
四国お遍路79番の天皇寺は、寺院なのに珍しい鳥居をくぐって境内に入るお寺として親しまれています。境内では歴史のある建物を見ることができるのはもちろん、見逃せない伝説の残るスポットもあります。とても静かなお寺ですが、お遍路さんをはじめ、多くの人が足を運ぶ憩いの場でもあります。そんな天皇寺の御朱印や見どころをご紹介します。
天皇寺とは
- 寺号:天皇寺(てんのうじ)
- 山号:金華山(きんかざん)
- 院号:高照院(こうしょういん)
- 宗派:真言宗御室派
- 御本尊:十一面観世音菩薩
- 729〜749年:行基が開基したといわれています。
- 810〜824年:弘法大師が八十場(やそば)の霊泉を訪れた際、荒れ果てたお寺を再興するために、霊木で御本尊とする十一面観世音菩薩、脇侍として阿弥陀如来、愛染明王の三尊像を彫造し、「摩尼珠院 妙成就寺」(まにしゅいん みょうじょうじゅじ)としたのが現在の「天皇寺」の起源といわれています。
寺号である天皇寺の「天皇」は、崇徳上皇と深い関係があります。保元の乱で敗れた崇徳上皇が讃岐国に配流(はいる)となり、末寺の長命寺本堂を皇居として過ごされました。
崇徳上皇の死後、都では災難が続いたことから崇徳上皇の怨霊ではないかと恐れるようになり、二条天皇が崇徳上皇の霊を慰めるために「崇徳天皇社」を造営され、後嵯峨天皇により、「天皇寺」の起源といわれる「摩尼珠院 妙成就寺」を崇徳上皇の永代供養の寺という役割での別当寺とされたそうです。
天皇寺のご利益

天皇寺のご本尊は十一面観音菩薩です。喜怒哀楽の十一のお顔を持ち、すべての人々の悩みを救ってくれるというご利益があります。また、災難除けの仏様としても広く知られています。観音菩薩は三十三の姿に変化して人々を救ってくれるのですが、三十三の姿とは言っても三十三種類という意味ではなく、すべての人の求めに応じてあらゆる姿に変化するという意味が込められています。
十一面観音菩薩の十一面は、八方(東・西・南・北・東北・東南・北西・南西)と天地を常に見るためにそれぞれの表情が異なり、それぞれに意味があります。中でも真後ろに位置する「大笑面」は、笑うことで行いの悪い人の悪行を減らすためにあるのです。十一面観音菩薩は、幅広いご利益をいただくことができるのですね。
本堂をお参りしたら、弘法大師様が祀られている大師堂へもお参りしましょう。

天皇寺の御朱印の特徴
天皇寺では御朱印をいただくことができます。鳥居をくぐって右側の半円の門を入ると本坊と納経所がありますので、そちらでいただくことになります。天皇寺は一度でお寺と神社の両方が参拝できるので、ご利益も倍になりそうですね。

天皇寺の御朱印は、中央の宝印は宝珠に十一面観音の種字が刻まれたもの、右上の印は「四国七十九番」、左下の印は「天皇寺」となっています。太い線と細い線が入り組んだどっしりした文字で、華やかさはありませんが、見ていると心が落ち着いて安心感を覚えます。
もちろん手書きの御朱印なので同じ内容の御朱印でも、書いていただく人によって少しずつ異なります。天皇寺の御朱印も書く人の筆さばきの違いにより、その味わいはさまざまです。御朱印はとても有難いものなので、大切に持ち帰って保管しましょう。たまには開いて見ることでその時の思い出や気持ちがよみがえりますよ。
天皇寺の見どころ
天皇寺の見どころといえば、伝説にもなった「八十場の泉」は外せません。「八十場の泉」は、白峰宮本殿の右の方から境内を通り抜け、裏の車道を5分ほど歩いたところにあります。
讃留霊王(さるれお)が悪魚退治のためにこの地にやってきた時、悪魚の毒で八十八人の兵とともに倒れてしまいました。その時、横潮明神が泉の水を持って現れ、その水を飲むと讃留霊王と八十八人の兵たちはたちまち回復したそうです。そこでこの泉から汲まれた水を「八十八の水」「八十場の水」と呼ぶようになりました。この泉は今でもこんこんと清水が湧き出ています。
ちょうどこの八十場の泉のほとりに、老舗のところてん屋さんである「ところてん清水屋」があります。200年以上前から営業している歴史あるお店で、ところてんは定番の酢醤油と辛子の他、黒蜜ときな粉をかけた「葛餅風ところてん」などもあります。昔からお遍路さんの最高のごちそうだったと言われています。老舗の味を楽しんでみてはいかがですか。
天皇寺は白峰宮と隣接しているお寺です。鳥居の正面にあるのが「白峰宮」の本殿です。明治の神仏分離令で「摩尼珠院 妙成就寺」は廃寺となり、「崇徳天皇社」は白峰宮と改称しました。その後、末寺の高照院が現在地に移転して79番札所を引き継ぎ、「天皇寺」と称するようになったようです。天皇寺だけでなく、白峰宮にも立ち寄って手を合わせてみてくださいね。
天皇寺と鳥居

天皇寺は、寺院なのに白峰宮の鳥居をくぐって境内に入るお寺です。朱色の美しい鳥居は「三輪鳥居」と呼ばれる珍しいもので、国内では他に奈良の大神神社を代表とする数少ない鳥居として知られています。通常の鳥居の両側にちいさな鳥居が融合した様式になっていて、瓦屋根までついています。そんな鳥居と一体化しているお寺は、なんとも不思議ですよね。
天皇寺に来たらまずはこの鳥居をじっくりと眺めてみてください。そして鳥居を直進すると白峯宮ですが、神社の参道を左に入ると天皇寺の本堂と大師堂、右に行くと本坊と納経所があります。まさに寺院と神社が融合していた時代を思い起こさせる珍しい配置です。
この鳥居は、「天皇寺」が白峰宮の別当寺だったことを象徴しているかのようです。ここでいう「天皇」とは誰をさすのかというと、寺名の由来となった「崇徳上皇」です。保元の乱というドロドロの権力争いに敗れ、香川に島流しにあった崇徳上皇はこの地で亡くなりました。そして白峯宮に神様として祀られました。立派な鳥居はもちろん素晴らしいですし、崇徳上皇の歴史に触れてみるのも良いですね。
まとめ
天皇寺の御朱印や見どころはいかがでしたか。
病気やケガがたちまち治るといわれる八十場の泉が今でも存在しているのは驚きでしたね。国内でも珍しい三輪鳥居が迎えてくれる天皇寺は、不思議な伝説のある興味深いお寺です。お遍路でめぐるのはもちろん、それ以外の時でもつい足を運びたくなるお寺です。
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