聖徳太子と聞いて最初に思い浮かべるのは、なんでしょうか？
以前はお札の代名詞のように言われていましたが、その聖徳太子にまつわる不思議な話もいくつか残っているようです。で
は、聖徳太子とは、どのような偉業を成し遂げたり、どんな不思議な話が残っている人物なのでしょうか？
聖徳太子の神秘のベール
聖徳太子とは
聖徳太子は、574年2月7日生まれで、飛鳥時代の皇族です。本名を厩戸皇子（うまやどのおうじ）と言い、聖徳太子と呼ばれるようになったのは没後になってからのことです。用明天皇と、欽明天皇の皇女である穴穂部間人皇女（あなほべのはしひとのひめみこ）との間に生まれた皇子だとされていますが、一説には背も高く、顔立ちも日本人と違っていたところもあり、渡来人の子ではないかとも言われています。
またキリストと同じく厩戸の前で生まれたので、厩戸皇子という名前で呼ばれたという説と、奈良の飛鳥辺りにあった、厩戸という地で生まれたからという説があります。現在では飛鳥にある橘寺が出生の地とされています。
推古天皇が即位すると聖徳太子は20歳で皇太子になり、天皇に代わって政治を治める摂政にもなっています。622年に48でこの世を去った聖徳太子ですが、その理由は自殺とされているようで、どうやら夫人が亡くなった翌年に自らの命を絶ったのでした。聖徳太子のお墓は、大阪府太子町にある叡福寺にあり、巨大な円墳の中に祀られています。
聖徳太子の実績
聖徳太子が残した実績として有名なのは、数多くあります。そのひとつは、仏教を日本に広める努力を続け、仏教の精神を人々に教育すると同時に法隆寺（当時は斑鳩寺）をはじめとする数々の寺を建立しました。
また隋に技術や制度を学ぶために遣隋使として小野妹子を派遣したことや、603年に制定した天皇に使える役人を12階級に分けた「冠位12階の制定」は、天皇が絶対権力を持てるような仕組みで、それまでは一族に与えられていた権限を個人に与えるように変えました。
もうひとつ、聖徳太子が残した実績で有名なのが、604年に制定された日本初の成文法「17条の憲法の制定」です。しかしこれは法律というよりは仏教に基づいた規律や道徳的な内容を示し、官僚たちがそれを守るように定めたものでした。
聖徳太子の不思議な行動
聖人として、あがめられていた聖徳太子には、いろいろな不思議な行動があったとされています。たとえば、生まれてすぐに言葉をしゃべれたとか、「10人の話を一度に聞けた」という言い伝えがあるように、人並み外れた能力の持ち主だったのです。
また2歳のときに合掌しながら「南無仏」と唱えたところ、手のひらから仏舎利が現れたということが記された書物も残っています。このほか、予言者としても有名で、日本書紀には聖徳太子には予知能力があったことが記載されています。
また聖徳太子が記したとされる「未来記」なるものが、大阪の四天王寺に存在し、最高機密扱いになっています。そこに書かれているのが、平安京が自分の死後に作られることや黒船の来航などです。そのうえ、その書物には今年あたりに富士山が爆発することや、2030年頃には世界が破滅することもその「未来記」には記載されているのです。
太子信仰
日本の仏教の礎を作った聖徳太子に対する信仰および奉賛することを「太子信仰」と呼びます。
聖徳太子自身は僧ではありませんが、多くの偉業を成し遂げたり、不思議な能力のある聖徳太子を聖人、日本の釈迦として祀り、聖徳太子の像を造立し、それを礼拝の対象としました。大阪にある四天王寺は、まさにこの太子信仰の中心寺院として知られています。
平安時代に空海により神仏習合が広められたときに、一般にもこの太子信仰が広まり、聖徳太子のバイブル的な「聖徳太子伝暦」が出来上がりました。
太子講
太子信仰には、もうひとつ「太子講」呼ばれるものが存在し、大工や左官、建具屋、鍛冶屋、桶屋などの、建築関係に携わる人々が、まだ組合などがなかった時代に聖徳太子を守護神としてあがめることで、結束をはかりました。
実は聖徳太子は、大工道具である曲尺の使用を日本に広めたとされ、また寺院の建築にも力を注いだことから、大工や建築に携わる職人の守護神と考えられるようになりました。四天王寺には、曲尺を持った食と組太子の像も祀られています。
現在でもこれらの建築関係の会社では、太子講祭を開催し、聖徳太子の掛け軸や仏像の前でお祈りしたり、無事故を祈る式典を行っているところが多くあります。
まとめ
いかがだったでしょうか？
名前は知っていたけれど、聖徳太子に聖人と呼ばれるにふさわしい、不思議でかつすぐれた能力の持ち主だったのです。
予知能力も備えて神秘的な面も感じさせられる聖徳太子は、時を経ても日本で親しまれ、そして崇められる存在なのです。
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