人気のアニメ「ワンピース」の中に登場するポーネグリフについてはご存知の方も多いことでしょう。
ポーネグリフは歴史について書かれた石碑ですが、ハワイにもこの「ワンピース」に登場するような、不思議な絵文字のペトログリフが存在します。そのペトログリフに秘められた意味とは?
ペトログリフの特徴
世界中に多く存在する象形文字―ペトログリフは、岩や石、洞窟の壁などに描かれているものが多いかと思います。
ハワイのペトログリフは、火山から流れ出た溶岩の上に描かれているものがほとんどです。溶岩が流れてきて塊になったばかりのものは、やわらかくて絵を描くのに最適だったのです。
ハワイ語では「キイポハク」と呼ばれているこのペトログリフは、絵や文字を持っていなかったハワイ古代の文化の中で生まれた伝達の手段のひとつであり、神事や風習を未来に伝えることができた大切な方法だったのです。
ペトログリフの問題
これら溶岩以外にも、ハワイではかつて砂の上に寺院などの建物を建てるときの図を描いたりしていましたが、砂の上に描かれたものは、雨風などでもすぐに消えてしまいます。
また溶岩の上に描かれていたペトログリフも、その上に再び溶岩が流れ落ちたりすることを繰り返していたため、現在までに残っている古代ハワイのペトログリフの数はそう多くはないのです。また近年ではリゾート開発のために土地が造成されたため、多くのペトログリフは残念ながら消え去ってしまいました。
しかし、ハワイ島のコハラ地区にあるプアコ・ペトログリフ遺跡保護地区では、これら古代の遺産を千点あまり大切に保存しています。この地区のすぐそばには高級リゾートもあるので、バケーションを楽しむ人たちの観光スポットにもなっています。このほかオアフ島やカウアイ島にもペトログリフはいくつか存在しています。
ペトログリフの種類
ハワイのペトログリフは、亀、サメ、波、火山の噴火、気候など、自然に関するものが主流です。
ほかにも人の形をしたものは家系図を表したり、子供の誕生を祝って描かれたり、漁に使われたであろうカヌーや狩猟の様子を描いたものもあります。また円が何重にも描かれてへその緒を表しているらしいペトログリフも存在しています。あるいはハワイの神事にまつわるようなペトログリフも残されています。
しかしながら、ハワイのペトログリフに関しては非常に謎が多く、それぞれの意味は、今なお完全に解明されてはいませんが、ハワイ古代の神秘を今に伝えるメッセージであることは確かです。
ペトログリフの変遷
特にハワイ島のプアコ・ペトログリフ遺跡付近で発見されたものは、ハワイの神々や古代ハワイの人々が崇拝していた自然神である太陽や雲なども多く発見されています。
これらペトログリフが神事に深くかかわっていたであろうことを意味しています。そしてその初期にはハワイの島々に広範囲にわたって描かれていたという研究結果も出ています。やがてこれらのペトログリフは単に絵文字としてではなく、神々と繋がるためのパワースポットに描かれた精巧なアートに変化していったようです。
ところが1850年前後にキャプテン・クックや西洋の人々がハワイを訪れるようになった頃から、西洋の文化に押し出されるように、残念ながらこのペトログリフはハワイの文化から徐々に姿を消していったと言われています。
ペトログリフの観察
これらのペトログリフを観察する最適な時間があります。
それは夜明け、もしくは日暮れです。この時間帯に太陽の光(地元の人はこれを太陽からのエンジェルと呼びます)が差す位置が、ペトログリフを最も見やすく照らしてくれるのだそうです。ペトログリフを観察するときは触れたりせずに、ハワイの大切な文化を敬う気持ちを持って見学しましょう。
また遺跡にはペトログリフのレプリカも飾られており、これらには自由に触れたり記念に拓本を採ることも可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「ワンピース」に登場するポーネグリフと同じくらい、ハワイのペトログリフも神秘的で、古代からの何らかのメッセージが伝わってくるような気がしてしまいます。
ハワイの人々のかつての習慣などもこのペトログリフから読み説くことができ、ロマンを感じさせてくれる素晴らしい文化です。



