
四国31番札所の竹林寺(ちくりんじ)は、今から1200年ほど前、東大寺建設で高名な聖武天皇(在位724〜49)が、中国・五台山に登り、文殊菩薩に拝した夢を見たそうです。
夢見をきっかけに天皇は僧行基に五台山に似た山容を探すように指示、命を受けた行基はこの地こそが天皇の霊夢にふさわしいと確信し、本堂を建てたのがはじまりです。大同年間には弘法大師が同地で修行。
「よさこい節」の舞台としても有名な竹林寺の魅力をご紹介していきます。
【竹林寺】境内図

かの有名な「よさこい節」の舞台

「土佐の高知の播磨屋橋で坊さんかんざし買うを見た…」というフレーズでおなじみの「よさこい節」。ここでの「坊さん」とは、竹林寺の脇坊・南坊に住む純信のことであるとされています。

むかしむかし、おうまという娘と純信の兄弟子である慶全は、恋仲の関係にありました。しかし、おうまの心はいつしか純信へ。慶全はおうまの心を引き留めるため、かんざしを贈ります。それを知った純信は怒り、慶全を追放。純信とおうまは逢瀬を続けます。これを恨んだ慶全、「かんざしを買ったのは純信だ」と嘘の噂を流しました。
こちらの噂が歌詞として残り、高知の代表的民謡として語り継がれることになりました。
竹林寺のご利益

竹林寺のご本尊は文殊菩薩像です。「菩薩」とはそもそも、悟りに至るために精進する修行者を表すもの、その徳の高さから尊敬の対象となり、仏さまとして信仰を集めるまでになったのです。
菩薩は人々を救うためさまざまな手法を取りますが、なかでも「文殊菩薩」は人々に智慧を与えることで悟りに向かうよう働きかけます。
また獅子の背の蓮華座に座り、右手に宝剣、左手には経典を載せた青蓮華を持っているのが、その出で立ちの特徴です。
智慧を象徴する仏として有名なこちらの文殊菩薩。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざもここから。合格祈願や学力向上などのご利益があるとされています。
竹林寺の御朱印の特徴

落ち着いた佇まいで、訪れた人々の心を和やかにしてくれる竹林寺。御朱印は境内の納経所でいただくことができます。まずご本尊にご挨拶するのをお忘れなく。
竹林寺の御朱印は文殊菩薩像の梵字、竹林寺の墨書きがメインになります。書いてくださる方にもよりますが、その筆跡はシンプルながらも力強く、字をみるだけでもパワーを感じることができます。
また平成27年12月末ごろより新作の御朱印帳が配布されています。竹林寺の名所である庭園をモチーフとして西陣織のオリジナル御朱印帳。とても美しい模様ですので、訪れた方は記念にこちらも購入してみてはいかがでしょうか。
立ち止まり、振り返り見捨てずに導いてくださるありがたいお大師様の『見返り大師さま』のバッチです。

竹林寺の散華を購入しました。

左下の文殊菩薩や左上は善財童子など見どころ盛りだくさんに飾られて眺めているだけで癒されます。
竹林寺の見どころ
文殊菩薩像

たくさんの見どころがある竹林寺。ですが一番の見どころはやはり、ご本尊である「文殊菩薩像」です。
行基自ら手を施したこちらの菩薩像は国の重要文化財にも指定されており、秘仏であることから、50年に一度の開扉となっています。像そのものを拝むことはめったにないことではありますが、それでも、感じるものはあるはずです。
五重塔

また竹林寺には、高知県内唯一の五重塔も建立されています。
一言地蔵
鎌倉時代初期の様式をした塔の前には「一言地蔵」がそびえたっています。
千体地蔵
ほかにも千体地蔵をはじめとしたさまざまな地蔵が竹林寺内にはたくさん。バラエティに富んだお顔を拝見するのも感慨深いですよ。
大師堂
大師堂の五鈷杵は、無限大に8の字を書いて触ると効果倍増?!と言われているそうです。
善財童子

こちらの善財童子は、平成26年に文殊菩薩のご開帳を記念して建てられました。善財童子は、文殊菩薩の指南により、53人の善知識を訪ね歩いて悟りの世界に至ります。自分以外の全てが師であると、道を求めて行けば世界が開けるということを教えてくれる善財童子像をなでで、ご利益を授かりましょう。
県立牧野植物園

門前横には高知が生んだ世界的植物学者、牧野富太郎博士の記念館、県立牧野植物園が併設されており、今なお信仰や文化の中心地として健在しています。
江戸時代には「南海第一道場」という学僧、名僧の集まる学山として、文化、宗教の中心となりました。
まとめ
ご本尊である文殊菩薩像のみならず、県内唯一の五重塔、庭園をモチーフにした御朱印帳など、見どころがいっぱいの竹林寺。
文殊菩薩像をご本尊としているのは、八十八か所のなかで竹林寺が唯一。
その恩恵を、浴びるほど受けることができるでしょう。お遍路さんでない人にもぜひおススメしたい寺院です。
ぜひ、足を運んでみてください。
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