
四国45番札所である岩屋寺(いわやじ)があるのは、標高700mにも達する峰の上。堂宇が大きな岩の中腹に埋め込まれている形の、いわば山岳霊場です。
大師堂は国指定の重要文化財でもあり、寺域は国の名勝です。建築の観点からみても立派な様相を持つこちらの岩屋寺では、その昔、ある一人の仙人と、弘法大師との出会いがありました。
それでは、岩屋寺の歴史や見どころ、御朱印などについて、ご紹介していきます。
岩屋寺の歴史

霊境を思わせるこちらの岩屋寺では、四国霊場となる以前から多くの修験者が修行の場としていたようで、多くの伝承が残されています。
弘法大師がこの地を訪れたのが引仁6年。
当時、法華仙人と呼ばれる方が籠っておられたそうで、大師と出会うころには、彼女はすでに法華三昧(法華経を通じて真理を悟る方法)を成就し、空中を自在に飛行する神通力を身に着けていたといいます。山の主となっていた法華仙人でしたが、弘法大師の修法に感銘を受け、大師に全山を献上したそうです。大師は木造、石造の不動明王像を彫り上げ、前者を本堂に、後者を奥の院の秘仏として洞窟に祀り上げ、山全体を本尊としたといいます。
かつては44番札所である大寶寺の奥の院という認識でしたが、やがて四国霊場の一角になりました。
明治31年(1898年)には仁王門と虚空蔵堂を残し、資料とともに全山を焼失してしまいましたが、徐々に再築がすすめられ、いまでは見事な建築物として、その名を馳せています。
岩屋寺のご利益

岩屋寺のご本尊は2つ。ひとつは、弘法大師の彫り上げた木造不動明王像。本堂に安置されており、昭和2年に再建されたものです。
そしてもうひとつが「山全体」がご本尊であるという認識です。このような形式は、四国霊場のなかでも珍しい形といえるでしょう。
不動明王は、ヒンドゥー教における3大神の一角「シヴァ神」の変化した姿であるとされています。柔和な出で立ち、優しげな姿が印象的な他の仏像とは異なり、強面で恐ろしい表情をしているのが特徴です。悪を断ち、仏の道に救済する役目を持つことから、このような表情をしているといわれています。
その姿形も相まって、戦時の日本では「敵国撃退の守護神」として扱われるなど「戦いの仏」として表象されることの多い不動明王。しかし実際のところは、迷いの世界から私たちの煩悩を取り払ってくれる、たいへん慈悲深い仏様なのです。
不動明王については「生死即涅槃」(悟りの世界である涅槃と、迷いの世界にある煩悩、両者は全くの別物でありながら、双方が存在してこそ世界は成り立っている)、「不動智」(何事にも動かされることのない考え)といった考え方が有名です。
岩屋寺の御朱印の特徴
厳かで、まさしく神の存在を感じさせるかのような、そんな雰囲気をもつ岩屋寺。御朱印は境内の納経所でいただくことができます。まずご本尊に挨拶するのをお忘れなきよう。
不動明王の種字「カーン」と「不動明王」が揮毫です。ご本尊である不動明王の力強さを感じさせる御朱印となっています。きっと、不動明王様がみなさんの煩悩も取り払ってくれることでしょう。
岩屋寺の見どころ
参道

お遍路さんを迎え入れてくれるのは赤い橋。山道を歩いて行きます。
岩屋寺まで徒歩20分と書いてあります。
石柱門

石門近くにある石柱門。

石柱の上には、金剛力士の像がふたつあります。それぞれ「方便為究境」「如實知自心」と刻まれていて、霊験あらたかな雰囲気が漂っています。
山門

山門まで来た所でもうすぐ到着かと思いそうですが、まだ2/3の行程が残っています。
山門から本堂へ

山門の先は急な石段が広がります。

右に弘法大師像、

左上には不動明王像が迎えてくれます。
極楽橋

赤い橋が近づいてきます。こちらは極楽橋です。

極楽橋の左には大師像と石仏群。

さらに急な石段が続きます。。。

祠とその左には水子地蔵尊があります。その前を通ってさらに最後の石段があって、とても長い道のりを感じますね。
穴禅定

本堂への石段右側にあります。

弘法大師が掘り上げた修行の場であると伝えられており、現在でも「独狐(とっこ)の霊水」が湧き出ています。真っ暗なので足元に気をつけてください。
本堂

昭和2年に再建されたもので、ご本尊である木造不動明王像が安置されています。

大師堂

大正9年に再建されたもので、本堂よりも一まわり大きなつくりになっています。宝形造の銅板葺き。

再建された時代を反映しているのか、エンタシス(古代建築の柱にみられる、わずかなふくらみ)の柱や、バラの花と房の飾りを彫り上げた、西洋建築の様相が魅力的です。近代仏堂として、国指定の重要文化財にも認定されています。
仁王門

奥の院へとつながる楼門です。大師堂から左にあり、神聖な空気を感じることができます。
300mほど先には、弘法大師の行場である逼割禅定(せりわりぜんじょう)もありますので、ぜひ、見学してみてください。
まとめ
岩屋寺の歴史や御朱印、見どころはいかがでしたでしょうか。
はじめに申し上げたように、大師堂は国の重要文化財であり、寺周辺は国の名勝です。上がり口には数件のお店があり、お茶の接待もございます。
駐車場そばにある「美麗」というお店のようかんは、さわやかな甘みを持つ伊予柑の風味がして絶品です。そちらもぜひ、楽しんでみてくださいね。
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