
日本の伝統芸能のひとつである『歌舞伎』は、今もなお人気のある芸能のひとつです。
最近では映画「国宝」の大ヒットにより、今まで歌舞伎にあまり興味がなかった人たちも、この映画のおかげで歌舞伎が気になりだしたという人も、多いようです。
そんな歌舞伎ですが、実は神仏との関係やスピリチュアル的な要素も多く含んでいることをご存じでしょうか?
歌舞伎の始まり

歌舞伎については、学生時代に習ったことを覚えていらっしゃる人も多いかと思います。
もともとは安土・桃山時代の女芸能者であった『出雲阿国(いづものおくに)』が、京都にて「歌舞伎踊り」や「ややこ踊り」と呼ばれる新しい踊りを創作し、注目されました。
出雲大社の巫女であるというふれこみの彼女は、男装をして刀を差し、派手な衣装でユニークな踊りを見せ、大流行したのです。
これが江戸時代になると、歌舞伎として形成されていったのです。
もともとは女性が踊っていたので、歌舞伎という名前も「歌舞妓」という名称を使っていたようです。
ちなみに歌舞伎の語源は「かぶく(傾く)」という古語で、型破りであったり、自由に生きるさまのことを意味していました。
そして歌舞伎は魂の踊りであり、感情をぶつけて演じる、まさにスピリチュアルな芸のひとつなのです。
しかしこの出雲阿国の踊りの起源を探ると、実は「神楽」や「猿楽」という、神様に奉納するための踊りの存在があるのです。
その歴史の上にこの歌舞伎踊りがあり、そして現在の歌舞伎の存在があるのです。
歌舞伎の演目に見るスピリチュアルティ

歌舞伎には数々の有名な演目があります。
その中の多くは亡霊や幽霊、妖怪のような登場人物を扱っています。
たとえば『東海道四谷怪談』では、夫・伊右衛門に裏切られて毒殺されたお岩という女性の怨念が幽霊となって、夫・伊右衛門を呪い復讐をするというもの。
また『義経千本桜』ではキツネの精が登場し、『法界坊』では僧侶でありながら金と女を追いかけて罪を重ねて、あげくの果てに自分で墓穴を掘って死ぬという話で、その僧侶の魂が、死者の世界と現生を行き来する様が描かれています。
『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』は、女形が演じる最高峰と言われている歌舞伎ですが、有名な「安珍・清姫伝説」のその後を描いています。
桜の咲く道成寺で、新しく設置された鐘の供養に現れたのが清姫の亡霊である白拍子(歌舞をする遊女)の花子。
しかし彼女の恋の執着心のために彼女は大蛇となって、踊りながら鐘に巻き付くという物語なのです。
このようによくよく歌舞伎の内容に目を向けると、まさにスピリチュアルな世界が描かれているものが多く、輪廻転生や因果応報、霊や魂との交信などが取り上げられているのです。
歌舞伎と神仏の関係

歌舞伎の演目を見てもわかるように、死後の世界と現世を描いたものが多く、ある意味歌舞伎の舞台そのものが、神仏の世界と現世の間にある結界の役割を果たしています。
そういう意味では、舞台の開幕、閉幕もあちらの世界とこちらの世界の扉を意味しています。
そして舞台装置も回り舞台は人生の循環、花道はこの世、あの世と霊的な世界をつなぐ道を表すと言われています。
また歌舞伎には、黒い衣装を着た「黒子」と呼ばれるサポート役の人たちがいますが、彼らは見えない存在として扱われています。
これも神仏や霊界の見えない世界からのサポートを得ていることを物語っているのです。
歌舞伎が与えるスピリチュアル的効果

歌舞伎は単に演目を演じているのではなく、天下泰平の祈りであったり、邪気払いなどの霊的な意味を持つものや、鎮魂の儀式など、神仏との繋がりを表す演出も多く用いられています。
また歌舞伎には独特の発声やポーズがありますね。
この発声は演者が魂をこめて独特の技法で、気を吐くことによって生まれる音であり、その波動は見ている人の心を揺さぶり、訴えかけることによって感動を与えてくれるのです。
また演者が舞台の上で切る「見得(みえ)」は、一種の決めポーズなのですが、これを行うときには非常にパワフルなエネルギーが放出されているのです。
その動作によって見ている人にもその気が伝わり、心を揺さぶられることになるのです。
また「六歩を踏む」という動作もありますが、大げさに飛びながら舞台上を前に進むという技法により、単に見せ場を作っているだけではなく、その場のエネルギーを増幅、循環させるという素晴らしい技なのです。
ほかにも演者の後ろで奏でる太鼓、三味線、笛、謡のいずれもが魂の音であり、その場のエネルギーを振動させ、観客の魂にも響くしかけとなっているのです。
歌舞伎を見て運を開く

単に歌舞伎を楽しむだけでもよいのですが、見ていると自然に自分の魂も解放され、涙が流れてくるのではないでしょうか?
そして演者の演技や演奏のひとつひとつが見る人の心や魂に訴えかけ、波動を投げかけてくれることで、心から癒されたり新しい気づきを与えられたりするのです。
これによって、観劇後の気分がとてもすっきりとして、すがすがしさを感じてしまうほどになっているはずです。
また歌舞伎に使われている色、特に顔に塗る隈取には赤、黒、金、白があり、それぞれが陰陽のエネルギーを表しています。
赤は生命や情熱、黒は強さ、邪気、金は神聖、そして白は純粋を表しており、これらを見ることによって、観客にとっても邪気払いになったり、よい波動を受けることによって、運気アップのきっかけをもらえることにもなるのです。
まとめ
日本の伝統芸能である歌舞伎は、見ていて楽しい演劇であるだけでなく、非常にスピリチュアル性の濃い舞台です。演者のひとつひとつの動きやセリフにも魂がこもった気が込められており、観客にも癒しや魂の洗濯の時間となっているのです。



