坂東三十三所13番札所「浅草寺」は、みやげもの店が両側に並ぶ「仲見世」の表参道とともに、江戸情緒が今も残る浅草の中心となっています。約1400年の歴史を持ち、年間約3,000万人もの人々が訪れる「浅草の観音さん」は古くから庶民の心の支えでした。
現在も内外の観光客が東京に来て必ずといっていいほど足を運ぶ観光名所でもあります。浅草寺の創建とも深く関わる隅田川、現代建築の最高の技術と職人わざをフルに生かして建築された東京スカイツリーなどを背景に、1年を通してにぎわいを見せています。そんな浅草寺の御朱印や見どころをご紹介します。
目次
- Page 1
- 浅草寺とは
- 浅草寺・御朱印
- 浅草寺・雷門(かみなりもん)
- 浅草寺・仲見世(なかみせ)
- 浅草寺・宝蔵門(ほうぞうもん)、旧仁王門
- 浅草寺・縁結びの久米平内堂(くめのへいないどう)
- 浅草寺・五重塔
- 浅草寺・お水舎(おみずや)
- 浅草寺・常香炉(じょうこうろ)
- 浅草寺・本堂(観音堂)
- 浅草寺・影向堂(ようごうどう)
- 浅草寺・青く光る鯉!
- 浅草寺・都内最古の石橋(しゃっきょう)
- Page 2
- 浅草寺・六角堂(日限地蔵尊 ひぎりじぞうそん)
- 浅草寺・阿弥陀如来像
- 浅草寺・宝篋印塔(ほうきょういんとう)
- 浅草寺・薬師堂
- 浅草寺・一言不動尊(ひとことふどうそん)
- 浅草寺・淡島堂
- 浅草寺・二天門(重要文化財)
- 浅草神社(重要文化財)
- 浅草不動尊・三宝荒神堂
- 浅草不動尊前・なでぼとけ
- 浅草寺のアクセス
- まとめ
目次
浅草寺とは
山号:金龍山(きんりゅうざん)
寺号:浅草寺(せんそうじ)
宗派:聖観音宗(天台宗系単立)
本尊:聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)
開基:土師中知(はじのなかとも)
檜前浜成(ひのくまのはまなり)・檜前竹成(ひのくまのたけなり)
飛鳥時代の628年3月、隅田川(当時は宮戸川)のほとりに住む檜前浜成・竹成兄弟が漁をしていた時、投網に1体の像が入っていることに気づきました。兄弟は像を川に戻しましたが何度もかかってくるので持ち帰り、土地の長である土師中知に見てもらいました。すると、それは聖観世音菩薩像であることがわかり、翌日、草で造ったお堂に祀ったのが始まりとされています。やがて中知は自宅を寺にして観音さまを供養しました。
観音菩薩が現れた日、一夜で周辺に多くの松が生え、3日を過ぎると、天から金色の龍が松林の中に下ったといいます。そのことから山号が金龍山と名付けられました。
それから17年後の645年、勝海上人が観音堂を修造したところ、夢に観音菩薩が現れ、「みだりに拝するなかれ」と告げました。それ以来、本尊は厨子に納められ絶対秘仏となりました。
平安時代初期の857年、比叡山第3世天台座主である慈覚大師が訪れ、本尊の身代わりとしてお前立の聖観音菩薩像を刻みました。
942年平公雅(たいらのきんまさ)が武蔵守に任じられ、将門の乱で荒廃していた浅草寺を再建し、田園数百町を寄進しました。それ以降、浅草は観音の聖地として発展しました。
武家の時代になると、源頼朝、足利尊氏、徳川家康など歴代の武将が浅草寺の観音を崇敬し、庇護しました。
1625年に上野寛永寺が建立され、1685年以降幕末まで、浅草寺は寛永寺の支配下に組み込まれました。本堂の北西は「奥山」として見世物小屋が立ち並び、浅草は観音さまのお参りと行楽で大いに発展しました。
浅草寺は現在までに20回近い災禍と再建を繰り返してきました。1648年~49年、三代将軍徳川家光の寄進によって再建され、国宝に指定されていた本堂・仁王門(現宝蔵門)・五重塔は、1945年の東京大空襲で焼失してしまいました。その後、さまざまな人々の浄財で再建され今日に至っています。
浅草寺・御朱印
こちらが浅草寺本尊の御朱印です。中央に聖観音の梵字「サ」と「聖観世音」の墨書です。
本堂でお参りしてからいただいてください。御朱印は、本堂の左奥にある「影向堂(ようごうどう)」(後述)でいただけます。
納経料は500円
納経時間は8:00~17:00
坂東観音霊場の公式ページより
令和2年4月1日より
納経帳 ご朱印 500円
白衣(宝印のみ) 300円
に改定させていただきます。
浅草寺・雷門(かみなりもん)
正式には風雷神門(ふうらいじんもん)といい、浅草寺の総門で、表参道の入り口です。正面には、風水害を除け、伽藍を守護する風神像(右)・雷神像(左)が、背後には、水を司る龍神の天龍像(左)と金龍像(右)が安置されています。
現在の雷門は、1960年、松下電器(現パナソニック)の創業者松下幸之助の寄進により再建されたものです。本瓦葺、鉄筋コンクリート造、切妻造り八脚門。「雷門」の赤い大提灯は700㎏の重さがあります。
雷門前は待ち合わせやフォトスポットとしていつもにぎわっています。どこかユーモラスな風神・雷神と、きりっとした天龍・金龍もお見逃しないように。
浅草寺・仲見世(なかみせ)
雷門から宝蔵門までの約250mの両側に約90のみやげもの店が並び、下町情緒あふれる表参道です。江戸時代は両側に浅草寺の支院が並んでいました。付近の住民に浅草寺の清掃をすることを条件に、支院の軒先に出店を許可したのが始まりだそうです。
仲見世の営業は店によってそれぞれですが、9時~10時ごろに開店し、午後6時~7時ごろに閉店する店が多いようです。
浅草寺・宝蔵門(ほうぞうもん)、旧仁王門
浅草寺の山門で、阿吽(あうん)の金剛力士像を安置する仁王門。
仁王さまは災厄除け、身体健全の守護神です。上層に経典や寺宝を収蔵していることから「宝蔵門」と改称されました。
現在の門は、1964年にホテルニューオータニの創業者大谷米太郎夫妻の寄進により再建されたものです。鉄筋コンクリート造、入母屋造り、総高21.7m「小舟町」の赤い大提灯は、日本橋小舟町有志の寄進で、重さは500㎏あります。
門の背後左右には山形県村山市有志より奉納された大わらじが掛かっています。大わらじは仁王さまの巨大な力を表し、魔を祓ってくれるそうです。
雷門といい、宝蔵門といい、浅草寺が幅広い層の人々に愛されていることがわかりますね。
宝蔵門の付近は、抜群のフォトスポットです。角度によって宝蔵門と五重塔、宝蔵門と東京スカイツリーを一緒に入れることができます。こちらの写真は、宝蔵門の裏側と五重塔です。
境内からの東京スカイツリーはこちらです。
浅草寺・縁結びの久米平内堂(くめのへいないどう)
宝蔵門の右手手前にある縁結びスポットです。久米平内は江戸時代前期の武士で、剣の達人でしたが、夜ごと辻斬りをして多くの人の命を奪いました。晩年それを悔い、自分の姿を石に刻ませ、境内の人通りが多い仁王門(現宝蔵門)付近に埋めて人に踏みつけられることによって、殺した人々への供養としたそうです。後にこのお堂内に安置されました。
やがて「踏みつけ」が「文つけ」すなわち「恋文」に通じることから、願文を納めると恋が成就すると信仰されるようになりました。
浅草寺・五重塔
現在のものは、1973年に再建されたもので、鉄筋コンクリート造、塔高約48m。2017年に軽いチタン瓦に葺き替えられ、相輪が金色に輝き美しい姿が蘇りました。最上層にスリランカのイスルムニア寺院から戴いた仏舎利が安置されています。
浅草寺・お水舎(おみずや)
本堂の手前右手にあるお水舎で、まず手と口を清めます。天井には迫力ある龍の画がありますので、お見逃しなく。手水鉢の沙竭羅龍王像(さからりゅうおうぞう)は、高村光雲(彫刻家、詩人高村光太郎の父)の作品です。本物は宝蔵殿に安置されており、こちらはレプリカです。
浅草寺・常香炉(じょうこうろ)

香炉にお線香を立てましょう。後の人のことを考えて中央部から立てます。お線香は仏様の食べ物です。また、香りは周囲を清浄にし、心を落ち着かせてくれます。煙を体の痛い部分や悪いところにあてると良いといわれていますので、皆さん頭や体に煙をかけています。
浅草寺・本堂(観音堂)
観音堂は、628年の草のお堂から始まり、現在まで20回近い焼失・再建を繰り返してきました。現在のものは、全国の人々の浄財により1958年に再建された鉄筋コンクリート造、入母屋造りです。2010年に本瓦より軽量のチタン瓦約72,000枚を使用して屋根の大改修が行われました。
外陣(げじん)の天井には、中央に川端龍子による「龍之図」、左右に堂本印象による「天人之図」が描かれています。必見です。外陣の両端に内陣への入り口がありますので、靴を脱いで上がりましょう。内陣は静かにお参りできるスポットです。
内陣中央に宮殿(くうでん)があり、その内部の上段に本尊の聖観世音菩薩像が祀られた厨子が、下段にお前立の聖観音菩薩像や徳川家康、家光らの持仏が安置されています。宮殿の左右に梵天、帝釈天、脇侍として内陣左奥に愛染明王、右奥に不動明王が祀られています。
本尊は絶対秘仏で公開されませんが、本尊の実在を確かめるために、明治時代に一度役人によって調査されたことがあります。奈良時代様式の聖観音菩薩像で、高さ20㎝、焼けた跡があり、両手足がなかったそうです。
聖観音は、十一面や千手などさまざまな姿に変化する観音さまの中の基本となる観音さまで、世の中の生きているものすべての声を観じ、苦しみを取り除き、願いを聴き、安楽を与えてくださいます。
慈覚大師作のお前立も秘仏ですが、1年に1回、12月13日の午後2時から15分間開帳され、拝顔できます。宮殿の前で、合掌してお参りしましょう。
その後、宮殿の両脇から後ろにまわって、「裏観音」と呼ばれ、宮殿の背後を守護している観音さまをお参りしましょう。本尊と同じお姿とのことです。ここは外のにぎわいとは別世界の神聖な空気が流れています。おすすめのパワースポットです。
浅草寺・影向堂(ようごうどう)
本堂の左手奥(北西)にあります。1994年に慈覚大師生誕1200年を記念して建立されました。鉄筋コンクリート造、寄棟造り、本瓦葺。屋根に金箔を押した鴟尾(しび)が輝いています。
内陣中央に聖観音像、左右に干支の守り本尊である8体の仏像が祀られています。自分の生まれた年の干支のご本尊をお参りしましょう。外陣には浅草七福神の一つの大黒天が祀られています。五穀豊穣、子孫繁栄などのご利益をもたらしてくれます。
浅草寺は坂東三十三観音霊場の第13番札所であり、江戸三十三観音霊場の1番札所でもあります。浅草寺の本尊、大黒天の御朱印ともにこちらの授与所でいただけます。納経料は各300円です。納経時間は8:00~17:00です。
浅草寺・青く光る鯉!
影向堂前の池に美しい鯉が泳いでいました。光の加減でしょうか透き通って青く見えました。なんとも神秘的な気分にうたれました。
浅草寺・都内最古の石橋(しゃっきょう)
この池の石橋は1618年に架けられた、現存する都内最古の石橋です。1948年文部省(現文部科学省)より重要美術品に認定されました。後ろは本堂です。12月でしたが、まだ紅葉もきれいでした。
