誰もが憧れる楽園の地である「ハワイ」は、自然を崇拝する独自の文化や言い伝えが多く残されています。
そんなハワイには、日常的に地元の人々が「お守り」として身につけたり、大切にして、子孫に伝えているものがあります。
自然にはすべて神々が宿っていると信じ、動植物を素材とする様々な魔除けや幸運のアイテムがある中で、ハワイの人々が最も愛する「お守り」はどのようなものなのでしょうか?
目次
レイにも用いられる『ククイナッツ』
『ククイナッツ』は、トウダイグサ科の樹木で、東南アジアが原産ですが、太平洋諸島や熱帯などに広く生息しています。
ハワイに行ったことがある人なら、男性がよく艶のある黒い木の実で出来たレイを首からかけているのを見たことがあるかと思いますが、それが『ククイナッツ』なのです。
『ククイナッツ』の葉の表面には、細かな毛が密生しており、この毛は太陽の光を受けると輝き、そのせいで森の中でも『ククイナッツ』の木は明るく目立って見えるという、不思議な特徴もあります。
『ククイナッツ』はそのオイルで火を灯すことができるので、別名を「キャンドルナッツ」とも呼ばれています。
『ククイナッツ』は、ハワイの人々にとっては昔から大変重要な植物のひとつであり、神々の信仰にも深くかかわってきました。
この木の茎や樹皮、葉、花、根茎、材は薬用としても用いられ、樹皮は染色剤にもなりました。
またその木でカヌーを作り、実の中の白い「仁」と呼ばれる部分にあるオイルで火を灯したり、肌や髪を乾燥から守る保湿剤としても用いられてきました。
したがって『ククイナッツ』は、古代ハワイの人々が、カヌーで漁や旅に出るときには、必ず持って行く木だったのです。
そんな万能の『ククイナッツ』ですが、古代ハワイの人々は『ククイナッツオイル』を燃やすことで、その炎が魔除けとなり、また出来た煤を用いて、神様への祈りを込めて入れ墨を入れるのにも用いてきました。
ハワイの創世記である「クムリポ」にも『ククイナッツ』は「人間を守ってくれる木である」と示されています。
その殻付きの実は、古代から現在に至るまでレイとしても用いられ、魔除けとして大切にされてきました。
日本でも『ククイナッツ』のストラップなどが比較的簡単に手に入るので、「お守り」にしてみたいアイテムのひとつです。
神様の化身である『ホヌ』
ウミガメのことをハワイ語では『ホヌ』と呼んでいます。
ハワイではこの『ホヌ』のことを、古代から「神の使いであり、幸運を運んでくる海の守り神」として神聖な生き物とされています。
ハワイには「アウマクア」と呼ばれる生き物の化身である守護神が、何体も存在しています。
ハワイの人々は、自分や家族の先祖が生き物の化身として、守護してくれていると考えているのです。
そのたくさんある生き物の「アウマクア」のひとつが『ホヌ』なのです。
ハワイの海で泳いでいるとき、もし『ホヌ』に出会うことができたなら、ハワイの人々は、まもなく自分や家族に幸運が訪れると考えます。
昔から『ホヌ』は、ハワイの神話にもよく登場し、今ではアクセサリーのモチーフとしてもよく用いられています。
幸運の「お守り」として、『ホヌ』のアイテムをぜひ探してみてください。
海洋民族の命、『フィッシュフック』のボーンネックレス
古代ハワイの漁師たちは、鯨の骨、サメの歯、アワビの貝殻などに彫刻をほどこして、釣り針『フィッシュフック』の形をしたペンダントを身につけていました。
これは「ボーンネックレス」と呼ばれ、海に生きるハワイの男性にとっては強さの象徴でもあり、「お守り」でもあったのです。
その昔、ハワイを含むポリネシア人たちは、サメの歯や鯨の骨のみならず、なんと高貴な人や勇者の骨を用いて『フィッシュフック』を作り、「ボーンネックレス」として身につけていたこともあったのです。
これらの「ボーンネックレス」は、最初は漁師が自分で釣った大きな魚の骨で作って身に付けることで、またこれくらい大きな魚を釣り上げられるようにと願ったことが始まりなのです。
このように『フィッシュフック』の「ボーンネックレス」は、もともとは海の安全、生活の安定、家族の守護、繁栄と開運の効果があるという考えで、身につけていました。
そこから、現在では「夢や幸運を釣り上げる」「守護」の「お守り」として広まっていきました。
また『フィッシュフック』は、それを身につけた人の身体の一部となり、スピリットにもなると信じられています。
このネックレスを身につけるときは、必ずフックの先を自分の心臓のほうに向けてください。
こうすることで、万一海難事故に合った場合でも、このフックが心臓を守り、あなたの命を救ってくれるのです。
