19番札所の立江寺(たつえじ)は、18番札所の恩山寺から4キロほど離れた徳島県小松島市立江町にあります。立江寺は、四国に4箇所ある関所のうちの一つと言われていて(他は香川県にある66番札所雲辺寺、愛媛県にある65番札所三角寺、高知県にある27番札所神峯寺)、罪人や邪心を持った人はお寺の中には入れないと言われています。
なお、立江寺は1番札所から巡った際に訪れる最初の関所になり、信仰の強さを試されるお寺だそうです。立江寺の魅力や御朱印などを紹介していきましょう。
立江寺の歴史
聖武天皇の勅願寺(天皇の願いによって国家を守るため、皇室繁栄を祈願して指定されたお寺)になっている格式のあるお寺です。
815年:元々安置されていた5cmほどのご本尊は、弘法大師が当寺を訪れてご本尊を見た時に、あまりに小さなご本尊なので、後世になって失われるおそれがあることから、一刀三礼(ひと彫りごとに三度礼拝すること)により180cmほどの大像を彫り、その像の中に収められました。その時「立江寺」と号しました。
1575年:恩山寺と同じく「天正の兵火」で立江寺も壊滅的な打撃を受けましたが、本尊だけは奇跡的に助かり、後に阿波藩の蜂須賀家の助けを受けて現在の地に再建されました。
1974年:火災が起こりましたが、その時もご本尊は助かっています。
立江寺とは

- 山号: 橋池山(きょうちざん)
- 寺号: 立江寺(たつえじ)
- 院号: 摩尼院(まにいん)
- 宗派: 高野山真言宗
- 本尊: 延命地蔵菩薩
本堂の前にある立江川に架かる真っ赤な橋がとても印象的です。この橋は白鷺橋(しらさぎばし)と呼ばれており、この橋を白鷺(徳島県の県指定の鳥)が留まっている時に渡ると仏罰を受けるという言い伝えがあります。
ご本尊とご利益
ご本尊は「延命地蔵菩薩」です。延命地蔵とは新しく生まれてきた子供を守り、その寿命を延ばすと言われています。また、光明皇后の安産を祈願して建立されたこともあり、安産祈願をされる方が多く参拝されます。
御朱印
立江寺の入口の山門をくぐった先の右側に納経所はあります。立江寺は四国4県の総関所ということもあり、いつも賑やかな雰囲気です。
ツアーでまわった時の御朱印はこちら
中央のご宝印は蓮台の上に地蔵菩薩の種字が「カ」となっております。地蔵菩薩の梵字「カ」に地蔵尊の墨書き。右上の朱印は「四国第十九番」、左下は立江寺の印と墨書きです。
再度参拝時は、入ってキョロキョロしていると、納経ですか?と話しかけてくださり、何人か待ちでしたが直ぐに対応してくださいました。色々なパンフレットも充実していて、パンフレットを見ていてもわざわざ説明してくださり丁寧な対応が印象的でした。納経帳を乾かすドライヤーまで用意されていて至れり尽せりでした。
立江寺の見どころ
大師堂
本堂をお参りした後に欠かせない、弘法大師が祀られている大師堂。元旦から1月10日までは、大師像がご開帳されて、目の前で参拝できます。
黒髪堂
少し怖い話になりますが・・・。現在の島根県浜田市にお京という娘さんがいたそうですが、16歳の時に大阪の芸奴さんとして売られてしまったのです。その後、お京は要助という人を好きになり、結婚するのですが、お京は他に好きになった人ができてしまいました。それは、鍛冶屋長蔵という人で、二人で会っていたところを要助に見つかってしまいました。
お京はなんと要助を殺害してしまい、長蔵と一緒に讃岐丸亀(香川県丸亀市)まで逃げてきました。その地で二人は心中を決意しましたが、結局は死にきれず、四国巡礼の果てにこの立江寺に辿り着きました。そこで地蔵尊を拝もうとすると、急にお京の髪の毛が逆立ち、鐘の緒に巻きついてしまい取れなくなってしまったのです。
その姿を見てうろたえた長蔵は、住職さんを呼びました。住職さんは罪の次第を問いただし、お京も懺悔したところ、するすると鐘の緒から髪がほどけますが、頭皮ごと剥がれてしまいました。その後、二人は改心して田中山(立江寺より北へ500m)に庵を作り、一心に地蔵尊を念じて生涯を終えました。
この話が書かれている石碑です。
実際に黒髪堂の中にある鐘の緒を見てみると、長い髪の毛が鐘の緒に巻きついているのが分かりましたが、それ以上は怖くて見ることができませんでした。立江寺を訪れた方は、勇気を出して見てみてください。
子授地蔵尊
本尊は、光明皇后の安産を祈願して行基が彫ったという延命地蔵菩薩です。「子安の地蔵尊」と呼ばれ、今も安産祈願の寺のシンボルとして親しまれています。筆者は、子供の頃にこの地蔵さんの頭のてっぺんに水がかかるまで帰らないと決め、お寺に来るたびに水をかけていましたが、地蔵さんの頭は地面から2mくらいのところにあったので、かかるまでずっと水をまき散らしていました。他のお遍路さんにはかなりご迷惑をかけていたことを思い出しました。それほど思い入れのあるお地蔵さんです。
奥ノ院
立江寺から少し西にある20番札所の鶴林寺と同じ勝浦郡勝浦町にある星谷寺(しょうこくじ)が奥ノ院になります。別名、「星の岩屋」と言われているそうで、御朱印は鶴林寺で頂けます。
弘法大師は、人々に災いを起こしていた悪星を法力で地上に下ろしてこの岩屋に閉じ込めたところ、悪星が石と化したため、この石を祀ったと言われています。境内には、このような伝説がある岩屋の中からみる「裏見の滝(不動の滝)」があり、その外側には不動明王が刻まれています。
立江寺の年間行事の見どころとしては、2月と7月に祭り(初会式と夏会式)があり、2月の初会式は大植木市が3日間開催されます。立江寺前の道路には植木が売られている他、金魚すくいや綿菓子等が売られている屋台もたくさん出店されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
立江寺の山門前にある酒井軒は、明治時代から続く老舗の和菓子店です。ここの名物は「たつえ餅」で、筆者の父が大好きでよく買っているので懐かしかったです。もち米に古代米の黒米を使っているので紫色をしています。ふっくらしていてとても柔らかく、おいしいので是非参拝の際のお土産に買ってみてください。
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