四国お遍路82番にあたる根香寺(ねごろじ)は、五色台の自然の恩恵を受ける緑豊かなお寺として親しまれています。山の中だけに豊かな自然に囲まれパワーを感じられますが、境内に入るまでの長い階段が印象的です。どこまでも静かでしっとりしたお寺ですが、その静けさに不似合いなユニークな伝説が残されているお寺です。根香寺の御朱印や見どころをご紹介します。
根香寺とは
弘仁年間である810年〜823年に弘法大師が各地を巡り、五色台の山々に金剛界曼荼羅の五智如来を感得しました。そこで青峰、赤峰、黒峰、白峰、黄峰とそれぞれの山に名付けたそうです。その中の主峰になる青峰の山中に五大明王を祀り花蔵院を建立したのが根香寺の始まりと言われています。
その後、弘法大師の甥にあたる智証大師が青峰を巡り歩いた際に、白猿を連れた山王権現が現れました。神のお告げにより、智証大師は不思議な霊木で千手観音像を刻み、本尊として千手院を建立します。
この本尊彫刻の木が芳香を放つことから、弘法大師創建の花蔵院と総称して根香寺という名前がつきました。根香寺の名前に「香」が入るのは香りを放つ霊木だからです。また、香木の香りが川に流れ香気を漂わせた由来が香川県になったともいわれています。

そんな珍しいご本尊を時の人である、後白河天皇(在位1155~1158)の勅願所となってからは繁栄した根香寺でしたが、度重なる兵火で衰退してしまいます。それを再興したのが高松藩初代藩主・松平頼重です。以後、現在の姿を保ったまま多くの人に親しまれています。
根香寺と牛鬼伝説
昔山の中に、大きな角と牙を持つ恐ろしい牛鬼がおりました。人間を食べたり、悪さをするので、村人たちは困りはてて弓の名人である山田蔵人高清に牛鬼退治を頼みました。
高清は何日も牛鬼を探しますが、なかなか見つかりません。そこで根香寺の御本尊に祈願すると、21日目の満願の日にとうとう牛鬼が現れます。高清が矢を放つと、牛鬼の口に命中。牛鬼は一目散に逃げて行きました。後を追って行くと2kmほど先の定が渕で牛鬼が生き絶えていました。
高清は牛鬼の角を切り取り根香寺に奉納しました。その角は今でもお寺に保管されています。
根香寺の牛鬼は、腕の下から翼が生えているのがなんとも奇妙な雰囲気を醸し出していますね。駐車場の一角にひっそりと異彩を放つ牛鬼の像があります。自然にまぎれていて、見逃してしまう人が多いので、忘れずに見つけてみてくださいね。
根香寺のご利益
根香寺のご本尊は千手観世音菩薩です。「観音様」とは、人々の救いを求める声を聞いて救済してくださる仏様です。災難に遭わないように、病気を治す、延命、夫婦円満、恋愛成就といったご利益があります。

明王とも関係が深く、本来、菩薩は手取り足取り助けてくれる仏様ですが、優しく教え導いても耳に届かない人もいます。そういった人間を助けてくれるのが明王なのです。明王の顔が怒りの表情であったり、背後に炎を背負ったりパワフルなイメージが多いのは、人を強く諭すためなのですね。牛鬼伝説である牛鬼の絵は、魔除けのご利益があるとして人気があります。
根香寺の御朱印の特徴
根香寺はとても静かなお寺なので、あまり人がいないと感じる人が多いようです。その分、御朱印については順番待ちのストレスがなく、スムーズにいただくことができます。御朱印は境内の納経所でいただくことが可能です。もちろんご本尊にしっかりとご挨拶をしてからいただきに行きましょう。
根香寺の御朱印は千手観音菩薩の梵字、根香寺の墨書きがメインになります。文字の特徴は書いていただく人によって異なりますが、書き出しは力強い太字になっていて、とてもパワーを感じることができます。通常の御朱印には3種類の朱印が押されています。記念の催しがある時には、緑の印がプラスされていることがあります。
わざわざ催しの時に御朱印を頂きたいと訪れる人もいるほど、華やかな御朱印です。根香寺は自然が溢れる森の中にあるお寺です。こういった場所でいただく御朱印は清々しい気持ちでいただくことができますね。御朱印を書いてもらうのを待っている間も、根香寺やその周辺の自然が醸し出すパワーを感じられるでしょう。
根香寺の見どころ
両脇に奉納された大草履が掛けられている仁王門から入って行きます。

本堂まで少し歩きますが、周りの森林が清々しい気持ちにさせてくれます。

根来寺には見どころがたくさんありますが、その中でも1番の見どころと言えば、やはりご本尊である「木造千手観音立像」です。木の立て札に書いてありますが、桜材の一木造りで高さは163センチあります。藤原時代初期に作られたもので、国指定重要文化財になっています。通常は秘仏としてお顔を拝見できませんが、33年に一度、御開帳があります。次回は2036年ということで、まだまだ先です。貴重なお顔を拝める日は見逃せないですね。
根香寺の境内にはとても古い巨木があります。これは樹齢1600年とも言われる「白猴欅」と呼ばれるケヤキです。開基した時、このご神木に白い猿が現れたことから名付けられました。

その樹幹の周囲はなんと約7メートルと、想像するだけでも大きいのが分かります。一時は、香川県天然記念物に指定されていましたが、残念なことに枯れてしまったので、屋根をつけて保存されています。
根香寺の本堂に向かって左手にある「五大明王堂」は、5種類の明王が祀られています。明王は密教に関連が深い仏像で、真言宗や天台宗の寺院でよく見られることで知られています。ここには大威徳明王、金剛明王、不動明王、降三世明王、軍荼利明王という5種類の仏像があるのですが、根香寺の五大明王は等身大で木造という珍しい状態で祀られています。
弘法大師が祀られている大師堂は忘れずにお参りしましょう。

緑が豊かな根香寺の山道は、清々しい空気が流れているのでマイナスイオンのパワーを感じられる空間です。

まとめ
根香寺の御朱印や見どころはいかがでしたか。
牛鬼伝説は恐ろしい伝説ですが、駐車場にある牛鬼のブロンズ像はとてもユニークで見逃せないスポットです。とても静かなお寺なのですが、木造千手観音や五大明王など、ご利益をたくさんいただけるお寺なので、お遍路さんでなくとも足を運んでおきたい寺院です。
自然のパワーをいただいてエネルギーチャージにもいいパワースポットです。
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