上田市の日本遺産は、「レイラインがつなぐ『太陽と大地の聖地』~龍と生きるまち 信州上田・塩田平~」というテーマで、2020(令和2)年6月19日に認定されました。
レイラインとは、夏至の朝、太陽が日の出の時に地上につくる光の線のことで、信濃国分寺から生島足島神社、別所温泉を通ります。そのレイライン沿いに分布する神社仏閣や、雨乞いの祭りなどに見られるさまざまな「祈りのかたち」が、塩田平の人々の暮らしの中に受け継がれてきました。
別所温泉は、開湯から千年余り、信州最古の温泉です。源頼朝や塩田北条氏によって再建・復興された神社仏閣が多く、「信州の鎌倉」と呼ばれています。それら上田市日本遺産を構成する35の有形・無形の文化財から、オリジナルロゴマークをあしらった限定御朱印を授与している10の神社仏閣をご紹介しましょう。
図:別所温泉旅館組合発行「別所温泉」リーフレットより
目次
目次
上田市日本遺産御朱印を授与している神社仏閣とは
1.信濃国分寺(しなのこくぶんじ)
2.生島足島神社(いくしまたるしまじんじゃ)
3.長福寺(ちょうふくじ)
4.北向観音(きたむきかんのん)
5.安楽寺(あんらくじ)
6.常楽寺(じょうらくじ)
7.別所神社(べっしょじんじゃ)
8.前山塩野神社(まえやましおのじんじゃ)
9.中禅寺(ちゅうぜんじ)
10.前山寺(ぜんさんじ)
上田市日本遺産御朱印10寺社の巡り方
図:上田市日本遺産推進協議会・上田市観光課発行「信州上田レイライン線・別所線 運行ルート」リーフレットより
どちらから巡ってもいいのですが、大きく3地区に分かれます。
①信濃国分寺・下之郷(しものごう)地区
JR上田駅からしなの鉄道「信濃国分寺駅」で下車して、1.信濃国分寺を参拝。再びJR上田駅に戻り、上田電鉄別所線「下之郷駅」で下車して、2.生島足島神社と3.長福寺を参拝。
②別所温泉地区
上田電鉄別所線「下之郷駅」から乗車して、「別所温泉駅」で下車。4.北向観音、5.安楽寺、6.常楽寺、7.別所神社を参拝。
③前山地区
「別所温泉駅」から上田バス信州上田レイライン線「下之郷駅行き」に乗車して、「中禅寺」で下車。8.前山塩野神社、9.中禅寺を参拝。同じく上田バス「下之郷駅行き」に乗車して「前山寺」で下車。10.前山寺を参拝。
②と③は逆巡りも可能です。上田電鉄別所線の運行は、朝夕の通勤・通学時間以外は1時間に1本程度です。上田バス信州上田レイライン線は2時間に1本程度で、1日に5本の運行です。どちらも時刻を確認してください。
お得な切符
別所線・信州上田レイライン線 電車・バスフリーきっぷ:大人1,240円(上田駅で発売)
上田電鉄 1日まるまるフリー切符:大人1,180円(上田・下之郷・別所温泉で発売)
上田バス 信州上田レイライン線1日券:大人500円(バス内で発売)
上田市日本遺産御朱印と文化財
上田市日本遺産のロゴマークのコンセプト
のぼる太陽から伸びる光は、別所温泉まで続くレイラインとなってこの地の要所を繋ぎます。その光の波は、塩田平に点在するため池の水面や水田の緑豊かな稲穂を表し、ついには地域に伝わる龍となって上田の人々のあゆみと祈りの形を表現しています。
(上田市日本遺産推進協議会事務局発行「上田市日本遺産御朱印」リーフレットより)
10寺社の御朱印を並べてみました。御朱印の右下に金色のロゴマークが印刷されています。太陽の下のラインの一番下に龍の頭がついています。上田市日本遺産御朱印はすべて書置きです。
それではそれぞれの御朱印と文化財をご紹介しましょう。
①信濃国分寺(しなのこくぶんじ)天台宗
信濃国分寺の御朱印は、中央に「信濃国分寺」、左脇に「八日堂司」と書かれています。白・淡いピンク・藤色・黄色・緑の五色ありました。すべていただきたくなるようなきれいな御朱印でした。
納経料は800円
拝観時間:日中随時
所在地:上田市国分1049 ℡ 0268-24-1388
しなの鉄道「信濃国分寺駅」から徒歩5分
拝観料・駐車場無料
信濃国分寺は中世に復興され、現在地に移動したものと推定されます。奈良時代に創建された国分寺跡が、寺前の国道18号線の南に広がっています。遺跡の中を国道としなの鉄道が走っているのです。
本堂 長野県宝
本尊は薬師如来。現在の本堂は1860年に建立されました。入母屋造(いりもやづくり)妻入(つまいり)で、外観は母屋のまわりに庇(ひさし)をつけているので2階建てのように見えます。堂々とした風格ある建築で、龍や鳳凰などの彫刻がみごとです。
三重塔 重要文化財
高さ20.1m。源頼朝の発願により建立されたと伝わりますが、建築様式から室町時代の建立と推定されます。第一層に大日如来が安置されており、別所温泉の安楽寺の八角三重塔の大日如来とともに、レイラインの発着点を示すのではないかと推定されます。屋根のカーブがなんとも美しく青空に映えていました。
上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗(そみんしょうらいふはんぷしゅうぞく) 国選択無形民俗文化財
信濃国分寺は1月8日の縁日にちなんで「八日堂のお薬師さん」と呼ばれています。その八日堂縁日で、泥柳(どろやなぎ)の木を手彫りした六角形の護符「蘇民将来符」が頒布される習俗があります。歴史のある行事で、人々は厄除けのお守りとして、家の戸口に掛けたり、神棚に供えたりします。写真は9cmほどの小さいもので1,000円でした。
これを購入したためか、遠くから来たためか、住職様が特別に鐘を撞かせてくださいました。柔らかい響きが長く続き、心にしみる鐘の音でした。天井画が美しい鐘楼堂でした。
その他、石造多宝塔(せきぞうたほうとう)、牛頭天王祭文(ごずてんのうさいもん)、国史跡信濃国分寺跡も上田市日本遺産の構成文化財となっています。
公園になっている奈良時代の遺跡の中をゆっくり散策しながら駅に向かいました。
②生島足島神社(いくしまたるしまじんじゃ)
生島足島神社の御朱印は、さくら色の和紙で、中央に「生島足嶋神社」の文字が書かれ、右上に「大八洲真中」という朱印が押されています。日本列島のほぼ真ん中に鎮座する神社という意味です。
初穂料は800円
授与所は8:30~16:30
所在地:上田市下之郷中池西701 ℡ 0268-38-2755
上田電鉄別所線「下之郷駅」下車、徒歩3分
拝観料・駐車場無料
祭神は、生島大神(いくしまのおおかみ)万物に生命力を与える神と、足島大神(たるしまのおおかみ)万物を満ち足らしめる神の二神です。日本国土の守護神として、古来歴代朝廷はじめ、北条氏、武田氏、真田氏などの武将に崇敬されました。
本殿内殿(ほんでんないでん) 県宝建造物
内殿には床板がなく、大地そのものの土間がご神体として祀られています。内殿は切妻屋大社造(きりつまやたいしゃづくり)で室町時代創建と言われています。内殿を覆う本殿・拝殿は権現造(ごんげんづくり)で、1941年に再建されたものです。
東の鳥居
夏至には、この東の鳥居の真ん中から太陽が昇ります。しかも東の鳥居のさらに東には信濃国分寺があります。国分寺の三重塔には偉大な太陽を表す大日如来が安置されているのです。
西の鳥居
冬至には、この西の鳥居の真ん中に太陽が沈みます。
このように築造されている生島足島神社は、太陽と大地を結ぶ神社と言えるでしょう。
生島足島神社には、摂社の諏訪社本殿(市指定文化財)、生島足島神社文書(重要文化財)も上田市日本遺産の構成文化財になっています。
その他、樹齢約800年の夫婦欅(めおとけやき)や、歌舞伎舞台(県宝)など見どころが多く、池に囲まれた鮮やかな朱塗の社殿や鳥居など、明るく清々しい雰囲気の神社です。