宝船に乗った七柱の神さま、弁財天さま、毘沙門天さま、大黒天さま、恵比寿さま、布袋さま、寿老人さま、福禄寿さま。縁起物として、とくにお正月に目にすることが多いのではないでしょうか。それぞれ異なったご利益を授けてくれる福の神の七柱ですが、実は特徴としていつも同じものをもっていたり、決まった姿をしていたりするのです。そしてそれは、従えている動物も同じ。
今回は、七福神がそれぞれ従えている動物について、その意味をご紹介していきます。
【大黒天と鼠(ネズミ)】
大黒天さまが従えているのは、ネズミです。これには大きく2つの意味があって、1つは大黒天さまが北の方角の神さまだから。北は子の方角なので、子、つまりネズミの方向というところからネズミを従えているといわれています。
そしてもう一つは、大黒天さまが五穀豊穣をつかさどる神さまだから。台所の神さまともいわれる大黒天さまですが、食べるものに困らない裕福な家にはネズミがいることから、ネズミが豊かさの象徴とされ、大黒天さまが従えるようになったのです。ちなみに、大黒天さまが従えているのは白鼠。江戸時代には、商家で富を守る番頭さんのことを白鼠と呼んでいたようですね。
【福禄寿と鶴】
福禄寿さまが従えているのは鶴です。これは、福禄寿さまが長寿の神さまであることからも、なんとなくイメージがつくかもしれませんね。「鶴は千年亀は万年」という言葉もあるように、鶴は長寿を象徴する生き物です。ですから、福禄寿さまは鶴だけでなく、亀も従えている姿で描かれることがよくありますよ。
【寿老人と鹿】
寿老人さまが従えているのは鹿です。寿老人さまは福禄寿さまと同様、長寿の神さまですから、従えている鹿ももちろん長寿の象徴の生き物。中国では鹿は1000年生きると青色になり、1500年生きると白色になり、2000年を超えると黒色になるといわれているのです。そのため、寿老人さまが従えているのは黒い鹿。道教では1500年を超えた鹿は玄鹿と呼ばれるのですが、この鹿を食べると2000年の長寿が授かるといわれています。
【恵比寿様と鯛】
恵比寿さまが抱えているのは鯛です。竿で釣っている姿で描かれることが多いので、従えているのとは少しちがうイメージがあるかもしれませんね。これは、恵比寿さまが商売繁盛の神さまだからで、網で一気に鯛を獲るのではなく、竿で釣ることで、一か所に腰を据え、長く安定して成果をあげていくことを象徴しているのです。
まれに、鯛以外の魚を抱えた姿で描かれることもありますが、これは恵比寿さまが漁業の神さまでもあることから、願掛けとして別の魚を抱えた姿となっているのです。
【弁財天と蛇】
弁財天さまが従えているのはヘビです。湖や池など、水に縁深いところにお祀りされていることが多い弁財天さまは、水の神さまと呼ばれることもあるのです。もともと仏教とともに伝えられた弁財天さまは、インドでは河の神さまとされていました。くねくねと曲がる川の流れがヘビに似ていることから、弁財天さまはヘビを従えるようになったのです。弁財天さまとヘビの結びつきは強く、弁財天さまの縁日も巳(ヘビ)の日に開かれていますよ。
【毘沙門天とムカデ】
毘沙門天さまが従えているのはムカデです。これは、武神である毘沙門天さまですが、もともとは財宝の神さまだったから。そのため、おあし(銭)がたくさんつくということで、足がたくさんあるムカデを従えているのです。
そしてもちろんそれだけでなく、武神としての毘沙門天さまがムカデを従える理由もあって、それは、たくさんの足が一糸乱れずに連動するから。また、後退することなく前進する勇ましい姿が毘沙門天さまがムカデを従えている理由なのです。
【布袋様はなぜ神使がいないの?】
七福神の中で、唯一、動物を従えていないのが布袋さまです。これは、ほかの神さまが従えているのはそれぞれのご利益を象徴した動物だから。つまり、布袋さまのご利益は動物で象徴するものではないということ。その代わりとなっているのが大きな袋です。そこから富や幸福を授けてくれるということなのでしょう。
また、七福神の中で唯一実在の人物がモデルになっていることから、実際に持っていたとされる袋がクローズアップされているというのもあるようです。
まとめ
福の神が七柱そろった七福神。お一人だけでもじゅうぶんなご利益がいただけそうですが、やっぱり宝船に乗った全員をお祀りしたいですよね。そしてそのときは、ぜひ、神さまだけではなくて、従えている動物たちも意識してみてください。その意味を知ることで、より大きなご利益がいただけるかもしれませんよ。
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