桃は柔らかくて香りもよく丸くてかわいいフォルム、そしてカリウムやビタミンCも豊富な果物というイメージですが、そんなイメージからは想像つかないほど強力な魔除けや厄除けのパワーがあるんです!
日本では桃の節句ひな祭りと桃も実は深い関係があったり、日本神話で桃の神様が誕生した魔除け伝説、桃太郎伝説や桃のパワースポットなど桃の魔除けにまつわる話をご紹介します。
目次
桃は魔除け・厄除けのご利益
桃は魔除けの果物
桃は2500年程前から中国で栽培されていて、古来より邪悪な物から嫌われる、厄を跳ね返して災いから守ると言われています。
桃は魔除けの力があると伝えられています。伝説の品種と言われる『蟠桃(ばんとう)』は、一般的に出回っている品種とは違って、平べったい形で香りが強い品種です。『不老不死』のご利益があると言われています。
『西遊記』では孫悟空が管理を任された果樹園で、そのあまりのおいしさに西王母の誕生会に用意されたものをすべて食べてしまったという話があるほどです。
日本でも食べることができますが、時期も限られていて、1個1000円~1500円位と高価です。
桃の木まつわる魔除け
中国では仙木と呼ばれ、邪気を払う力があると言われています。大きな木の上に番人がいて、悪い鬼を取り締まっているという話もあります。鬼門の方角に植えると、魔除けのご利益があります。
日本でおなじみひな祭りのひな壇に桃の木をなぜ飾るのか?
それは『邪気を払うご利益』『長寿のご利益』や桃が木にたくさん実ることから、『子宝に恵まれる』という大変縁起が良いの意味があるので、女の子の健やかな成長を願って飾る風習があります。
桃の種にまつわる魔除け
桃の種は核の中の白い部分「トウジン」は、生薬として漢方にも配合され婦人病を治す効果があったり、血液の流れが滞るのを防いでくれたり、むくみや咳止めの効果もあり、体のなかの悪いものを取り除く作用もあります。
桃の種も部屋に置いておくと、盛り塩のような効果で魔除けをしてくれると言われています。桃の種を天日干しして、部屋に置いてお置くだけなので簡単にできますね。
盛り塩と違って、種は邪気を吸ったらそのまましっかり閉じ込めてくれるのが嬉しところ。邪気を吸うと色が変わると言われていますので、取り替える目安にもなります。
桃の木や果実だけでなく、種まで魔除けになるなんて最強の魔除けフルーツです!
桃の神様が誕生した日本神話について
オオカムヅミ命の魔除け伝説
「オオカムヅミ」というのは、古事記の日本神話「黄泉の国」に登場する桃の実であり神様でもあります。桃が神様なんて不思議に思うかもしれませんが、これからお伝えする魔除け伝説でご理解いただけるでしょう。
女性にとってはちょっと切ないお話です。
夫イザナギノミコト、妻イザナミノミコト二人は多くの国を作り神を生み出していきました。最後に火の神を生み出そうとしたときイザナミは大やけどを負って亡くなってしまいます。
イザナギは亡くなってしまったイザナミをどうしても忘れられず、黄泉の国にイザナミを探しに訪ねていきます。しかし黄泉の国の食べ物を食べて変わり果てたイザナミを見ると、あまりの醜さにショックを受け、帰ろうとします。イザナミは約束を破り自分に恥をかかせたイザナギを怒り雷神たちと黄泉軍にイザナギの後を追わせます。
必死で逃げるイザナギは黄泉の国の出口『黄泉比良坂』にやっとたどり着きます。そこにあった桃の実を三つ取って、追ってきた雷神達に投げつけます。するとその実の魔力により雷神達はさっさと逃げて行ってしまいます。
その功績に対しイザナギは桃に「私を助けてくれたように、人々が苦しんだりするときは助けていくように」と言って、「オオカムヅミ」という名を桃に授けたという事です。
意富加牟豆美命(オオカムヅミノミコト)、または大いなる神という意味で「大神実命」とも表記されます。意富加牟豆美命(オオカムヅミノミコト)は川越八幡宮のご祭神として祀られています。
桃太郎にまつわる魔除け伝説
鬼ヶ島で鬼退治をする昔話は、誕生にも色々な説があります。お婆さんが川で洗濯をしていた時に流れてきた桃の中から誕生したというのはよく知られている昔話ですね。
別の説では不老長寿の食べ物と言われる桃を食べ、お爺さんお婆さんが若返り授かったという説もあります。そんなパワーを受けた桃太郎は鬼門にあたる鬼ヶ島で悪さをしている鬼を退治にいきます。
鬼退治に行くことになった際、家来になぜサル、鳥、犬だったのかは、ちょっと不思議なのですが、それは陰陽五行説に深い関係があります。天地万物のすべては「木・火・土・金・水」 に分けられていて、十二支や果実などもそれぞれにあてはめられています。
鬼が出入りする鬼門は火行に当たり、鬼門に対抗できる方位となる裏鬼門は反対側の金行となり、象徴果実は桃となります。
鬼門の鬼を退治するために裏鬼門から時計回りに回ると十二支の「さる」「とり」「いぬ」と順番に会っていくことになります。そして家来として連れて行き、鬼ヶ島で鬼を無事退治し宝を持って帰るという風水にも深い関係があるお話です。
桃太郎が鬼退治をできたのが妙に納得できます。
桃のパワースポット
晴明神社
京都市上京区にある「魔除け」「厄除け」の神社です。平安時代中期の天文学者、陰陽師の始祖といわれる安倍晴明公をお祀した神社です。
魔除け・厄除けの果物といわれる桃の石像があります。つるつるな桃の像を撫でることで、『まがごと・罪・穢れ』などを落とし清々しい気持ちになることができるといわれていますよ。
鳥居の額に金色に輝く社紋「晴明桔梗」が掲げられているのが珍しく特徴的です。鳥居をくぐると旧・一條戻橋があります。元の橋の一部を使い「一條戻橋」を境内に再現したものです。
晴明公が念力で湧き出させたといわれる井戸、「晴明井」があり、病気平癒のご利益があるとされています。
川越八幡宮
埼玉県川越市に鎮座する神社です。御祭神「意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)が「厄除桃」として御神木の記念植樹とともに祭られています。
この「厄除桃」は80㎝程の石像で、撫でることで厄除けのご利益があります。
更に本殿でお参りをした後、石像の周りの干支石に触ってから撫でるとご利益倍増です!
川越八幡宮といえば、厄落としの「厄割り桃」が有名です。お祓いをした玉を厄割石めがけて投げ、厄を落とすというものです。いずれも古事記のイザナミノミコトが鬼を退散させたという逸話に因んだものです。
今上天皇御生誕を記念して植えられた夫婦銀杏の神木があり、縁結びに御利益があると言われています。
境内に民部稲荷神社を持ち、足腰を強くするという御利益もあります。「ぐち聞きさま」は聖徳太子の像で、人に言えないことや心のモヤモヤを話してスッキリさせる効果があったり、眼の形の像もあり眼の病気の予防にご利益ありと、境内にはパワースポットがいっぱいあります。
まとめ
魔除けには中国の古事記に記された「黄泉の国」の話など隠れた秘密があります。厄を落とすご利益があるスポットもありますので、機会があれば訪れて厄を落としスッキリとした気持ちになりたいですね。
夏の果物の代表で、いつもはただおいしい果物として頂いてますが、神聖な果物ということを思いながら食することで、何か力が湧いてきて新鮮な気持ちになります。