この記事では、シュメール人とは何かを詳しく解説していきます。古代史から学びを得るのが好きなあなたはぜひご一読くださいね!
目次
シュメール人とは「最古の都市文明の礎を築いた民族」
シュメール人(Sumerian)とは、世界最古の都市文明「メソポタミア文明」の礎を築いた民族です。紀元前3000年頃のチグリス川とユーフラテス川の間で栄え、メソポタミアで人口が増えたと同時に誕生した「民族系統不明」の民族でもあります。
また、シュメール人は自分たちのことを「ウンサンギガ(黒頭の民)」と呼び、築いた都市国家を「キエンギ(君主たちの地)」と呼んでいました。これは、いずれもシュメール語です。
シュメール人の都市国家と暮らしぶり
現代のイラクにあたるメソポタミアの地で暮らしていたシュメール人は、「ウルク」「ジェムデト・ナスル」「ウル」「ラガシュ」などの都市国家を築きました。
そのうち最古・最大の都市国家が「ウルク(ウルク第1王朝)」。およそ400年も続いた同都市の面積は100ヘクタールにもわたり、25メートルのプール1089万個分に相当します。
驚くべきことに、当時からシュメール人は絵文字を記録の手段として使用していたのです。以降に誕生した楔形文字は、この絵文字が原形となっているのだとか。
また、ウルク後期には、社会勢力(神権政治)の概念・支配階級の政治体が浸透しており、商いや専門職などを生業とする人々もいたとされています。
さらには、『ギルガメシュ叙事詩』というウルクの王を題材とした冒険物語までもが描かれていたことがわかっています。
シュメール人が発祥!現代に生かされている技術・文化5つ
1.文字/絵文字
シュメール人が使用していた楔形文字は、1つの文字が特定の一語を表す表語文字に基づいて編み出されています。つまり、現代で使用されている「漢字」の1種なのです。
また、楔形文字は1つの音節を、一字で表す音節文字も組み合わせて編み出されています。こちらも、現代日本で使用されている「仮名」とまったく同じ成り立ちなのです。
2.言語
シュメール人の話すシュメール語は、日本語と同じ「膠着語(こうちゃくご)」です。膠着語とは、特定の単語に接頭語・接尾語をプラスして違った意味をもつ単語に変える言語のこと。
- 接頭語「押し」を使う単語…押し進める、押し黙る、押し入る(押し+単語の形)
- 接尾語「ない」を使う単語…飛ばない、行かない、やらない(単語+ないの形)
現代日本でも文章表現の一環として、接頭語・接尾語を使用した膠着語が使われています。詳細な意味や心情が伝わる言語の組み立て方が、シュメールと日本で共通しているなんて、本当に不思議ですよね。
実際のところ、シュメール人がどのようにして膠着語を編み出したのかは、未だ解明されていないようなのです。
3.商い/商取引
シュメール人は狩猟と採集で生計を立てており、紀元前から牛・羊の飼育や麦の栽培などで収益を上げていました。これは、現代の牧畜や農業と同じ商売の仕方ですよね。
しかも、楔形文字を使って商取引の内容を記録していたそうなのです。現代のように便利な会計システムなどはないものの、「商取引」の原形を考案したのはシュメール人といえるでしょう。
4.筆記用具
シュメール人が楔形文字を書く際に使っていたのは、「尖筆(スタイラス)」と呼ばれる藁(わら)の筆記用具でした。これは、現代に生きる私たちの誰もが使ったことのある「鉛筆」の原形。
現在でも「藁筆(わらふ)」という別称で、この特殊な筆記用具を作り続けている工房職人も。藁特有の広がりやすい穂先を尖らせるのは非常に難しく時間がかかるとされているため、それをやってのけたシュメール人の知能の高さがうかがえますよね。
5.占星術
一説によれば、占星術の起源はメソポタミア文明で、「占い」というものを思いついたのはシュメール人ではないかとされています。
というのも、シュメール人が楔形文字を編み出したのと同時期に、暦の概念や占星術が浸透していったからです。
多くの人が、占星術はヨーロッパ発祥の手法と考えるなか、実はシュメール人が発祥したものである可能性があるとは驚くばかりですよね。
まとめ
シュメール人とは、世界最古・最大の文明を築いた驚異的な知能をもつ民族です。文字、言語、商取引、筆記用具、占星術にわたるまで、シュメール人発祥の技術・文化は多数あります。
謎に包まれたシュメール人の歴史が解明されている今、先人の偉大さが改めてわかるのではないでしょうか。「先人に学ぶ」という言葉をいつまでも忘れずにいたいものです。
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