
京都といったら外せない観光スポットにもなっている東寺ですが、その中でも今回は五重塔にスポットをあてて見ていきましょう。
通常、東寺の五重塔の中には入れないのですが、特別拝観が年に何度か設けられていて、その期間に訪れると非公開の五重塔の内部を見ることができます。東寺の五重塔の特別拝観についてご紹介します。
東寺の五重塔の歴史
京都のシンボルともいえる五重塔の歴史を振り返ってみましょう。823年に弘法大師空海が嵯峨天皇から下賜された後に五重塔の建築が始まりました。
しかし費用の面や人員不足から東寺の五重塔の建築はなかなか思うように進まず、弘法大師空海の没後約半世紀後883年に完成しました。1055年には落雷にて焼失したり、その後も何度か焼失や再建を繰り返してきた東寺の五重塔ですが、1644年に徳川家光公により、平安時代の様式にて再建され、それが現在の五重塔になっています。東寺の五重塔は国宝にもなっていて、木造塔の中では日本一の高さである約55メートルを誇ります。
池に映る五重塔や桜の時期の五重塔はとても美しく、参拝者の目を喜ばせています。初層の屋根の部分を見ると四方に邪鬼が塔を持ち上げていて、それぞれ顔や仕草が違うのを見るのも面白いですよ。
東寺の五重塔の構造が知りたい
見上げるほどの高さのある東寺の五重塔には、当時の人もさぞかし驚いたことでしょう。遥か昔から同じ場所に建っている東寺の五重塔は、一体どのような構造をしているのでしょうか。五重塔は、五重の屋根を持つ僧塔と呼ばれている楼閣形式の五重の屋根を持つ仏塔のことを表します。
五重塔の屋根は下から基礎を意味する「地」・塔身を意味する「水」・笠を意味する「火」・請花を意味する「風」・宝珠を意味する「空」から成り立っていると言われていて、仏教的な5大思想の宇宙観が表現されています。五重塔とは言いますが、五階建ての建物ではなく、内側は吹き抜けになっていて上階層に登ることはできません。
東寺の五重塔には、弘法大師空海が唐より持ち帰ったとされる仏舎利が奉納されていると伝えられています。東寺の五重塔は落雷によって焼失していますが、地震による崩壊はないというのは知っていますか。
五重塔は、独立した屋根の層が下から積み重ねられ、上層へいくほどに狭くなっています。中央に心柱が貫通されていますが、心柱を抜いても五重塔は倒壊しないと言われているのです。まさに昔から免震構造が施されているといっても過言ではありません。
東寺の五重塔は内側も見られるって本当?

構造の所でも紹介しましたが東寺の五重塔は五階建てではなく、内側は吹き抜けになっています。実際は初層のみが存在するのです。中心に心柱があり、これが最上階まで貫かれています。東寺の五重塔の内部は、普段は一般公開されていません。あれだけの立派な五重塔の中が気になる人も多いでしょう。
しかし、年に何度かは「特別拝観」として、初層に入ることができるようになります。東寺の五重塔の四方には、東側に阿弥陀如来・弥勒菩薩・金剛蔵菩薩、南側に宝生如来・除蓋障菩薩・虚空蔵菩薩、西側に阿弥陀如来・文殊菩薩・観音菩薩、北側に不空成就如来・普賢菩薩・地蔵菩薩が配置されています。そして五重塔の中心の心柱を密教の中心となる大日如来として見立てているのです。外壁には真言八祖像が描かれています。
須弥壇の下の一部が開いており、心柱が礎石の上に乗っているのを確認できます。天井も見事で折上小組格天井となっています。特別拝観の期間は東寺の五重塔の内部だけでなく、他の国宝も公開されます。特別拝観に合わせて東寺や五重塔を訪れることをおすすめします。
東寺の五重塔の特別拝観の時期や拝観料

そこで気になるのが東寺の五重塔の特別拝観がいつ行われているか、という部分ですね。大まかに言うと、春・秋の特別拝観と年始にあたる冬の特別拝観があります。期間はその年によって多少ズレますが、大きく違うわけではないので、2022年の特別拝観の日程を参考にしてください。
冬の特別拝観は2022年1月8日~3月18日までで、拝観時間は8:30~17:00です。春の特別拝観は2022年4月29日~5月25日までで、拝観時間は8:00~17:00です。秋の特別拝観は2022年10月29日~12月11日までで、拝観時間は8:00~17:00です。この期間は東寺に訪れる人もいつもより多いので、早めに計画を立てましょう。
拝観料は大人800円、高校生700円、中学生以下500円です。春の桜の時期はライトアップも行われるので、一層美しい姿を見ることができますよ。東寺の五重塔に行くのであれば、特別拝観の時期を狙って行くのがおすすめです。
東寺の五重塔の見どころ

東寺の五重塔の見どころは、なんといっても日本一の高さを誇る木造建築物だという部分です。これだけ高いので京都駅からも見える五重塔は、いつからか京都のシンボルとなり、外国人観光客にも人気ですね。京都駅前のビル群の中に佇む東寺の五重塔は、そこだけ時間が止まったような歴史と美しさを兼ねそろえています。
東寺で行われる「弘法市」は、毎月21日の早朝から夕方頃まで開かれている縁日です。縁日とは、神仏の縁のある日に祭祀や供養が行われることを意味します。東寺では、弘法大師空海の入寂を期して3月21日に御影堂で行われている御影供が、1239年頃から縁日として毎月21日に開かれるようになりました。

五重塔の周りも華やかになり、たくさんの来訪者で賑わっています。更に東寺では毎月第一日曜日には骨董市が開催されています。東寺の五重塔を散策した際には、思わぬお宝に巡り合えると評判です。京都らしい骨董品の数々は眺めているだけでも楽しいですね。
まとめ
東寺の五重塔の特別拝観について書いてみましたがいかがでしたか。
東寺にある他の建築物の特別公開も行われますが、それらに比べると五重塔の拝観期間は短いようです。
せっかく東寺や五重塔に行くのですから、一度は特別拝観で内部を見てみたいですね。朝早い時間であれば比較的空いているのでおすすめです。