四谷須賀神社は、江戸時代から四谷18カ町の総鎮守として、地域を守ってきました。それだけに新宿区四谷という都心にありながら、周辺の住宅街と溶け合って、静かなたたずまいを見せています。
その四谷須賀神社が、『君の名は。』の聖地として熱い注目を浴びているのはなぜでしょうか?四谷須賀神社の御朱印を頂いてきました。
目次
四谷須賀神社の歴史
須賀神社の主祭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)と宇迦能御魂神(うかのみたまのみこと)です。
須賀神社は、1634年(寛永11年)に、赤坂一ツ木村の清水谷にあった稲荷神社が、江戸城外堀工事のため四谷に遷座されたことに始まります。
1643年、神田明神摂社に祀られていた牛頭天王(ごずてんのう)が合祀されました。牛頭天王は、釈迦が説法したという祇園精舎の守護神でしたが、日本神話の須佐之男命と習合された神仏習合の神でした。
江戸時代は、「稲荷天王」「四谷牛頭天王社」と称されていましたが、明治元年の神仏分離によって社号を須賀神社に改めました。
社名の須賀は、日本神話において、須佐之男命が出雲の肥の川の上流で、八俣の大蛇(やまたのおろち)を退治し、櫛名田比売(くしなだひめ)を救って妻とし、出雲国須賀に到着した時に、「吾れ此の地に来たりて我が御心すがすがし」と言って、その地に宮を造ったことに由来するそうです。
四谷須賀神社のご利益
須佐之男命は、荒々しい気性ですが、強く、純真な愛情を持つ神様ですので、疫病・厄除け、大地の恵みの神として四谷18カ町の地域を守り、人々の信仰を集めてきました
特に、毎年6月に行われる例大祭は、古くは、四谷の「天王祭り」といわれ、江戸の五大祭りの一つとして有名でした。現在もこの例大祭は、4日間に渡って盛大に行われ、日曜日にはお神輿の渡御もあり、四谷全体が熱くなる行事です。
もう一つ、四谷須賀神社の魅力は、多くの神々が祀られていることです。
【本殿】主祭神(須佐之男命・宇迦能御魂神)の左右に、5男神と3女神の8柱の御子
【相殿】大鳥神社(祭神は日本武命・天日鷲大神・大鳥連祖大神)大国社(祭神は大国主命)
【摂社】天白稲荷神社(祭神は、倉稲魂大命。相殿として、天照大神・応神天皇など17柱)
なんと合計32柱の神々が祀られている神社なのです。主祭神の須佐之男命だけでもパワフルな神様なのに、その他に31もの神々が祀られている神社とあって、四谷須賀神社は最強のパワースポットなのです。
このような四谷須賀神社に、新海誠監督は、『君の名は。』の重要なスポットを見出したのです。
四谷須賀神社は『君の名は。』の聖地!

ではなぜ四谷須賀神社が『君の名は。』の聖地になったのでしょうか?
2016年8月26日に公開されたアニメーション映画『君の名は。』は、興行収入247億円(2017年3月21日現在)という大ヒットとなりました。
物語の始まりは、千年ぶりにティアマト彗星が接近する1カ月前のこと。飛騨の山深い町に住む女子高校生の宮水三葉は、生家の宮水神社の巫女でもあり、祖母と小学生の妹と暮らしています。三葉は、神社の古いしきたりの中での生活にうんざりし、「来世は東京のイケメン男子にしてください!」と願っていました。一方、立花瀧は、東京で父と暮らす高校生。レストランでアルバイトをしながら友人たちと楽しく暮らしていました。
そんな二人がある日夢の中でお互いの体が入れ替わります。三葉は、瀧の体を借りて、とまどいながらもあこがれの東京での生活を体験します。瀧も三葉の体を借りて、祖母や妹と神社や田舎の生活を体験します。
週に2、3回は起こっていた入れ替わり現象が、ある日を境にぱったりなくなります。3年の時空を超えて体が入れ替わっていた二人。ある日のかわたれどきのわずかな時間に、二人がいるそれぞれ別の時代が重なり、お互いの姿を確認した二人。しかし、そのかわたれどきが終わると、姿も名前も思い出せなくなってしまった二人。
そんな二人が大人になって、再会するのが四谷須賀神社なのです。でも、どのようにして別の時代の二人が再会できるようになるのでしょう。
ともあれ四谷須賀神社は、『君の名は。』のファンにとって聖地になったのです。
ではなぜ、二人が再会する重要なシーンに四谷須賀神社が選ばれたのでしょうか?
三葉が暮らすのは飛騨の山深い町糸守町。コンビニもおしゃれなカフェもない田舎町です。町の人々にとって唯一の楽しみが宮水神社のお祭りです。そんな神社で三葉と妹の四葉は、祖母から仕込まれた神楽を舞い、神に捧げる「口噛み酒」を造る作法を神楽殿で披露します。そうした神社の儀式や御神体を祀る祠、お祭りの日のかわたれどきに提灯が醸し出す美しい光景、祖母から教わった組紐が三葉と瀧を結ぶ糸になるなど、神秘的でどこか懐かしい風習や光景が、多くの人々を魅了した理由の一つではないかと思うのです。
だからこそ、三葉が育った宮水神社に似た雰囲気の四谷須賀神社が選ばれたのではないでしょうか。
四谷須賀神社の急な傾斜の石段(男坂)からは、四谷の町並みが見渡せます。古くから四谷18カ町を守ってきた神社です。宮水神社も糸守の町を一望できる高台にあり、町全体を守ってきた神社でした。

映画はピークを過ぎたとはいえ、この日も4、5人の男子がカメラを持って、なにやら石段の上で打ち合わせをしていました。「じゃあ、俺が上から降りてこようか?」などという言葉が聞こえました。映画の続きでも作るのでしょうか。
四谷須賀神社の御朱印いただきました!扇子のおみくじも!
手水舎で手と口を清め、二礼二拍手一礼してお参りをした後、社殿の右奥にある社務所のチャイムを鳴らして御朱印をお願いしました。待つこと数分。宮司様からきっちりした力強い御朱印をいただきました。初穂料は300円です。午前9時から午後5時までにお願いしてください。
社殿の横におみくじが置いてありました。扇子のおみくじが珍しく、200円を料金箱に入れて引きました。「末吉」でした。扇子のおみくじは、運が末広がりになるようにとの願いが込められたおみくじなのでしょう。
絵馬は『君の名は。』の二人が再会するシーンを思い起こさせる、空の青と石段の手すりの赤い色が鮮やかな絵馬です。いい出会いが叶いそうです。
その他、古くから頒布されているお守りに、11月「酉の市」の開運・商売繁盛のお守り「開運熊手守」、金銀融通のお守り「一陽来福守」(冬至から節分までの間)、厄除け開運のお守り「茅の輪守」(年間)など多数あります。
