
四国38番札所の金剛福寺(こんごうふくじ)は、四国最南端の足摺岬にあるお寺で、岬を見下ろす丘の中腹に位置する四国霊場です。
境内には、120,000平方メートルという巨大な道場があり、寺院周辺の自然の壮大さは、お遍路にくる者の心をわしづかみにします。しかしながら、37番札所からは車でも2時間の距離。その道のりはまさしく修行と呼ぶにふさわしい場所です。
そんな、ゆたかな自然に囲まれた四国38番札所、金剛福寺の歴史や御朱印、見どころをご紹介していきましょう。
目次
金剛福寺の歴史
濃緑の樹海に、打ち寄せる荒波。足摺岬のその風景は、どこか浄土を感じさせます。
822年に岬を訪れた弘法大師もまた、インドの観音浄土とされる「補陀落(ふだらく)」の光景を、そこに感じ取ったといいます。その後、大師は嵯峨天皇からの勅命を受け、三面千手観世音菩薩像を自らの手で彫り上げ、開創したそうです。
また「金剛福寺」という名前については、大師が唐から帰国する際、四国霊場を建設するという心意気で投げた法具、五鈷杵(金剛杵)が岬に飛来したこと、観音経の「福聚海無量」に含まれる「福」が、その由来となっています。
金剛福寺のご利益

金剛福寺のご本尊は、木造三面千手観世音菩薩立像です。1342年、暦応5年の作品であるとされています。秘仏であることから、通常は本堂後ろの耐火室に安置されており、通常はその姿を拝むことはできません。
その姿形のインパクトからか、テレビやアニメのキャラクターとしても取り上げられることの多い千手観音菩薩像。仏像のなかでも、みなさんにとって馴染みのあるものではないでしょうか。
千手観音菩薩もまた、その他の菩薩像と同じく宝髻(ほうけい、結ってまとめている髪型)がみられ、きらびやかな服装をしているのが特徴です。「千手」とされる観音菩薩の手は、実際は42本であることが多く、合掌している手を除いた40本で、千手をあらわしています。やはり、千本の手を彫るのは相当に難しいようです。
そんな千手観音菩薩像のご利益は「厄難回避」「延命」「病気平癒」「夫婦円満」などさまざま。この世にいる間に享受できる「現世利益」だけでなく、死後に享受できるとされる「後世利益」をうたっているのも、千手観音菩薩像の特徴です。
金剛福寺の御朱印の特徴

足摺岬近くの丘の中腹に、荘厳な雰囲気で建つ四国霊場、金剛福寺。御朱印は境内の納経所でいただくことができます。まずご本尊にご挨拶するのをお忘れなく。
こちらの寺院では「千手観音」と書かれた御朱印をいただくことができます。川の流れのごとくなめらかな筆跡。長い道のりを経て、ようやくたどり着くことのできる寺院ですから、ぜひとも、御朱印をいただいて帰っていただければと思います。
金剛福寺の見どころ
仁王門

こちらには、嵯峨天皇の宸筆で「補陀落東門」と彫られた扁額(へんがく)があります。嵯峨天皇は弘法大師、橘逸勢と並び「三筆」と称され、平安初期の書道家としても高名でした。
本堂

本尊は弘法大師が彫ったとされる木造三面千手観世音菩薩立像。県指定の保護有形文化財です。本堂内に安置されている不動明王・毘沙門天も、土佐清水市指定の有形文化財です。

本堂裏には五智如来、十三仏、千手観音の鋳造仏など、108もの仏像が安置されていますので、そちらも見どころです。
護摩堂

本堂手前右にある護摩堂です。
多宝塔

護摩堂右の多宝塔は存在感があります。
