四国42番札所である仏木寺(ぶつもくじ)は、愛媛県宇和島市に寺院をかまえる四国霊場です。41番札所である龍光寺からの道沿いは、四季折々の花々が乱れ咲き、遍路をゆく人々を楽しませてくれます。
寺内に「家畜堂」と呼ばれるお堂があるのも、仏木寺の特徴。家畜や動物との祈祷を可能としたそのつくりの背景には、かつて、弘法大師が経験した歴史がありました。
それでは、仏木寺の歴史や御朱印、見どころなど、ご紹介していきましょう。
目次
仏木寺の歴史
弘法大師がこの地を訪れたのは大同2年。そこで、牛を世話するひとりの老人に出会います。
老人に誘われるがまま牛の背に乗って進んだ先には、一本の樹木が。そこに光を放つ宝珠がひとつ。
よくよく見てみるとその宝珠は、大師が唐から帰国する際、四国霊場の建設を志して三鈷とともに東方へと投げだしたものなのでした。
大師はこの地こそ霊場を建てるのに望ましい地であると確信。自ら楠から大日如来像を彫り上げ、眉間に宝珠をはめ込み、本尊として安置したといいます。
その後、仏木寺は牛馬など家畜の守り仏として信仰され、戦乱に苦しめられながらも、今なお活気に満ちた寺院として君臨しています。
仏木寺のご利益
仏木寺のご本尊は木造大日如来坐像。建治元年(1275年)の彫り込みがなされており、県指定の有形文化財です。
大日如来は、弘法大師の創始した真言宗において、いわば最高の仏であるとされています。大日如来は「法界身」、つまり大宇宙そのものと規定されており、仏像のなかで唯一装身具をまとっていることからも、大日如来が最高の仏であることをうかがわせます。
仏木寺の大日如来像は、牛や馬など家畜の守り仏です。そのため家畜の安全のみならず、最近ではペットの供養、闘牛の飼育にあたり参拝する方もいらっしゃるそうですよ。
仏木寺の御朱印の特徴
家畜安全の仏として、今なお活気をみせる仏木寺。御朱印は境内の納経所でいただくことができます。まずご本尊にご挨拶するのをお忘れなく。
さて、こちらの仏木寺の御朱印ですが、揮毫は、大日如来の種字「バン」に「大日如来」と書かれています。霊場の活気を裏付けるような、力強くもおおらかな筆跡です。
最高仏である大日如来のご加護を、ぜひ頂戴していただければと思います。
仏木寺の見どころ
裏門
裏門から見た仏木寺はまるで城郭のような石垣、塀に囲まれています。もう少し左に視点を移すと仁王門まで全体が見渡せて中々の絶景ですね。
本堂
ご本尊は大日如来像。仁王門をくぐって左手の参道正面にあります。背面には、大師作の小像が像の胎内に納められているとの墨書を確認できます。
神明宮
本堂の裏にある神明宮。
大師堂
本堂へお参りしたあとは、大師堂へお参りです。
おびんずる様
大師堂左にあるおびんずる様。
家畜堂
家畜安全の大日様ならではのお堂です。大師が牛に乗ったという歴史から、人間のみならず牛や馬の守り仏として信仰されています。
牛旧暦における毎年6月、つまり土用の丑の日には「爪封じ」と呼ばれる祈祷が実施され、人間ならびに牛馬の心願(神仏にかかげる願いのこと)成就をお祈りします。