坂東三十三観音霊場16番札所水澤寺は、群馬県渋川市にある海抜1,194mの水沢山の中腹にあり、東京・日光・長野善光寺へいずれも36里(約141㎞)という不思議な地点に位置しています。
参道脇には地元の物産を販売する店が並び、境内は線香の煙が絶えないほどにぎわっています。榛名湖や伊香保温泉からも近く、名物の水沢うどんも魅力的で、お参りと観光を楽しめる人気のパワースポットです。「水澤観音」の名称で親しまれている水澤寺をご紹介しましょう。
目次
水澤寺の歴史と伊香保姫の伝説

山号:五徳山(ごとくさん)
寺号:水澤寺(みずさわでら)〔水澤観音〕
宗派:天台宗
本尊:十一面千手観世音菩薩(じゅういちめんせんじゅかんぜおんぼさつ)
開基:恵灌僧正(えかんそうじょう)
寺伝によりますと、水澤寺は、今から1,300年余り前の飛鳥時代、推古天皇・持統天皇の勅願により、高麗(こうらい)から来日した恵灌僧正が開基したとされています。最盛期には30余りの堂宇が建ち並び、約1,200体もの仏像が祀られていましたが、繰り返し火災に遭い、現在の建物は、江戸時代の元禄年間から33ヶ年の大改修を経て、徳川幕府の祈願所として再建されたものです。
本尊についてこんな伝説があります。推古天皇の御代、高辺左大将家成(こうのべのさだいしょういえしげ)の3女伊香保姫は、日ごろ熱心に千手観音を信仰していました。父が都に戻った後、継母と2人の姉と一緒にこの地に残りました。前妻の3人の娘に嫉妬した継母は更級兼光と謀り、2人の姉を川に沈めて殺しました。伊香保姫も殺されそうになったとき、持仏の千手観音様に救いを求めました。すると、観音様の化身が現れて姫を助けてくれたのです。
成長して伊香保姫が国司の高光中将(こうのみつるちゅうじょう)と結婚したとき、この話を告げました。そこで中将は恵灌僧正を招き、伊香保姫の持仏である千手観音像を本尊として水澤寺を開いたそうです。恵灌僧正は、奈良の元興寺(国宝・世界文化遺産)を開いた高僧です。
水澤寺の御本尊

本尊は、伊香保姫の持仏であった十一面千手観世音菩薩で秘仏です。衆生の一切の願いを聞き届け、救いの手を差し伸べてくれる「融通観音(ゆうづうかんのん)」として信仰を集めてきました。
「七難即滅七福即生」のご利益があるといわれますが、伊香保姫の伝説にちなみ、安産・子育て・縁結びのご利益も顕著として、女性に人気のご本尊です。内陣に、江戸時代造像のお前立十一面千手観世音菩薩、阿弥陀如来像、十六羅漢像が安置されています。

お賽銭をあげるすぐ上の外陣天井には、極彩色の、極楽にいるという想像上の鳥、迦陵頻伽(かりょうびんが)が描かれています。
御札場(納経所)&御朱印
水澤寺では3つの御朱印が頂けます。

本堂の正面にあります。こちらで坂東三十三観音霊場第16番札所御本尊「千手観音」の御朱印と

関東百八地蔵尊第33番札所六角堂「六地蔵尊」の御朱印がいただけますが、お参りが済んでからいただきましょう。鐘楼堂横にも御札場がありますが、納経・祈祷・供養の受付はこちらのみです。
- 納経料各500円
- 拝観時間8:00~17:00
釈迦堂の受付で釈迦三尊の御朱印がいただけます。
- 納経料500円
- 拝観時間9:00~16:00
坂東観音霊場の公式ページより
令和2年4月1日より
納経帳 ご朱印 500円
白衣(宝印のみ) 300円
に改定させていただきます。
水澤寺・手水舎(てみずや)

仁王門への石段の下にあります。清らかな湧き水が注ぎこまれています。まずは手と口をすすぎましょう。
水澤寺・仁王門

1787(天明7)年に建立された平板銅板葺き重層入母屋造り。(渋川市指定重要文化財)

向かって右が阿形の仁王像、左が吽形の仁王像。もともとの仁王尊像は新しくできた釈迦堂に移設されました。こちらにあるのは新たに造像されたものですが、朱色の仁王像はどこかユーモラスで迫力があります。

風神と雷神も安置されています。1階中央部の天井には、江戸中期に活躍した絵師狩野探雲(現群馬県出身)による迫力ある龍が描かれています。お見落としなく。
ちょっと心細いようなはしご段ですが、上って2階に上がりましょう。

金色の釈迦三尊像(普賢菩薩・釈迦如来・文殊菩薩)がまぶしく輝いていました。

2階から近辺の町を見渡せます。遠くには群馬の山の姿がありました。
車や観光バスで行くと、上の方に駐車場があるため、仁王門は通らないで本堂へ行きます。少し石段を下りなければなりませんが、風格のある仁王門ですのでぜひ立ち寄り、2階にも上がってください。はしご段を下りるときは気をつけてくださいね。

ここから境内への石段は97段。9(く)を7(な)くすという意味があるそうです。
水澤寺・鐘楼堂(しょうろうどう)

本堂への石段を上がると右手にあります。1975(昭和50)年に完成した「大和の鐘(たいわのかね)」です。古来鐘の音は仏の声といわれ、過去の無数の仏に回向(えこう)するものだそうです。
1打100円の志納金で撞くことができます。鐘を撞く場合は本堂でお参りをする前に撞きます。帰りに撞くのは「戻り鐘」といって縁起が悪いとされます。金運アップのご利益があるそうですよ。
水澤寺・本堂

仁王門と同じ1787(天明7)年の建立です。赤い大提灯が迎えてくれます。(渋川市指定重要文化財)

正面の向拝(ごはい)や軒唐破風(のきからはふ)は、鮮やかな龍や虎の彫刻が施された華麗な造りです。柱に巻き付く龍は阿吽(あうん)になっています。

屋根瓦や線香立てには徳川家の葵の紋。
水澤寺・六角堂は開運パワースポット

本堂の右隣にあります。1787(天明7)年の建立で、銅板瓦棒葺の造り。回転するしくみの須弥壇(しゅみだん)に6体の地蔵尊が祀られている非常に珍しい建築物です。(群馬県指定重要文化財)
- 地獄道
- 餓鬼道
- 畜生道
- 修羅道
- 人間界
- 天人界

六道を守る開運地蔵尊として、水澤寺の人気パワースポットです。六角須弥壇から突き出た取手を持って左回りに3回転させて祈願します。願い事が叶うと評判です。2階には大日如来が祀られています。




今回も素晴らしい記事ですね、御朱印3種類もあるなんて知りませんでした。
六体の地蔵さん、思い出します。色々な写真見て感激しました、思い出そうとしましたが、ちゃんと見ていなかったのが残念です。(毎回反省しています)これからもよい記事を期待します。
いつもコメントをありがとうございます。水澤寺は3種類の御朱印をいただけたり、仁王門の2階に上がることができたり、ゆっくり拝観するといろいろと味わいのあるお寺です。地元の方々ともふれあえる庶民的で、いかにも霊場という雰囲気のお寺です。水沢うどんにひかれて何度も訪れてみたくなりますね。