梅雨の季節はじめじめしていて何処へ行くにも億劫ですよね。でも実は雨の日だからこそ見ることのできる景色があります。
それは苔のスポットです。苔なんて見ていて面白いのかという人もいますが、実は苔には知られざる世界があるのです。
苔に注目したスポットを巡ってみませんか?
屋久島(鹿児島)
世界遺産にも登録されている屋久島の森は「苔の森」と言われるほど、多種多様な苔を見ることができます。
日本に生息する1600種あまりの苔のうち、600種類もの苔が屋久島で生きているというのです。月に35日雨が降ると言われる屋久島は苔にとって大敵の乾燥の危機を心配することがなく、苔が生きていくのに好条件がそろっているのです。
中でも白谷雲水郷周辺には様々な苔が存在しています。ジブリの「もののけ姫」の舞台になっただけのことはあり、深い森は人を寄せ付けない雰囲気があります。そんな中、屋久島はまさに島全体が苔で覆われていて、苔好きにとっては「聖地」とも呼ばれています。場所によって表情の違う苔を見ることができるので、初めて行く人にもおすすめです。
屋久島は長時間のトレッキングのイメージがありますが、苔を見るだけなら2時間弱のトレッキングで十分楽しむことができますよ。屋久島から苔の世界にハマってしまう人が多いスポットです。
白駒池(長野)
長野の北八ヶ岳にある日本蘚苔類学会から「日本の貴重な苔の森」に選定されているほど素晴らしい苔の風景が広がっているスポットです。日本3大原生林のひとつでもあり、485種類もの貴重な苔を見ることができます。
一歩足を踏み入れれば、緑色に輝く苔の楽園が広がります。苔の森では趣きの異なった苔を見ることができるポイントが10箇所もあります。森の名前もそれぞれ違うので自分好みの苔の世界を探すのも楽しそうです。
例えば白駒の池 駐車場から一番近い森は「白駒の森」と呼ばれ、見応えのある原生林が生い茂っていたり、樹木に付く苔がたくさん生息しています。他にも「黒曜の森」と呼ばれる森は、風鈴のように垂れ下がった胞子体の珍しい苔を見ることができるんです。苔にも特徴や表情があるのは面白いですね。
カメラ好きの人にも親しまれるスポットで、種類豊富な苔の中から自分だけの「苔の世界」を切り取れるということで最高のフォトスポットになっています。苔の初心者から上級者まで楽しめる苔スポットです。
祇王寺(京都)
京都にある「祇王寺」は、竹林と楓に囲まれた、小さな草庵として人気です。嵐山駅から20分程歩くので人込みを避けて静かに過ごしたい人にはおすすめです。
看板に沿って石段を登っていくと茅葺きの門が見えて来ます。門をくぐるとお寺ではなく森かと思うほどの深い緑に覆われた世界に出会います。「平家物語」の舞台になったことでも有名なこのお寺は、元々は法然上人の門弟良鎮によって創始された”往生院”という広大な敷地を誇るお寺でした。
しかし時の経過と共に荒廃してしまったため、今はささやかな尼寺として残されています。境内には130本の楓の木があり、秋には紅葉を楽しむこともできます。雨降りの時期は苔の緑と紅葉の赤のコントラストががとても美しいです。そんなに大きな庭ではないので、庭をぐるっと周る小径は、ただ歩くだけだと5分ほどです。
しかし、苔を間近に感じながらじっくり見ていくと、その美しさに魅了されて30分は軽く超えてしまいます。お寺自体もこじんまりとして落ち着いているので、苔との会話を楽しめる場所でもあります。静かな時間を過ごしたい人にもおすすめな苔スポットです。
憾満ガ淵(栃木県)
日光東照宮の近くにある渓谷「憾満ガ淵」には、数える度に数が変わると言われていることから「化け地蔵」と呼ばれているお地蔵様がいます。そのお地蔵様には苔が無数に生えていて、それらがズラリと並ぶ様は見ごたえがあるのです。
心霊スポットと言う人もいますが、明るい時間に訪れる苔の美しさは、とても素通りなんてできません。その昔、不動明王の姿が石壁に現れたという憾満ヶ淵は、轟々と渦を巻く大谷川の風景、静かに佇む緑の森など、本当のことなのかもしれないと思わせてくれる光景です。
華やかな東照宮の観光も良いですが、こういった静かに手を合わせられる光景も風情があって素敵ですね。一体一体のお地蔵様を取り巻く苔は同じ種類だと思われますが、何故か違った印象を受けるのも不思議です。新緑の苔に覆われたお地蔵様を目当てに、最近では苔スポットとして訪れる人が増えています。
憾満ヶ淵は、日光の史跡探勝路の一部ともなっているので、その他の史跡と絡めながら、古の日光を味わうこともできる場所です。一緒に苔の魅力にハマってみてはいかがですか。
三千院(京都府)
京都の中でも北東に位置する大原にある有名な寺院「三千院」。最澄により開基されたこのお寺は、約1000年の歴史を持ち、青蓮院と妙法院とともに天台宗の三門跡寺院とされています。日頃から観光客の絶えない有名なお寺ですね。
ここは苔で覆われた中に見えるお地蔵様の姿が人気です。まるで微笑んでいるような「わらべ地蔵」がとても可愛らしく、一目見ようと訪れる人が多いのです。境内は緑が深く幻想的で、日常の疲れがリセットされるような気分になります。
苔の見どころとしては「聚碧円」と「有清円」が良いでしょう。聚碧円は緑の苔が美しく池泉式の庭園で立体感にあふれています。ここでは是縁に腰をおろして時間を忘れて苔の世界に癒されるのをおすすめします。有清円では、歩いているといたるところでお地蔵様に遭遇します。
その和やかな表情と苔の緑が、まさに癒しの空間で、時が止まったような感覚を味わうことになるでしょう。心も体もリフレッシュできるような苔スポットです。
まとめ
苔で癒されるおすすめスポットはいかがでしたか。
地味なイメージの苔ですが、意識して注目してみると、とても奥深い世界が広がるのが分かると思います。
これから迎える雨の時期に「苔デビュー」してみてはいかがでしょうか。想像以上の癒しを体感できるはずです。