
京都の伏見稲荷大社といえば、年間数十万人の観光客が訪れる、京都でも屈指の人気スポットです。その中でもテレビや雑誌で紹介されれば一際目を惹く「千本鳥居」の幻想的な光景を見てみたいという人も多いでしょう。
伏見稲荷大社の千本鳥居は、訪れる度に景色が変わると言われるほど魅力や見どころが満載なのです。また千本鳥居をくぐった先にあるパワースポットも注目です。幻想的な千本鳥居の朱の世界を訪れてみませんか。
目次
京都伏見稲荷とは

千本鳥居で有名な伏見稲荷大社は、全国に約3万社はあるといわれている「稲荷神社」の総本社です。お稲荷さんの愛称で親しまれている稲荷神社は、神様の使いとして狐がお祀りされていることでも知られていますよね。
伏見稲荷大社の創建は816年となっているので、1200年以上の歴史がある神社です。伏見稲荷大社がある稲荷山全体がご神体となっているので、山そのものがパワースポットだといわれています。
・宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)
・佐田彦大神(さたひこのおおかみ)
・大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
・田中大神(たなかのおおかみ)
・四大神(しのおおかみ)
という名立たる神さまがお祀りされています。神様の数が多いので、ご利益の数も多いんですよ。
基本的に稲荷神社は「稲」という文字が入ることからも分かる通り、五穀豊穣のご利益がある神社です。
特に日本では先祖代々、稲作が主流で米を主食としていますよね。ですから、毎回、食事にありつけるのはお稲荷様のおかげだと、感謝の気持ちを表しましょう。その他にも、商売繁盛、家内安全、学問成就、心願達成など多くのご利益があると言われているのが、伏見稲荷大社なのです。
伏見稲荷大社には千本鳥居を始め、恩恵をいただくことができる摂末社、そして願いが叶う度合いが分かる「おもかる石」など、外国人観光客にも人気の観光スポットです。
なぜ千本鳥居になったのか

伏見稲荷大社といえば千本鳥居がセットになっていますが、不思議に感じたことはありませんか。神社に鳥居があるのは一般的ですが、伏見稲荷大社には何故、こんなにも鳥居があるのでしょうか。
伏見稲荷大社にだけこんなにも鳥居が集まって、千本鳥居になったのには理由があります。まずこの場所に鳥居が建てられたキッカケから見ていきましょう。
伏見稲荷大社の千本鳥居がある場所は、まさにご神体である稲荷山の入口にあたります。稲荷山は神降臨の地ともいわれる神聖な場所です。人間の世界から神様のいる世界へと繋がる境界を現すものとして多くの鳥居が建てられました。これらは江戸時代から明治時代にかけて建てられたと伝えられています。
その後、お稲荷さんへ参拝する人が増え、伏見稲荷大社に参拝する人が増えました。お稲荷さんは情が厚く、人間の願い事を叶える為に多くのパワーを使ってくれる神様です。しかしせっかく願いを叶えても、人間はそれっきり訪れなくなる場合が多くお稲荷様は大変お怒りになったそうです。
そこで、願いが叶ったらそのお礼に鳥居を奉納するという習わしができました。また、鳥居を通るのと「願いが通る」という語呂合わせから、縁起が良いものとして考えられました。奉納する鳥居にもちょっとしたルールがあって、最初に奉納する鳥居は小さいものから奉納し、願いが叶う度に鳥居を大きくして奉納するのだそうです。
この風習は日本全国に広まり、お稲荷さんの中でも総本社となる伏見稲荷大社への鳥居の奉納が増えたことから、どんどん鳥居が増え、現在の規模になったといわれています。現在では千本鳥居どころか、一万本以上の鳥居が奉納されていると言われています。その数は今でも増え続けているそうです。
千本鳥居のご利益

伏見稲荷大社の千本鳥居がある辺りは、神の降臨の地である稲荷山の入口にあたります。神様の元へ向かうには必ずこの千本鳥居を通らなければいけません。
千本鳥居にはこれから神聖な場所に向かう為に心身ともに穢れを浄化するご利益があります。これから神様に会いにいくのですから、身も心もクリアな状態で行くべきですよね。
人間の世界でも同じです。大切な人に会うのに、お風呂に入らない人、髪を整えない人はいませんよね。それと同じように神様の前に出る前に、見えない穢れを落としてもらうのです。
それを通り抜けることで実現しているのが鳥居の役割なのです。鳥居の朱い色は「魔除け」「厄除け」の意味もあるので、そういった面で考えても浄化作用は大きいですね。
伏見稲荷大社の千本鳥居には、更に嬉しいご利益があります。ここにある千本鳥居は奉納した人が「願いを託して」建てたものではありません。願いが叶ったことで「叶えてくれた御礼」として鳥居を建てています。
ですから、ここにある千本鳥居には願いを叶えた人の感謝の気持ちや、願いを叶えたという自信からくるパワーがあるのです。そういった場所にある鳥居をくぐることで、秘めている願いが叶う可能性がググッと上がります。
また、願いが叶うようにと念じながら伏見稲荷大社の千本鳥居をくぐると、願いが叶いやすいとも言われています。
千本鳥居の見どころ

伏見稲荷大社の見どころといえば、何と言っても朱い鳥居が連なる参道ですね。この千本鳥居の見どころは、時間帯を変えることで様々な表情を楽しめることです。ほぼ均等の感覚で並ぶ千本鳥居の朱は、見ていると本当に神秘的です。その中でも特におすすめの時間帯は早朝の参拝ですね。
伏見稲荷大社は人気の観光スポットですから、平日でも日中は観光客でごった返します。それが早朝に参拝することで、ゼロにはなりませんが静かな雰囲気に包まれます。
そして早朝をおすすめする最大の見どころは、朝日とのコラボレーションです。空が見えないくらいに覆いかぶさっている千本鳥居の隙間から朝日が差し込む様は、神降臨の光景のようです。美しく神々しい光景を目の当たりにできますよ。
また、伏見稲荷大社の千本鳥居は、行きと帰りで風景が変わると言われています。行きは幻想的な朱い世界、帰りは鳥居の裏にかかれている奉納者の文字などが見えるので、違った意味で異世界に入り込んだような感覚が味わえます。更に、勇気のある人におすすめしたいのが、夜の参拝です。
伏見稲荷大社は閉門しないので、24時間参拝が可能になっています。
ですから夜になるとライトが点滅して、また違った雰囲気を楽しむことができるのです。しかしライトアップというよりは、単純に電燈をつけたという感じです。千本鳥居に出る前の境内は、どこか不気味でかなり怖いイメージがあります。しかし伏見稲荷大社の千本鳥居は格が違います。
暗闇の中に続く鳥居は、夢の中にいるような幻想的な光景です。しかし数メートル先は闇という光景が、別世界に連れて行かれるのではないかという気持ちにさせます。ちょっと怖いけれど、夜の参拝でしか味わえない醍醐味です。ライトが照らすのはあくまで千本鳥居の内側のみです。
参道を一歩外れれば、真っ暗闇が待っていますので気を付けて訪れてみてくださいね。
千本鳥居の通り方ルール
伏見稲荷大社のご神体である稲荷山に導くように連なっている千本鳥居。まさに伏見稲荷大社のシンボルともいえる光景です。
その美しい光景は多くの観光客を魅了しています。その為、伏見稲荷大社は基本的に混み合うのが前提です。そこで混雑緩和のため、千本鳥居をくぐる際にはルールがあります。それは「右側通行」というルールです。特に観光客が多く行き交う時間帯はこのルールを破ることでスムーズな参拝ができなくなります。怪我やトラブルにも繋がりますので、右側通行を守りましょう。
千本鳥居は神様の世界への神聖な入口ですから、走って駆け上がるのはやめましょう。千本鳥居に過剰な力を与えて、感謝の気持ちが込められた鳥居に傷をつけるのは罰当たりですね。実際に伏見稲荷大社に案内があるので、ルールはしっかりと守って楽しみましょう。
気持ちを落ち着けて、穏やかな気持ちで通るようにしましょう。