に位置していますので、順打ちにしろ、逆打ちにしろ、続けてお参りできるのは有り難いですね。
こちらのお寺では、個人用の納経は仁王門を入って左にある売店の中で、団体用の納経は宿坊玄関横で行われます。売店では巡拝用品を購入することができ、宿坊(要予約)もあるお寺ですので、安心して訪れてみてください。
いつもながら素敵な記事を読ませていただき有難うございます。
色々な情報を頂き感謝です!
今年は戌年で私の干支です。阿弥陀如来様のご加護があると思います。
ご訪問ありがとうございます。そして、いつもコメントをお寄せくださいまして感謝申し上げます。
今年は戌年で鈴木さまの干支なのですね。四国霊場2番極楽寺のご本尊は、阿弥陀如来様ですから戌年の守り本尊でもあるわけですね。阿弥陀如来様がきっと御守りくださることでしょう。いい一年になりますように。