四国お遍路85番の八栗寺(やくりじ)は山の上の方にあるお寺で、天に近いとても神秘的な感覚がします。アクセスには何通りかあります。不思議な言い伝えがある八栗寺にはどんな物語が隠されているのでしょうか。そんな八栗寺の御朱印や見どころについてご紹介します。
八栗寺とは
八栗寺は、標高230メートルの場所にあり、5つの岩が剣のようになっていることから名づけられました。お寺は「五剣山」の八合目に位置します。ここには不思議な言い伝えがあります。
弘法大師がこの山で修行したとき、5つの剣が天から降ってきたのと同時に、蔵王権現が神託を告げました。大師は5つの剣を山に埋め、山の守りとし、五剣山と名付けたと言われています。
山の上にある八栗寺からは、四方に渡り八国をも見渡すことができたので、八国寺という名だったそうです。
延暦年中、弘法大師は唐へ留学する前に、この山に再び登り8個の焼き栗を植えました。
帰国して再び訪れると、なんと焼き栗から芽が生えて成長していたことから、八国寺から八栗寺に改名されたということです。栗から芽が出るならわかりますが、焼き栗とは実に不思議です。
八栗寺のご利益
八栗寺のご本尊は聖観世音菩薩で、本堂に祀られています。現世のご利益に霊験あらたかといわれていて、毎月1日と16日の縁日には、欠かさずお参りするという信心深い参拝客が大勢訪れます。お遍路さんだけでなく、地元の人にも愛されているお寺ですね。
しかしご本尊に増して人気を呼んでいるのが、本堂左前の聖天堂に祀られている「歓喜天」です。歓喜天は頭が象、体が人間の男女が抱擁している和合神で、インドでは「ガネーシャ」と言われています。日本でもガネーシャと呼んだ方がピンとくるのではないでしょうか。
人の歓び(願いが叶う)を喜びとする天尊で、人々の災を除いたり、福徳、商売繁盛のご利益があると言われています。歓喜天はとてもパワーの強い神様と言われていて、他にも縁結び、子授け、安産、夫婦円満などのご利益もあります。八栗寺は安産祈願のお寺としても有名です。安産祈願を希望する場合は、事前に予約が必要です。腹帯を持参したい場合も事前に伝えましょう。
弘法大師作と伝わる15センチの小さな像は黄金に輝いているそうです。秘仏なので、通常はその姿を見ることはできません。しかし、50年に一度は御開帳があり、その姿を見ることができて、更にご利益がいただけると言われています。地元の人にも「八栗のお聖天さん」として親しまれています。
ご本尊は聖観世音菩薩に始まり、弘法大師作と伝わる黄金の像の歓喜天や、大日如来を安置する多宝塔など、見どころ満載なお寺です。是非、多くのご利益をいただきたいですね。
八栗寺の御朱印の特徴
八栗寺の御朱印は聖天堂の隣にある納経所でいただくことができます。大変人気のある御朱印なので、お遍路さんや観光客が同じ時間に重なってしまうと、多少の時間ロスが発生するかもしれません。もし、そうなってもイライラするのではなく、五剣山の自然に癒されながら静かに待ちましょう。
八栗寺の御朱印は2種類あり、「八栗寺の御朱印」と「聖天堂」の御朱印をいただくことができます。太字の墨書きで書かれた御朱印には、3箇所に朱印が押されていて、とても賑やかな印象を受けます。並んでも欲しくなる素敵な御朱印です。そのため八栗寺の御朱印だけを求めて訪れる人も多いのだとか。
山の上にある八栗寺では、まず本堂の前で祈りをささげ、お経を読み、語りかけるなど、ご本尊様との会話が重要になります。間違っても先に御朱印をいただきに行かないように気を付けましょう。
八栗寺の見どころ
山の上にある八栗寺ですが、他に何もないような殺風景な場所ではなく、むしろ見どころがたくさんあります。八栗寺への山道を登りきった先にあるのが「お迎え大師」です。弘法大師が山岳修行でこの地を訪れた際に、岩間からあふれる清水でのどを潤したそうで、地域の住民はその水辺に木造大師像をまつり「水大師」として信仰していました。
それを石造しここに祀ったのがお迎え大師です。山を登り終えた達成感の先にお大師さまのお出迎えを受けることができるのは、何とも嬉しいですよね。徒歩で登った時のみお迎え大師のお出迎えを受けることができます。
八栗寺の境内で、弘法大師が祀られている大師堂は6月15日の弘法大師の誕生日に開扉します。開扉されてなくても外からしっかりと手を合わせましょう。
八栗寺の境内に足を踏み入れて目を奪われるのが、本殿とその裏手側にある「五剣山」の姿です。まさに八栗寺の始まりのきっかけになった山であり、今でも多くの人が信仰している霊山といわれています。山から降り立つパワーを感じてみてください。
八栗寺には天狗が祀られている「中将坊堂」というお堂があります。天狗は山を守護するシンボルですので、修験者にとっては有難い守り神様です。かつて山が山岳修行の道場であったことが伺えます。ケーブル山頂駅から参道を進むと朱塗りの「多宝塔」が見えてきます。
一段と目を引く多宝塔には、非公開の大日如来像が安置されているそうです。八栗寺で行われた期間限定の写経体験の際に書かれた写経は、こちらの多宝塔に奉納されたそうですよ。秘仏である大日如来像の側で、より一層のご利益が授かれそうですね。
八栗寺へのアクセス
八栗寺へ行くには主に3つの方法があります。
・最寄駅から徒歩で山を登る方法。
・山の麓から車で登る方法。
・最寄駅からケーブルカーを利用する方法です。
八栗寺のある五剣山の標高はそれほど高くはないのですが、八栗寺に行くまでの道はかなりの急こう配です。それぞれの方法に良い点、悪い点があります。
徒歩の場合、自分の足で登る達成感と、上記しましたように、山頂で「お迎え大師」のお出迎えを受けることができます。実際に境内に入るまでは10分〜15分程度の山道なのですが、急こう配なので、体力に自信のない人にはおすすめできません。
次に車の場合ですが、八栗寺の道は整備されているので、車でも登りやすい道になっています。ただ、せっかくの自然をあまり見ることなく、八栗寺の境内に入ってしまうのが残念な点です。
八栗寺へのアクセスでおすすめなのが、ケーブルカーを利用する方法です。ケーブルカーで「ケーブル山頂駅」を目指します。五剣山は独自の景色を生み出していますが、ケーブルカーではそのような風景もゆっくり楽しむことができます。もちろんお遍路さんもケーブルカーを利用する人が多いです。自分が満足する方法で五剣山や八栗寺への道のりを満喫してくださいね。
まとめ
八栗寺の御朱印や見どころはいかがでしたか。
険しい山の上にある寺院なので、いかにも「お遍路さん」的な気分を楽しめるお寺になっています。山の上にある八栗寺は、見どころも多く、何より五剣山の素晴らしい光景や、山のパワーをいただくことができる、神秘的なスポットです。ガネーシャのご利益にも是非、あやかりたいですね。
▶︎日本全国都道府県の神聖なパワースポットまとめ一覧ページはこちら