
大阪府豊中市にある東光院は、別名萩の寺としても知られており、およそ1300年前から秋になると美しい萩が咲き乱れることで知られています。
こじんまりとしたお寺ながらも、緑に囲まれて静かな佇まいの中に、このお寺を賞した正岡子規の句碑も残っています。
そんな東光院は、霊石と言われているものがあったり、少し不思議なパワースポットでもあるのです。
東光院の歴史

東光院は、735年に飛鳥時代から奈良時代に活躍していた僧の行基により開山された曹洞宗のお寺です。
奈良時代には、今の大阪市北区の豊崎と呼ばれる地区に死者を捨てる場所があったのですが、それを知った行基は日本で初めて火葬をして葬ることを伝授したといわれています。
そのときに行基が自分で彫った薬師如来像を、付近に生えていた萩の花と一緒にそなえたのが、別名「萩の寺」と呼ばれる東光院の始まりなのです。
その後薬師堂が建立されましたが、1681年に相模国の霊全和尚が入寺したおりに、曹洞宗に改められました。
1800年代には、商人たちの寄進により立派になった東光院は、南の四天王寺、北の東光院と呼ばれるほど有名になっていました。
1914年になると、阪急電車敷設により、それまでの豊崎地区にあったお寺は現在の豊中市に移転することになったのです。
境内には西国七福神のひとつである毘沙門天や、徳川家康公の長女である亀姫が寄贈したとされる厄除薬師如来など、歴史的な仏像や神像が祀られています。
また正岡子規や高浜虚子などの有名な俳人や文人も、多く訪れたお寺として有名です。
東光院のご利益

東光院のご利益は、いろいろとありますが、そのひとつは室町時代の禅僧であり、神変自在の人力を現したとされる、非常にパワフルな「道了大権現(どうりょうだいごんげん)」を祀っているため、勝負運、出世開運のご利益が有名です。
この道了大権現は、受験やスポーツなどに、そして商売繁盛を願う人には力強い味方です。
また書道、舞踏などの技芸上達にもご利益があります。
このほかには、心願成就、鉄道と航空の交通安全、家内安全、身体健全、火盗厄除けなどにもご利益があります。
一方「あごなし地蔵堂」は、子供の魂が宿った千本仏地蔵がお祀りされており、ここにお参りすることで、歯や口内の病気平癒、水子供養、安産などのご利益もあります。
そして境内にある「三十三観音堂」では、その前にあるお砂を踏むことで、西国三十三ケ所と新西国三十三ケ所の観音霊場を巡礼したのと同じご利益を授かることができるのです。
東光院の霊石

東光院の境内には「常勝石」という名前の霊石が飾られています。
これは勝運毘沙門天王の御神体とされ、「仏頂尊勝陀羅尼(ぶっちょうそんしょうだらに)」とサンスクリットで刻銘されており、七世一丈禅師(しちせいちじょうぜんじ)により1849年に建立されました。
1980年には西国七福神会創立60周年を祝い、四国八十八ケ所の霊砂をここに納め、毘沙門天のご宝前に遷座開眼されたのです。
この霊石は、別名「知恵の坐禅石」とも言われており、前の円座石に座ってお祈りをすることで、合格祈願や心願成就のお参りができるようになっています。
東光院のパワースポット

この小さなお寺の東光院がパワースポットと呼ばれる理由は、ぎっしりとパワフルな内容を堪能できるお寺でもあるからです。
東光院の境内に向かうときには、まず「延命橋」というありがたい名前の橋を渡ります。
橋を渡ると東光院萩の寺の入り口あたりに「北向延命地蔵」が鎮座しておられます。
このお地蔵さんは大変珍しく、方違地蔵としても知られており、お地蔵様自体が下(南)に下がり、お参りされる方を上座(北)に据えるというものなのです。
したがってこの前でお参りすると、瞬時にして仏の位に上るとされ、大きなご利益を賜るとされています。
そして正門入口にある北向延命地蔵のとなりに「無事蛙」と呼ばれているカエルが鎮座しています。
このカエルはお寺を訪れる人を歓迎し、またお見送りをして無事を祈ってくれるとともに、ここを訪ねる人々にとって、幸せがカエルように、また旅先から無事カエルように、あるいは若ガエルように、そしてお金がカエルようになどと、縁起のよいカエルとして知られています。
お寺の門をくぐると、魯山人観音に出迎えられます。
これはいったい何なのかと思ってしまいますが、実はこれはあの北大路魯山人の制作によるものなのです。
魯山人が顧問兼料理長をしていた東京赤坂山王台の高級料亭「星岡茶寮」が、昭和10年に曽根駅前に大阪店を新設し、そのときに隣接していた萩の寺である東光院に、自らが制作した白衣観音像を奉納し、茶寮の繁栄を願ったものなのです。
そんな像を通りすぎて境内に入ると、偉大な行基ゆかりの寺であることもひとつですが、境内には厄除薬師如来、道了大権現、十一面観音、あごなし地蔵尊などが祀られています。
またお参りするだけでもありがたいご利益を授かりそうな、三十三観音堂のほかにも、立派な道了大権現像や宝船七福神像もあるのです。
これだけではなく、美しい草花や緑が豊かで、とくに秋になると3000本ものいろいろな萩の花が咲き乱れます。
このお寺をゆっくりと散歩するだけで、たくさんのご利益を授かることができそうな気持ちにさせてくれるのです。
東光院のユニークな御朱印や授与品

東光院の人気のひとつに、そのユニークなお守りや御朱印があります。
もちろん普通のお守りも販売されているのですが、アクリル製で美しい現代風のお守りが今注目を浴びています。
金銀のホログラムが施され、満月に向かっていく三日月や、境内を華麗に舞う蝶の姿が透明のアクリルに刻まれています。
持っていると、先の見通しがとてもよくなりそうなお守りです。
また御朱印も、通常の御朱印も配布されていますが、特に人気なのが立体的になった御朱印です。
季節限定でいろいろなデザインのものが出されています。
私が購入した御朱印は夏バージョンのもので、金色の切り絵のようにして作られた蝶が花に止まっている姿を御朱印にし、お花の中央にはスワロフスキーのビーズが施されています。
なんだか御朱印というよりは芸術的な作品のようで、もちろん御朱印帖には収まらないので、額に入れて飾っておいてもよいかもしれませんね。
見ているだけでも美しくて、うっとりとして幸せな気分になってしまいます。
まとめ
大阪府豊中市にある萩の寺としても有名な東光院は、小さな境内にパワースポットがたくさん詰まった宝箱のようなお寺です。散歩がてらにでもここを訪ねてみると、ご利益を授かる数々のスポットのほか、緑豊かな自然が心をゆっくりと癒してくれることでしょう。



