スイスと言えば国民性が穏やかで朗らかな人が多い印象です。また市街地とは真逆な顔を見せる厳しい自然も見どころです。そんなスイスには街にも自然にも世界遺産があります。穏やかな街の顔か、厳しい自然の顔かどちらの世界遺産を見に行きたいですか?
ベルン旧市街
スイスにあるベルン旧市街は、中世ヨーロッパ都市の姿が今でも残る美しい世界遺産です。
ここの始まりは、1191年にツェーリンゲン公ベルヒトルト5世によって築かれました。アーレ川に囲まれた小高い丘という地形を生かしてニィデックに築いた砦にはじまり、13世紀には自由都市として時計塔のところまで発展しました。
その後もスイスの中でエリアを拡大して、ヨーロッパ最長と言われるアーケードや凝った彫刻が美しい水飲み場など荘厳な大聖堂も作られました。何処を見ても美しい世界遺産です。
アーレ川に囲まれる立地は古くから天然の要害であり、政治の中心として栄えていたベルンの様子を伺うことも可能です。今見られる石造りの街並みは、15世紀の大火以降が始まりだと言われています。今でもスイスの人たちに大切にされている世界遺産です。
ベッリンツォーナ旧市街3つの城と城壁群
スイス南部のイタリアとの国境近くにある世界遺産です。
スイスを代表するような2つのお城は、とても美しく目を奪われる人が多数です。このカステルグランデ、モンテベッロ城、サッソ・コルバロ城の3つの城は中世における軍事建築の重要な様式を示しています。
他の都市にないのは、この土地の支配者が目まぐるしく変わったところです。ヨーロッパの都市の中でも、時代ごとの人の要求を絶えず受け止めて発展してきたユニークな街が見られる場所でもあります。
スイスが誇る各お城には数々の歴史が残されています。世界遺産と呼ばれるからには世界中の注目度も高い場所です。まるで別世界に紛れ込んでしまったような不思議な感覚が味わえる世界遺産です。
ミュスタイアのベネディクト会ザンクト・ヨハン修道院
スイス東部のアルプスの谷間にある世界遺産です。
フランク王国のカール大帝の命を受け建てられたと伝えられている美しい修道院です。ここの東西南北すべての壁には旧約・新訳聖書の物語から82の場面が壮大な構想の元に描かれています。
今世紀になってそのフラスコ画が見つかったというから驚きです。またそのフラスコ画の保存状態が良いことでも有名です。8世紀に建てられた場所なのでとても歴史が深く、今でもスイスを始め周辺の国から親しまれています。
中世初期とキリスト教全盛期時代を伺えるこの修道院では、現在も厳しい戒律に従って12人もの修道女が暮らしています。このように修道女がこの場所で暮らし始めたのは1167年からと伝えられています。壁の絵を見るだけでも訪れてみたい世界遺産です。
スイスの活発な地殻変動地域サルドナ
スイス東部、アルプス山脈山中にある巨大な衝上断層である世界遺産です。
スイスの活発な地形変動地域に属するのでとても険しい場所です。この一帯をグラールス衝上断層と呼んでいます。衝上断層とは、上位の地層が下位の地層に対して緩い角度でずり上がった断層のことを指しています。
この衝上断層に沿って、ヘルヴェティックナップが、北側のアアル地塊とインフラ・ヘルヴェティック複合体の上100km以上にわたってせり上がっています。日本では絶対に見られない風景です。スイスでは珍しいものではありませんが、観察のしやすい環境にあることで研究の対象にもなっています。
見る分には美しい光景ですが、実際に人が立てるような場所ではなく、厳しい自然環境でもあります。スイスの厳しい顔ともいえる世界遺産です。
サン・ジョルジョ山
スイスとイタリアの国境にあり両国にまたがる世界遺産です。
国境にあるルガーノ湖の南に位置する標高1096mの小高い山がサン・ジョルジョ山です。中生代三畳紀、トライアシック紀の貴重な化石群が見つかった場所としてスイスでも人気スポットです。
恐竜の祖先といわれるティキノスクス、地球史上最も長い首を持っていたというタニストロフェウスなど、1万点を超す無脊椎動物や魚類、海生爬虫類が見つかっています。始まりは貴重な世界遺産ですね。結晶片岩を採掘していた時というので、見つけた人も驚いたことでしょう。
見た目にも分かりやすい良い保存状態で見つかったそうですよ。眠っていた歴史を呼び起こしたようなスイスでも見ごたえのある世界遺産です。
まとめ
スイスの世界遺産はいかがでしたか?街の世界遺産も自然の世界遺産もどちらも魅力的です。
スイスの人が大切にしてきた世界遺産ばかりなので、汚したり壊したりしないように足を踏み入れたいですね。
朗らかなスイスの人のお話を聞くのも楽しそうです。世界遺産めぐりだけでなく、スイスの人柄にも触れてみたい場所です。スイスの世界遺産を訪れてみませんか。
