四国36番札所である青龍寺(しょうりゅうじ)は、高知を代表する四国霊場のうちのひとつ。寺前には「宇佐の大橋」と呼ばれる橋がかけられています。この橋が開通するまでは、友の浦湾の湾口400mを、船で渡っていたそうです。
四国八十八か所霊場をつくるきっかけとなった人物といえば、弘法大師です。今回ご紹介する青龍寺は、弘法大師のルーツにまつわる寺院です。彼が自らの師を仰いで、建立したといわれています。
青龍寺の歴史や御朱印の特徴、見どころなどをご紹介していきます。
大師のルーツにまつわる寺院
密教を学ぶため、現在の中国である唐へ渡った弘法大師。長安にある「青龍寺」にて、恵果阿闍梨高祖より密教を学び、みごと真言第八祖となり帰国しました。土佐の青龍寺は、教えをいただいた恵果阿闍梨高祖への恩返しとして建立したといわれています。
では、なぜ現在の土地に建立するに至ったのでしょうか。
帰国の際、大師は五鈷杵(ごこしょ)、三鈷杵(さんこしょ)、独鈷杵(とっこしょ)と呼ばれる3種類の密教の法具をいただきます。大師はそれらを投げることで、霊場建立の地を祈念、3種の法具のうち独鈷杵を、東方向に投げたといいます。
そして帰国後、大師がそれを見つけたのが、現在の青龍寺付近だったのです。きっと、大師の四国霊場を建立したいという想いが、日本にまで届いたのでしょう。青龍寺はまさに、弘法大師のルーツにきわめて根差した霊場なのです。
青龍寺のご利益
青龍寺のご本尊は「波切不動明王像」です。聞きなれない名前かもしれませんが、波切不動明王像のご利益は波切のごとく「海上安全」。
大師が遣唐使として唐へと向かった時、とてつもない嵐に見舞われ、船が沈没しかけたことが幾度となくあったそうです。大師はそのたび、自らが彫った不動明王像を掲げ、真言を唱えたといいます。
読経を始めたとたんに波は割れ、嵐をくぐり、大師は無事に唐へと渡ることができたのです。この出来事をきっかけに「波切不動明王」は誕生し、航海の安全や豊漁を願い、今なお多くの人に信仰されています。
青龍寺の御朱印の特徴
橋を渡った先にひっそりとたたずみながら、確かにその存在感を感じさせる青龍寺。御朱印は境内の納経所でいただくことができます。まず、ご本尊にご挨拶するのをお忘れなく。
「波切不動明王」と書かれたこちらの御朱印。他の霊場のものと比べてもその筆跡には勢いがあり、海上の平静を保とうとする不動明王の在り方を、まざまざと見せつけられているようです。
青龍寺の見どころ
仁王門
青龍寺には多くの仏像が安置されており、仁王門にも金剛力士像がそびえたっています。お寺さんの階段は、自然石をコンクリートで固めただけの急な傾斜で、本堂まで気が抜けませんでした。
参道の両側には石仏が。よく見ると土佐国16ヶ寺の写し仏でした。
なお、仁王門の手前左には観音像、大師像、そして、大師の師である恵果阿闍梨高祖を祀る恵果堂があります。
本堂・愛染明王坐像
ご本尊である波切不動明王像と対をなして祀られています。鎌倉時代制作とされ、国の重要文化財にも選定。人々のすべての苦しみをすくい取ってくれると言われています。
奥の院
境内から500mほど中に入ったところにあります。ご本尊の原型である不動明王像も安置されています。長年、女人禁制とされていたそうです。
薬師堂
本堂右隣にあるのは薬師堂です。
白山大権現
薬師堂の右隣には白山大権現がひっそりと佇んでいます。
大師堂
本堂をお参りした後は、大師堂へお参りします。
三重塔・水子地蔵尊・行場・鐘楼門・弁天堂
三重塔は、緑に囲まれてとても幻想的な雰囲気に包まれていて気持ちも和みました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。青龍寺は、弘法大師のルーツがたっぷりと詰まった霊場となっております。師を仰ぎ、霊場を建立しようとした大師の当時の決意のパワーを、境内では感じることができると思います。
ぜひ、足を運んでみてくださいね。
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